調理理論の教室から 鴨1羽丸のままのロースト
皆さん、こんにちは。
2025年も迎え、昨年4月に入学をした学生たちも間もなく進級、卒業の時期が間近に迫ってきました。
授業のレベルも上がってきており、そんな中、本日は西洋料理の調理理論の教室を覗いてみましょう。
今日のテーマ食材はこちらです!
授業テーマは家禽類ですが、この鳥が何か分かりますか?
正解は、鴨 です。
家禽類の概論を学んだあとは Canard à l'orange 「鴨のオレンジ風味」に教壇の先生が仕上げていきます。
1羽丸々のローストをしますが、調理技法のローストは前期にその特徴を勉強してきたので、
その復習もかねて記憶を重ね合わせます。
綺麗な焼き色に焼きあがった鴨1羽のローストです。
さぁ、ここからですが、焼きあがった鴨を見せて終わりではありません。
レストランでの演出方法も併せて紹介していきます。
サービスを担当する秋場先生による鴨肉のデクパージュの実演です。
デクパージュとは、レストランの客席でお客様の前で、
お肉料理やお魚料理をカッティングして取り分ける演出方法です。
お客様とサービスマンが会話をしながら、食事の席を盛り上げ、
香りや音、カッティングの技術をお客様に届ける効果の高い演出です。
フランバージュと呼ばれる炎の演出もデクパージュと合わせて行われるゲリドンサービスの一つとなります。
(ゲリドンはフランス語で小さいテーブルのことです。)
先ずは美味しく焼けた鴨肉のプレゼンテーションから。
「本日ご用意いたしました鴨は宮城県にて網猟で獲れたものでございます。
シェフがジューシーに焼き上げております。こちら切り分けてご提供させて頂きます」
お客様に胸肉が綺麗に見える頭側を向けてプレゼンテーションします。
反対側を見せると、鴨のお尻を見せることになりますからね。
デクパージュに使用する器材です。
温かい状態で提供ができるようにレショーという保温器を使用しながら作業します。
この作業の時にも常にお客様側に綺麗な面を見せながら実施するということを意識しながらカッティングをしていきます。
お客様の前では素材に手を振れません。
カッティングにはナイフを使いますが、支えるのはスプーンやフォークを利用して綺麗に見せていきます。
先ずはもも肉を外しますが、膝の関節の内側にフォークを差し込み、
切込みを入れた後はテコの原理で外していきます。
素材の骨や関節の構造をしっかり理解していることがポイントになりますね。
鴨肉の一番のメインは胸肉。料理人が綺麗なロゼ色に焼き上げた鴨。
この状態を会話と技術で期待感を持たせてお客様の受ける特別感を高めます。
今回は理論授業ということで、胸肉のカッティングは2種類の方法で。
エスカロップとエギュイエットの2パターンの紹介です。
会話をしながらカッティングを続けていきますが、
作業に没頭するのではなく、目線や表情でもお客様をケアします。
カッティングが終わったお肉もスプーンとフォークを使って匠に盛り付けていきます。
最後にオレンジの風味の少し甘酸っぱいソースをかけて仕上がりです。
美味しい料理を作るだけでなく、お客様への提供、演出も
料理人として考えなければいけないと感じた時間だったのではないでしょうか。
2月の中旬には後期期末試験があり、授業もあと2週間ほど。
さぁ、卒業、進級に向けてラストスパートです。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 東京
フランス料理、サービス担当
三浦 和也
フランス料理、サービスの二刀流
1級レストランサービス技能士。食べること、飲むこと大好きです。
好きな食べ物は焼肉、焼き鳥、焼きそば、焼き・・・メイラード反応が好きです。