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毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第31講「カニ」

新聞
美食地質学入門

2021.01.07

1月5日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。

テーマ食材は「カニ」
やっぱりズワイガニです。


11月6日、富山県以西のズワイガニが解禁になりました。
越前ガニ、松葉ガニなど呼び名が地域により様々で、別物のように思われがちです。
さらに各地でブランド化が図られており、呼び名がどんどん増えてきました。

最近では、鳥取県の「五輝星(いつきぼし)」、兵庫県浜坂漁港の「光輝(こうき)」などサイズなどの条件をさらに厳しく絞り込んだ超ブランドとして別名を用意している産地もあり、1杯百万円単位の初値が付くこともあります。
ブランド化の一環でタグを付けて販売されるケースも増えてきています。
地域によりタグの色も異なり、たとえば兵庫県では主要な水揚げ漁港で違った色のタグを使っています。
今回使用するカニは白地に船長の名前などが書かれたタグで、香住漁港産のズワイガニです。

資源保護の観点から、漁獲時期や漁獲可能量が制度により決められ、また産地により自主規制も行われています。
例えば兵庫県では、雄ガニは甲幅9cm未満は捕獲禁止とした全国的な規制を上回って10.5cm未満を禁止としています。
さらに成長途中の「ミズガニ」や「メス」の捕獲を規制の対象としている産地も多くなってきています。



本題はズワイガニがどのように地質と関係しているのか、巽先生のお話は新聞紙上及び毎日新聞ホームページご確認ください。

今回の料理担当は辻調理師専門学校の日本料理、長谷川晃先生。
「 」内は料理のコメントです。



「テーマ食材がせっかくの贅沢な食材の蟹ですので、余すところなく使っていきたいと思います。
定番の料理から、少しひねったもので合計4品作りました。」



▲蟹黄身酢掛け(独活、菜の花、金時人参)
「定番の蟹酢です。蟹以外の物にはそれぞれ鰹と生姜の利いた合わせ酢で味を入れてあります。黄身酢と共に食べると違う味わいが楽しめます。蟹のはさみをイメージして野菜を乱切りにして、盛り付けしてみました。」


▲蟹玉(筍、こごみ、若布)
「2品目は、蟹玉といっても中国料理ではありませんよ。玉子生地を作ってたっぷりの蟹のほぐし身と合わせて、丸く玉のように形を整えて仕上げました。山菜も添えて器にも蝶々が飛んでいて、春!!のイメージで仕上げました。蟹の優しい甘味が口の中に広がります。」


▲蟹このわた焼き
「3品目は一番贅沢な逸品。蟹の足をこのわたを使った調味液(このわた地)に付け込んだ後表面をこんがり焼き上げ、更に昔はとても高級で普通の人は買えなかった奉書紙に包んで蒸し焼きにしました。これだけでもおいしいのですが、その蟹をつけ地のこのわた地で調味した蟹みそをつけて食べて頂きます。上品で濃厚な味が口の中いっぱいに広がります。ちなみにこのわたとはなまこの腸の塩辛で日本三大珍味の1つに数えられています。」


▲蟹すき(白菜、しめじ、水菜、白葱、絹ごし豆腐)

「最後はこれまた定番の蟹の鍋『蟹すき』ですが、さばいた蟹の殻をこんがりと香りが出るまで焼き、だしの中に入れて蟹だしを作っています。まさに蟹三昧。蟹を余すところなくすべて使い切りました。
また、この写真には写っていませんが、私の故郷の薬味『かんずり』がまた味をいっそう引き立ててくれます。」

〆はうどんです。
「良い感じに蟹だしも濃くなってきたのでうどんの麺を投入します。おいしい蟹だしが絡んで1人前ぺろっと完食です。」


▲うどん(稲庭うどん、錦糸卵、青葱)

合わせるお酒は、木下酒造有限会社の「玉川」。

▲純米酒(山廃) 無ろ過生原酒

冷酒から始め、その後燗付けしていただきました。
その温度変化でカニに負けない個性をみせてくれたお酒でした。

次回2月のテーマは、江戸前の「アナゴ」

どうぞお楽しみに。