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和食WEBマガジンWA・TO・BI 日本料理のことば「煮こごり」

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2025.07.30

『あまから手帖』による料理人のための和食専用ウェブマガジン「WA・TO・BI」では、最新の調理技術、大切にされてきた古い仕事、生産者による食材紹介、日本の酒のこと、うつわの知識、雑学など、日本料理にまつわる旬の話題が日々更新されています。

●WA・TO・BI
https://www.watobi.jp/

辻調はそのなかで、「日本料理のことば」を担当し、「へぇ~」と思える語源由来を紹介しています。

2025年8月のテーマは「煮こごり」。
つるんとした喉ごしや涼感ある見た目から、夏によく提供されます。
もとは寒い季節に食されるもので、冬の季語として多くの俳諧に登場しました。
「こごり」に「凝」の字を当てる理由、また、昔のひとたちが暑い時季に提供する際に凝らした工夫などを紹介しました。

●ことばに関するコラムへのリンク● 
https://watobi.jp/word/9100.html(無料記事)

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また、ことばのコラムと合わせて、日本料理の大引伸昭先生が「鱧の煮こごり」の作り方を紹介しています。
夏の煮こごりなので、「こごり」の部分は透明度高く淡い色に。
敷いているのは、「鱧のすすり鱠」。"すするお造り"をイメージした鱧のピュレです。

●料理の作り方のコラム「煮こごり」へのリンク● ※閲覧には会員登録が必要です
https://www.watobi.jp/word/9115.html

上記の料理写真撮影:東谷幸一さん

関西の夏を代表する旬の魚といえば、やはり鱧!
でも皮がかたくて独特のクセがあり、身には小骨が多く入り込んでいて、おいしく食べるには手がかかる魚でもあります。
しかも煮こごりは、中の実と「こごり」の部分との食感に差が出てしまうと、せっかく一つに固めたのに別々に食べているようになるそう。「ひとつに寄せ固める」からこその意味を考える必要があるんですね。

ということは、今回は鱧の皮を極力やわらかく仕上げる必要があります。

鱧は皮の弾力も美味しさのひとつですが、今回の料理では逆に邪魔になってしまう。
でも皮を除いてしまうと、湯引きにしても花のように反り返ってくれません。どうしよう...。

この悩みを解決するため、大引先生はいつもの鱧の処理とは違う2つの工程を教えてくれました!

牡丹鱧をだし汁に閉じ込める。構成要素は鱧椀と同じ。
下に敷いた「すすり鱠」は、大阪の割烹『㐂川(きがわ)』を創業した上野修三さんが40年前から提供されていた一品とのこと。大阪料理会での料理人同士の繋がりでこの料理に出会った大引先生は、これは面白い!と思って取り入れたそうです。料理は引き継がれていくんですね。


今回の調理サポートは、音部暖菜先生が務めています。

お仕事が手早くてきれいなので、撮影もとってもスムーズ。
今回のWA・TO・BIに掲載されている作業の写真は、すべて音部先生の手なんですよ笑

ポイントを説明する大引先生。
今回の方法だと、もし鱧の味がちょっと物足りなくても、最終的に鱧のうまみを十分に感じられます。


やわらかい牡丹鱧を閉じ込めたキラキラの煮こごり。
中にはスノードームのように吹雪く青柚子。
裏テーマは、"椀物とお造りを一緒に食べる"とのこと。
その詳細はぜひ記事でご覧ください。