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毎日新聞連載 -美食地質学入門- 第46講「桜エビ」

新聞
美食地質学入門

2022.05.11

5月10日(火)の毎日新聞(夕刊)に「美食地質学入門」が掲載されました。

テーマ食材は「桜エビ」



発光器を持ち、青く光りながら泳ぐ。
水揚げ後はその名のとおりの桜色からルビーが連想され、「相模湾の宝石」とも呼ばれます。

富士山をバックに河川敷に干された桜エビは桜色の絨毯の様。
有名な光景ですが、この桜エビにも異変がおきています。

相模湾などでもまれに水揚げされますが、国内で漁獲対象にしているのは駿河湾のみで、その他に国内流通しているのは台湾産のみです。

サクラエビ漁の歴史はまだ100年強ですが、紙面にもありましたように、近年水揚げ量が激減しています。
5月~11月の産卵期のうち6月11日から9月30日の間を禁漁期間にしており、3月中旬から6月初旬の「春漁」と10月下旬から12月下旬の「秋漁」が行われています。

約20年で、2000㌧ ⇒ 130㌧
2000年頃には年間2,000tを超える漁獲量がありましたが、2018年に春漁が約300tと危機的な状況になり秋漁を取りやめるという事態になりました。
これ以降、資源管理のため自主規制を強化していることもありますが、2020年は年間約130tとなってしまいました。

不漁の原因は、水質汚染、黒潮の大蛇行、乱獲など様々考えられているようですが、全国の他の水産物同様、なかなか決定的な解決策は見いだせないようです。
網を引く時間や日数を制限することや、卵が成熟して頭が黒くなってくる(頭黒;あたまぐろと呼ばれる)様子が見られると漁を取りやめるなどの対策も行っていますが、その成果が出ることを祈るばかりです。

さて、本題の巽先生のお話は新聞紙上及び毎日新聞ホームページをご確認ください。

今回の料理担当は、静岡県出身の辻調理師専門学校・太田好成先生です。






▲先付三種


▲桜えびと葉山葵のお浸し
太田;釜あげした桜えびに辛味を引き出した葉山葵のお浸しを合わせ、周辺地域の特産品である自然薯のとろろ汁を掛けた、静岡を表現したひと皿です。


▲桜えびとキャベツの南蛮漬け
太田;サクっと揚げた桜えびと、サッと炒めたキャベツを南蛮漬けにした、今が旬の食材を合わせたひと皿です。


▲桜えび佃煮
太田;甘辛い煮汁にてサッと炊いた桜えびに、ピリッと辛味を効かせた山椒の実を絡めたひと皿です。


▲椀物 桜えび真薯 清汁仕立
太田;生の桜えびをすり潰し、駿河湾で獲れた甘鯛(興津鯛)のすり身と混ぜ合わせ、表面には掛川葛で有名な葛の粉を振りかけて火を通した椀種を、吸地のだし汁には近場の焼津産の鰹節を使用した椀物です。


▲桜えびのかき揚げ
太田;生の桜えびに浜松産の小ネギと合わせることで互いの良い香りを引き出し、サクっと仕上げました。添えた天ぷらは、大東(掛川市)名産の芽キャベツです。


▲桜えびご飯
太田;生の桜えびを入れて土鍋でふっくらと炊きあげました。ふわっとした錦糸玉子と三つ葉の香りを混ぜ合わせていただきます。
漬け物には静岡県特産の自然薯の糠漬けと、焼津産おかかに胡麻を合わせました。

合わせるお酒は、株式会社土井酒造場さんの「開運」特別純米酒。



次回6月のテーマは、鹿児島県三島村の「大名筍」

どうぞお楽しみに。