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和食WEBマガジンWA・TO・BI 日本料理のことば「松風焼き」

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2025.12.05

『あまから手帖』による料理人のための和食専用ウェブマガジン「WA・TO・BI」では、最新の調理技術、大切にされてきた古い仕事、生産者による食材紹介、日本の酒のこと、うつわの知識、雑学など、日本料理にまつわる旬の話題が日々更新されています。

●WA・TO・BI
https://www.watobi.jp/

辻調はそのなかで、「日本料理のことば」を担当し、「へぇ~」と思える語源由来を紹介しています。

2025年12月のテーマは「松風」。表になる面だけにケシやゴマなどの粒を散らして焼き色をつけた料理です。松風のポイントは、表の面がにぎやかな仕立てで、裏の面は寂しいこと。「松風」「浦」「寂し」が縁語であることから、松風と命名されたのはよく知られるところですが、ではどんな関連があって縁語とされるのでしょう。わかりやすい謡曲の話を例にあげながら、情景について解説しました。

●ことばに関するコラムへのリンク● 
松風焼きの由来
https://www.watobi.jp/word/9836.html(無料記事)

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また、ことばのコラムと合わせて、日本料理の竹本正勝先生が2種の「松風焼き」の作り方を紹介しました。一つは鶏の肝煮を加えた、お酒にもよく合う「鶏松風」。もう一つは見た目にも華やかで、風味と食感に豊かさのある「海老松風」です。

●鶏松風と海老松風へのリンク● ※閲覧には会員登録が必要です
https://www.watobi.jp/word/9736.html

上記の料理写真撮影:東谷幸一さん

松風焼きは、やや古風で地味な印象の料理ですが、奇をてらうことなく、ほんの少しの工夫と変化を加えることで、口にした瞬間に思わず「おいしい!」と感じてもらえる一品へと仕上げることを目指しました。

表の面に振るのは、鶏松風はおなじみのケシの実で香ばしく。海老松風には、煎りウニを振って風味をつけて。
片面がにぎやかであればいいので、これはこれでアリですね。

接着用の卵を塗るタイミングは、先生のこだわり。そこに一気にまぶしつけます。
今の感覚でいうと茶色くて地味な料理ですが、この料理が考えられたであろう江戸時代にはケシも貴重でしたし、散らして模様をつけるのも小洒落て手の込んだものだったのかもしれません。

鶏松風の生地のなかには、鶏肝煮がゴロンゴロンと。
いいアクセントとなっておいしい。和のパテ・ド・カンパーニュですね。

海老松風には、切り方を変えた海老や、細かく切った蓮根を加えて食感の楽しさを出しました。見た目も華やか。

今回の撮影では、日本料理の太田優芽先生が調理助手をつとめてくれました。
急遽差し込まれた撮影工程があったのですが、こっそり手元を担当していました。さてどこのカットでしょうか(笑)

松風焼きは、重箱の焼き物の段に入る定番料理でもあります。
よければ来年のおせちにぜひ加えてみてください。