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辻調理師専門学校

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「今日は干し野菜をつかった実習です!いいんじゃない!」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ13~

日本料理クリエイティブ経営学科

2022.10.04

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昨年4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。

今日は日本料理クリエイティブ経営学科2年生の授業を紹介します
科目名は日本料理理論Ⅱ「食材の活用とその検証」その中で干し野菜をつかって料理3品を作ります。


先生!干し野菜って難しいですか? いいえ、とても簡単ですよ!
日当たりの良い日だと外にだして乾燥させる。
または風通しの良い部屋で風干しするなどして野菜を乾燥させるだけです。

メリットは水分を多く含む野菜は干すことで栄養とうまみが凝縮します。
それから水分が抜けるとカサが減る分たくさん食べられます。
また野菜によっては干すことで食感の変化も楽しめますよ。

日本料理ではみなさんもよく知っている干し椎茸、切り干し大根などが定番ですが、
それらは完全に乾燥させて水分を抜いているので腐りません。
水分がないため使う際はまず水にしばらく漬けて柔らかく戻す必要があります。
今日の授業では完全に乾燥させるのではなく半乾燥状態にしてから調理していきます。
半乾燥の場合は水分が適度に残っているため水で戻す必要がなく、すぐに調理できるメリットがあります。


ところで今日は何を作るのですか?

では写真を見ながら説明するね!向かって左から「鶏肉の炒め煮」ちくぜん煮と言った方がピンと来るかなぁ。
今日の実習では干し野菜を使った鶏肉の炒め煮と干し野菜を使わずに作る鶏肉の炒め煮の2種類作ります。
その隣は「大根ステーキ、トマトとほうれん草添え」右端に見えるのは「茄子の煎りだし」という料理です。
いずれも干した野菜、干していない野菜を使い2種類ずつ作ります。


まずは野菜を干そう!これは干し野菜専用のネットです。


鶏肉の炒め煮用に切った人参、蓮根、ピーマンが見えます。
うまく乾燥させるポイントは野菜が重ならないように並べること。
「オイオイ!蓮根くっつきすぎや、距離をおけ、なんでピーマンの上にレンコンがのっかってんねん!乾かへんぞちっ(怒った顔)


専用ネットを使わなくてもザルに並べて干しても決定 今日は晴天晴れ!36℃、トマトの水分もグングンと抜けていきそう。


大根、茄子、ほうれん草。黒く見えるのはこんにゃくです。干すことで水分が抜けて味が染み込みやすくなります。


これは鶏の炒め煮で使う鶏もも肉です。
学生が作ったぬか床に2時間漬けて塩味とぬかの風味をつけます。鶏肉は干しません。


干し野菜は天候によって水分が抜ける時間が大きく変わります。
今日は晴天のため野菜、こんにゃくとも2時間干す程度で半乾燥状態となります。
向かって左に見える人参は干したもの、右側は干していない人参です。
干した人参は表面が白っぽく乾燥しているのがわかります。

先生質問です手(パー) 人参は皮をむかないのですか? 
オッいい質問だ!実は野菜の皮には栄養が多く含んでいるものが多く一緒に食べると健康にもいいのです。
確かに皮をむく方が綺麗に見える場合が多いけど、特に干し野菜にすることで水分が適度に抜けて皮付でも食べやすかったりします。
今日は人参以外の野菜も皮付で使います。


蓮根はアクの強い野菜の代表選手みたいなやつ、
左に見えるのは干した状態、色は黒ずんで見た目は悪いけれど、意外とえぐみなどは感じません。
水分が適度に抜けているのでこの後、煮ると味が中まで染み込みやすくなっています。


こんにゃくは左側が干したやつ、右に比べるとツヤがなく角が取れて丸くなったように見えますよね
こんにゃくは特に味を含みにくい食材のため干すことで味が染みやすくなりますよ。



向かって左側が干したやつ、右に比べると表面に少しシワがよった感じに見えますが、
これも水分が適度に抜けた証拠、この後大根ステーキに変身。
焼いた大根は箸では切りにくいので表面に+の切込みを入れて箸で切りやすくします。


同じサイズのトマトも2時間天日で干すことで向かって左側のように水分が抜けてひと回り小さくなりました。
トマトは中の水っぽい種をすべて取り除いてから干すことがコツですよ。


トマトは生で食べてみよう。
「エッ!甘~い。干すと全然違うね」
俺トマト苦手だけど干すと美味しく食べられるわーい(嬉しい顔)
焼いてもうまいだろうね、期待しよう」


ほうれん草はゆでてから干す!生で干すと苦みが倍増します。
ゆでてから干すと見た目も変わらず、あまり変化が無いように思うけれど実は食べると全然味違うから!
ヨモギのような香りと味が濃くなっています。
美味しいと思うかどうかは好みです! 私は好きかな。


干し野菜の準備ができれば料理の作り方は簡単。どんどん作業を進めていきます。


ぬか床に漬けた鶏もも肉を炒めます。「なんかいい匂いがしてきたぞ。ぬかの香りだ!」


今日は3品作りますがすべて干した野菜を使ったものと、干さずにそのままの野菜を使い完成させた料理の食べ比べをします


1㎝厚さに切った大根はしっかりと焼き色を付けながら両面を焼きます
ジュー「よ~し、そろそろひっくり返せ!」


ところでみなさんは焼いた大根を食べたことありますか? ゆでた大根とは違う食感が楽しめます。
火どおりの目安は竹串を刺して確かめます。少し固めが美味しいぞ(笑)


仕上げは味付けです!酒、みりん、醤油で合わせた照り焼きのタレをからめます。
最後にバターを入れるとうまみとコクがアップしてとても美味!


トマトも大根同様に表面にしっかり焼き色を付けて香ばしく仕上げます。


ゆでた、ほうれん草はバターでさっと炒めて調理完成。


大根ステーキに焼きトマト、ほうれん草を盛り付けて彩りもよく完成わーい(嬉しい顔)



並行して鶏肉炒め煮もいい感じに煮上がってきました。
途中で中をかき混ぜると材料が煮崩れるので一切混ぜてはいけませむかっ(怒り)
その代わりに鍋を振りながら中身を回転させる「鍋返し」をします。 ではお願いします! 
「鍋おもっ!こんなん振れるか!」ということで私はヤットコを2本使いま~す! 良いアイデアですぴかぴか(新しい)


どちらが干した茄子かはわかりますよね。
この後油で揚げますが水分を適度に抜くことで揚げる時間を短縮できますよ。


ジューっと茄子が香ばしく揚がっています。
茄子と油はとても相性がよいので今日は揚げた茄子に天だしをかけてシンプルに食べます。
干し野菜の効果はでているかな?



揚げ茄子はアツアツで食べたい!さぁー盛り付けはスピーディーに美しく!
そして料理が完成!


しっかりと比較をしながら食べよう! 
必ずしも野菜を干せば美味しくなるとは限りません。
干すことでそれぞれ良い点、悪い点があり、相性の良い料理と、そうでない料理に分けることができます。

今日の3品も同じです。
鶏肉の炒め煮は甘辛い煮汁でしっかりと煮詰めます。
干し野菜は水分が適度に抜けているため味がしっかりと染み込み、
「味が濃すぎる」といった結果になることも考えられます。
その場合は煮汁の分量を変える必要があります。
逆に茄子は油で揚げるため水分が適度に抜けていれば揚げる時間が短縮され、
油の浸透がよくなることも期待できます。


今回の授業では干し野菜を使うことでそれぞれの料理に対して長所、短所があること。
今後、干し野菜を活用するときにはどのような料理に向く、向かないかを見極める基準を探る内容となりました。
干し野菜は自宅でも作れます。
余った野菜なども干すことで長期保存ができ保存食として活用することもできますよ。お疲れ様でした。


~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。