ブラックライトであぶりだす、食品取扱者の理想の手洗いを学生が検証する! ~「食品の安全と衛生」の授業の様子~
入学して、あっという間に1か月がたちました。
気温も上がり、食中毒が気になる季節になってきました。
お弁当を持参する場合は、保冷剤や保冷バックを利用するなど注意が必要ですね。
今回は、専門講義科目の「食品の安全と衛生」の授業の様子の紹介や、
私たち教員が授業実施に向けてどのように授業の準備をしているのかについて紹介したいと思います。
≪食品の安全と衛生の授業 ~手洗い実験~≫
食品の安全と衛生の授業では、
安全でおいしい食の提供ができる料理人・菓子職人になるためのノウハウを学んでいます。
前期(4~9月)の授業では、食中毒を起こさないための衛生管理について学びます。
1回目の授業は、実習室で実施しました。
新品のコックコートを着て実習室に入室し、先生の説明を聞いた後、早速実験スタートです。
手に蛍光塗料を塗って菌に見立て、手を洗った後ブラックライトを当てて洗い残しを確認する実験をしました。
素手で手洗いした時に、洗い残ししやすい部分の確認や、
手袋をはめて手洗いした場合、素手の時と比較して汚れの落ちやすさについても検証しました。
写真1
写真2
洗い残しの箇所は、ブラックライトを当てると白く光って見えます。
写真1は、入念に手洗いしてかなりきれいになった状態、
写真2は、手袋をはめた手で蛍光塗料を付けた手洗い前の状態です。
授業後の学生の気づきをいくつか紹介します。
(学生レポートより抜粋)
◆いつもより爪のあいだを意識して洗ったのに、ブラックライトでみてみると
ぜんぜんまだ残っていて意外と取れないものだと思いました。
また、爪ブラシで洗うと、よく取れたので爪ブラシの偉大さを痛感しました。
実習ではお客様の安全を守るためにも意識的に洗いたいと思いました。
◆思っていた以上に洗えてないところが多かった。
特に爪の間や関節など手がボコボコしているところが洗えていなかったり、
手の平が全然洗えていなかったりしたので2回の手洗いでより丁寧に洗うことが大事だなあと思った。
これから自分が食を扱う人間として食中毒などを起こしたりしたら嫌なのでしっかり洗うことが大切だと思った。
◆丁寧な手洗いを1回しただけでも菌は落ちてない事が衝撃でした。
仕事でも家でも複数回の手洗いを実践したいと思います。
やはり手の洗い方だけで清潔状態がガラッと変わるのは驚きでした。
手の洗い残しを目で見る授業を通して、学生達は衛生的な手洗いを意識し、
手洗いをしっかりと行うことの大切さを実感していました。
5月の授業では、4月に学習した内容をふまえて、食品取扱者の衛生管理についてグループワークを行い、
洗浄・殺菌・消毒について実験と発表を通して検証しながら学んでいます。
グループワークの様子
実験の様子
発表の様子
≪日々の授業 誕生秘話≫
今回の手洗いの授業は、
2016年に辻調の教職員で、衛生的な手洗いの検証をした時の知見も授業に取り入れています。
学生に教えるために、私たち、教職員も日々勉強し、より良い授業のために模索しています。
衛生的な手洗いの検証実験の様子
たくさんの先生方が参加しています
人から人に、菌が移動する様子の検証
菌に見立てた蛍光塗料を付けた手で握手をすると、
次の人の手にも蛍光塗料がついているのが見えますね。
こんな風に、菌は人から人、人から物に拡散していく様子がイメージできます。
こんな風に、毎日の授業を実施するにあたって、
私たちはどのように教えたら、記憶に残りやすいか、学生が理解しやすいか、
他の科目とのつながりについても教員同士で熱く話をしながら教材研究をしています!
小金井市内の完熟イチゴのおいしさに感動しながら、
地産地消や栄養成分、味の特性について語り合う先生たち
海藻の美味しい調理方法について試作しながら語り合う先生たち
今後の授業も学生がワクワクする内容になるよう、
私たち教職員は全力で取り組んでまいります。お楽しみに。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 東京
専門講義科目グループ
食品の安全と衛生、くいしんぼうラボ 担当
井原啓子
管理栄養士、中学・高等学校教諭免許(家庭)取得
専門は、品質管理、食品科学、家庭科
調理師学校、製菓学校、「エコール 辻 東京」を経て、「辻調理師専門学校 東京」勤務。
趣味:水泳(ほぼ毎日、泳いでいます)。食べることや作ること、食材巡りも大好きです。
大学で野生キノコの研究をしたことがきっかけで、キノコが大好きになりました。
近年は、キクラゲの栽培にもはまっています。