CAREER

調理師になるにはどんな学校に通うべきか?

就職して修業する場合との違いとは

「料理を仕事にしたい」。そう考えたとき、学校に通って料理の道を目指す、お店で修業して経験を積むなど、さまざまな選択肢があります。また、ひと口に「料理の仕事」といっても、伝統的な日本料理の店からトレンドを取り入れた創作料理を作るお店まで、料理の仕事の現場は多様化しています。誰かに教えてもらわなくても、ネットや動画サイトを見れば料理の仕方が学べるこの時代に、あえて学校で学ぶ意義とはなんでしょうか?

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「料理を仕事にしたい」。そう考えたとき、学校に通って料理の道を目指す、お店で修業して経験を積むなど、さまざまな選択肢があります。また、ひと口に「料理の仕事」といっても、伝統的な日本料理の店からトレンドを取り入れた創作料理を作るお店まで、料理の仕事の現場は多様化しています。誰かに教えてもらわなくても、ネットや動画サイトを見れば料理の仕方が学べるこの時代に、あえて学校で学ぶ意義とはなんでしょうか?

学校で料理を学ぶ意義とは

「料理の仕事に携わりたい」。そんな夢を叶える方法はさまざまです。中には、少しでも早く現場に出たいという人もいれば、学校で学んでから社会に出たいという人もいるでしょう。料理の道に進むには、専門の学校に通ったほうがよいのでしょうか。辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校の高岡和也先生、岡本健二先生に聞きました。

高岡「たとえば、飲食で独立開業を目指すことをゴールにするのであれば、必ずしも学校へ行く必要はありません。しかし、料理を自分のものとして表現し発展していくことを目指すのであれば、学校ほど効率的な学びができるところはありません。

学校へ行かずに現場に出ても業務に必要なノウハウは学ぶことができますが、現場で学べるノウハウはそのお店で『お客様に飲食を提供する』ことが前提です。調理師専門学校で教える理論や実技は『料理の勉強の仕方』を前提においているので、効率的に学ぶことができ、卒業後も成長し続ける力を身につけられるのです」

どんな学校を選ぶか

厚生労働省が指定する調理師養成施設では、卒業と同時に国家資格である調理師免許を取得することができます。調理師養成施設は大きく3つに分かれています。高等学校、大学・短大、専修学校です。

調理師養成施設関係統計によると、2020年度の都道府県別養成施設設置数は、全国計283施設のうち、高等学校が112校で全体の39.6%、短大が9施設で3.2%、大学が1施設で0.1%、専修学校が155施設で54.8%となっています。

情報引用元:公益社団法人全国調理師養成施設協会

このうち、一番施設数が多い専修学校にはどんな学科が設けられているのでしょうか。

たとえば、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校では、調理師免許が取得できる1年制〜3年制学科を設けており、調理の技術と知識を総合的に習得することができます。

辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校 学科紹介

調理師本科(1年制) 全ジャンルの基礎的な技術と知識を習得。現場に必要なスキルを徹底して身につける短期集中型カリキュラム。
調理技術マネジメント学科(2年制) 第1学年で基礎技術を、第2学年で専門性を習得。自分の適性を理解し専門分野に進む土台をつくる。
高度調理技術マネジメント学科(3年制) 定員40名という少数精鋭かつ内容の濃い教育で社会における「食」の役割を探求する3年間。

岡本「調理師は料理を作るだけという印象が強いかもしれませんが、衛生面などの知識が不可欠です。たとえば、飲食業界は食中毒など衛生管理についてはとてもシビアな世界なので、料理の技術よりもこうした知識がカリキュラムとしては重要になってきます」

調理師免許を目指すのであれば、調理師養成施設へ行かなくても、実務経験を2年以上積むことで調理師試験の受験資格が与えられます。しかし、学校で約960時間かけて教わることを、働きながら独学で習得する必要があります。

調理師養成施設では、調理に関する理論と実践を習得しやすいカリキュラムが組まれています。先生や仲間たちと教え合い、学び合いながら知識と技術を同時に身につけることができるため、効率のよい学びが可能です。

辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校のカリキュラムの特徴とは

調理師養成施設は調理師となるための教育内容や教育指針が厚生労働省によって定められています。調理師として必要な知識及び技能の習得を目指すため、6つの必修科目を学びます。

食生活と健康 90時間(3単位)以上
食品と栄養の特性 150時間(5単位)以上
食品の安全と衛生 150時間(5単位)以上
調理理論と食文化概論 180時間(6単位)以上
調理実習 300時間(10単位)以上
総合調理実習 90時間(3単位)以上

情報引用元:公益社団法人全国調理師養成施設協会

——どの施設でも同じ教育内容が課される中、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校には他校と比べてどんな違いがあるのでしょうか。辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校ならではの独自性は、どこにあるのでしょうか。

岡本「本校では『なぜ』そうなるのか、理論を考える姿勢を大切にしています。

体を動かして作業する実習のような授業は、野球でいえばバットの素振りと似ています。

コーチと同じようにバットを振れるようになれば、ボールに当てられるようになりますが、『なぜバットをこう持つのか』『なぜこういうふうにバットを振るのか』を理論立てて体得していくほうが自分のものになりやすい。

それと同じで、『なぜこういうふうに包丁を持つのか、こう動かすのか』と考え、理論を学ぶことで確実に身につけていくんです。

たとえば『お造りを切る』という1つの作業に対しても、切り方の違いが身に与える効果や、厚みに対して人が感じる美味しさの違いを、実際に試食して、議論して、それを理解したうえで実習をし、検証する。それを積み重ねることで、将来自分が使える力を身に付けていきます」

料理の「理論」を学ぶことの大切さについて、高岡先生、岡本先生は次のように話します。

高岡「多くの学校では実習をメインにしていますが、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校では実習とともに理論にも重きを置いています。なぜかというと、理論は学校だからこそ学ぶことができるものだからです。

実践トレーニングは学校の授業以外でもできますし、卒業して現場で働き出せば必然的に手を動かす時間は増えていきます。

どうすれば美味しく調理することができるのか、学校で理論と基礎技術を身につけ、現場に出てから実際に手を動かしてトレーニングを積む。辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校では、理論をしっかりと身につけることで、卒業して現場に出たあと各自で成長していけるようなカリキュラムを提供しています。

たとえば、西洋料理の授業ではこんなことをしています。お肉を焼くときにはフライパンをしっかりと余熱して焼くことが一般的ですが、その授業ではあえて、余熱の足らないフライパンでもお肉を焼きます。両者にどんな違いがあるか、見た目や食べたときの味を比べるんです。

こうした失敗例も一緒に見せると、勘の鋭い学生は『失敗』の理論を逆手にとって、あえてオリジナルの料理に挑戦しようとする。料理を自分のものとして表現しようとします。身をもって調理の理論を実感できる授業です」

——調理の理論を学ぶのは一見難しそうに感じられますが、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校では学生が学びを得られるよう、どんな工夫をしているのでしょうか。

高岡「理論の授業は先生が一方的に話をして終わってしまうことが一般的ですが、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校ではまず、私たちが実際に料理をつくり、理論を“実践”して見せて、それを学生に食べてもらいます。学生は理論とともに、五感を使って体験を重ねていくので、記憶に定着しやすいのではないでしょうか。

次にその料理を見たり、味わったときに記憶から呼び起こしやすいように、ただ食べるのではなく、それを自分の引き出しに入れて次の機会に思い出せるようにと教えています」

——誰かに教えてもらわなくても、ネットや動画サイトを見れば料理の仕方が学べるこの時代に、辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校のカリキュラムは変わらず価値を持つのでしょうか?

岡本「私たちがよく口にするのは、『なぜ?と問い続けるクセ』『よく考えるクセ』を身につけようということです。そういう授業から得た学びは、レストランやホテルで料理を作ったり、テレビに出たり、さまざまなシーンでつながるところがあると思っています。

時代が変化するにつれ、さまざまな情報が簡単に手に入るようになりました。何でもすぐに手に入れられるようになったことで、これまでやっていた対面での授業の価値は下がってしまったともいえます。そうした時代に対面で授業をする価値とは何かと考えたときに、こうした『なぜ』と問い続けるクセをつけることの大切さを伝えつづけることという原点に返っていったんです。

料理の世界では長きにわたって、メニューを再現して作り方を覚えるという時代がありました。そうではなく、この料理に何が隠されているのか本質を見抜き、自分がそれを使えるようにならなくては、料理のプロにはなれません。

私が学生だった頃に学んだ日本料理の理論や先人たちが引き継いできた技術は、当時の自分には、とても有意義なものでした。しかし、あれから二十数年経ったいま、当時教わった内容と今私が教えている内容とでは大きく異なっています。

なぜなら、時代は変わるからです。その時代の『本物』を教員自身が勉強し、教える内容を変えていく。

辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校の授業は、変わらない『本質』をその時代にあわせた方法で教えることです。これは二十数年前も今も変わっていません」

調理師専門学校で学ぶことで得られる出会いがある

学校には、同じ料理好きの先生や同級生、先輩といったさまざまな「人」が集まっています。辻󠄀󠄀󠄀調理師専門学校ではこうした学校ならではの環境を学びに活かしています。

高岡「授業は、あえていろんな人と関わるような授業スタイルにしているので、そうすることによって調理師としてのよい出会いにつなげてほしいという気持ちもあります。

人間にはときどき、料理もできる、コミュニケーションもうまい、経営の才能もあるという人もいますが、そういった人は千人に一人。一般的には、料理の腕はすごいが経営の才能がなかったり、その逆だったりします。学校で、気が合う人同士が出会って、将来的に一緒にお店を出したという卒業生もいます。

自分の将来にわたって競い合える、あるいは手を携え合える仲間が見つかるところが調理師専門学校のよさではないかと思いますね」

将来料理の仕事に就くにはさまざまな方法があります。また、学校や教育機関によっても教え方は大きく違います。料理の仕事をするためにどの進路をとればよいか迷っている人は、自分が最終的に何を得たいか、将来の目的を描いてみましょう。

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