REPORT

代表 辻芳樹 WEBマガジン

大阪ガス「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」にて開設記念講演

講演・シンポジウム・イベント

2015.02.01

2015年1月30日にオープンした大阪ガス様運営の「hu+gMUSEUM(ハグミュージアム)」。

その開設記念イベントとして、昨年12月7日に関西食文化研究会「WORLD EDITION フロンティア・サミット」が開催されました。


第1部では、基調講演として、辻芳樹校長が「世界の料理の流れと日本の食文化」について講演を行いました。時代を代表する料理人の紹介と料理の解説、そして、日本料理が世界に与えた影響について分析しました。

hug1207_1.JPG

また評論文化についても触れ、SNSが発達する現代、個人の評価が飛び交い、トレンドやブームに翻弄される時代においては、もはや料理に国の枠はなく、料理人にはグローバルな視点とローカルな食の再解釈が求められている。本質を問い、いかに顧客を満足させられるか、料理人にとっては厳しい時代ともいえる。我々教育機関としては、技術・知識だけでなく学生達の夢を育むことが使命と感じていると締めくくりました。

hug1207_2.JPG


第2部では、料理デモンストレーションが行われ、まずは、「菊乃井」主人の村田吉弘氏が登場。料理の国籍を決めるのは"香り"だという村田氏が披露してくださったのは、ドライトマトなどを使ったNEW和だしとバナナ味噌を使った「かぶらの風呂吹き 柚子味噌かけ」。

hug1207_3.JPG

デモンストレーションの助手は、辻調グループ日本料理教員の朝代谷 和徳先生。


続いて、「NARISAWA」オーナーシェフの成澤由浩氏。自然に最も近いところにいる料理人が伝えなければならないと、メッセージのこもった料理を提供してくださいました。「里山の風景 SATOYAMA Scenery」。

hug1207_4.JPG


最後に、「TETSUYA'S/Waku Ghin」オーナーシェフの和久田哲也氏。オーストラリアに活動拠点を置く和久田氏は、日本の食材がいかに豊かで素晴らしいかを説き、披露してくださったのは「鴨のフォアグラと豚足のコンフィのブーダン風 トリフとごぼうのソース」。

hug1207_5.JPG

デモンストレーションの助手は、辻調グループ西洋料理教員の永田智大先生と加島綾乃先生


今回の料理提供では、舞台の裏で辻調グループの多くの先生達が活躍し、それぞれの料理を絶妙のタイミングで、200人前ずつ仕上げてくれました。

hug1207_6.JPG


第3部では、「料理のフロンティア」というテーマで、門上武司氏進行のもと、3名の料理人の方と本校の辻を含め、4名がディスカッションを行いました。

hug1207_7.JPG

そこで出たお話の一部を紹介します。
・和食の世界無形文化遺産について
反響は大きいが、日本料理はわかりにくい。世界からは日本の食文化のミステリアスな部分に注目し、理解しようとする姿勢もあるが、我々日本人は、日本料理を再定義し、革新と伝統を守る立場を明確にする必要があるのではないか。
・ガストロノミーの定義について
解釈が変化してきたのに、作り手と食べ手の距離ができている。作り手の哲学を食べ手が受信できるようレベルUPも必要ではないか。また味覚については、評論文化の影響が大きいのではないか。

などなど、各人の想いが詰まった白熱したお話でした。


最後に、これからの料理人に求めることは?との問いには以下のような回答がありました。

<村田氏>日本料理は情熱に訴える部分が大きい。日本人の精神文化を明文化して説明できることが海外発信には大切。

<和久田氏>若い人には夢をもってほしい。料理ができれば世界中どこでも生きていける。世界でものすごく需要のある職業だと思う。料理のジャンルは関係ない。

<成澤氏>幼少期の味覚が不安。海外の人は目も舌も肥えているが、日本に食のジャーナリストと言える人はどれだけいるのか。自分の感覚でちゃんと味わえる人が増えてほしいし、その感覚を養っていきたい。

<辻>社会性、語学、理論(料理の言語化)、育成方法、自ら時代を切り拓こうとするマインドが料理人には必要ではないか。教育機関としては、学生に知識・技術・夢を与えることが使命だと思う。

多くの厨房機材が展示されている「hu+gMUSEUM」で大変有意義なイベントでした。

hug1207_9.JPG


辻調グループの先生方、お疲れ様でした。

hug1207_8.JPG


当日の様子は、関西食文化研究所のHPにも掲載されています。
ぜひご覧ください。 http://www.food-culture.jp