Le Voyage D'Ernestine(ル・ヴォワイヤージュ・デルネスティーヌ)
フランスでは5月に祝祭日がたくさんあります。メーデーや1945年の戦勝記念日、キリスト昇天祭があり、
今年の5月は4連休が3回にもなります。日本でいうゴールデンウィークのような感じですね。
その連休を使って今回はフランス南西部にあるペリゴールを訪れました。
世界遺産にも登録されているラスコーやルフィニャックをはじめとする先史時代の洞窟壁画、パディラックの鍾乳洞、『フランスの最も美しい村』が点在しており見どころが沢山あります。そして美食の地としても知られ、フォワ・グラやトリュフ、鴨肉などが名産品です。その他にもクルミやヘーゼルナッツ、イチゴやイチジクなど美味しいものがいっぱいある地域です。旅行の最終日、パディラックの鍾乳洞を訪れたあと、その近くの村にあるレストラン『Le Voyage D'Ernestine』(ル・ヴォワイヤージュ・デルネスティーヌ)でランチを食べました。
お店を経営されているのはロビンさん、アドリアンさん、セリアさんの友人3人組です。とても仲が良く、友達の家に招かれたような雰囲気の中で食事をすることができました。
ロビンさんはキッチン担当です。アラン・デュカスの系列店での勤務や、日本人やオーストラリア人のシェフの下で働いた経験もあるのでアジアをはじめとする諸外国の料理が大好きなんです。
アドリアンさんもキッチン担当です。お肉屋さんでの勤務経験を活かし、レストラン近郊の農家から仕入れた肉類の仕込みや調理を行なっています。
セリアさんはホール担当。フランス国内のホテル勤務をはじめ、京都にあるアラン・デュカスのレストランでも数年働いていました。
店内に入ると大きなバーカウンターや木製テーブルが並べられ、温かみのある感じになっています。
席について、アペリティフからいただきましょう。
写真左から、『柚子酒』、『すっぱい梅酒』、『クルミのワイン』(クルミを浸け込んだ蒸留酒)、『ラタフィア』(ぶどうから作る蒸留酒)の4種を注文しました。ペリゴール特産品のクルミを使った食前酒やこの地方で作られるお酒の他、日本のお酒などもありました。
メニューはア・ラ・カルトのみ。フランスでは珍しく前菜は複数人で取り分けるスタイルの料理だったので、つい沢山頼んでしまいました。
『KFC』 ( Korean Fried Chicken )
ネーミングの面白さ!! 韓国のヤンニョムチキンです。
『Bao Maison』
台湾発祥の料理で、現地の屋台ではB級グルメとして人気の一品です。甘辛く煮込んでほぐした豚肉、キムチやきゅうりのピクルス、赤玉ねぎのスライスや香菜など好きな具材を蒸しパンで挟み、豪快にいただきます!
『Pâté en croûte Maison』
アドリアンさんが作ったパテ・アン・クルートです。豚肉や子牛肉の他、名産品のフォワ・グラ、ドライアプリコットやピスタチオナッツが沢山入っている伝統的なものでした。一緒に付けながら食べるマスタードクリームがアヒルの形になっています。こういうさり気ない可愛らしさがいいですね。
次にメイン料理です。
『Poisson du moment』
魚料理はその日の仕入れによって変わり、今日はスズキをポワレしたものでした。ソースはにんじんのエキュームに黒レモン(ライムを天日乾燥させて作ったもので、パウダー状にして使用する中近東のスパイス)の香りをつけたもの。つけ合わせはフヌイユの蒸し煮です。
『Le Poulet de la famille Dale』
契約農家のダルさんのところで飼育された鶏肉を使った一品です。鶏肉のムースの中には、胸肉とたっぷりのマッシュルームが層になっています。コロッケに仕立てたもも肉、ソースは鶏ガラを煮出して作ったものにヴァン・ジョーヌ(フランス東部で作られる黄ワイン)や味噌が加えてある独特な味のものでした。横にスパイスが添えてあるのですが、『毛沢東スパイス』などと呼ばれ中国の湖南省の料理です。唐辛子や中国山椒、胡椒といった辛味やシビレのスパイスにフライドガーリックやフライドオニオン、ナッツ類が混ぜられている混合スパイスです。
『Echine de Porc Char Siu』
豚肩肉のチャーシュー仕立て。こちらは2人前からの注文になり、すごいボリュームです。甘みのあるソースがお肉に十分に染み込んでおり、食べ飽きない味でした。つけ合わせのじゃがいものローストは、外はカリッカリ&中ホックホク。しかもパルメザンチーズがまぶされているので、食感と旨味がベストな状態でした。んーーー、正直いうと熱々の白ご飯が欲しかった!
料理に合わせて、この地方のローカルワインを頼みました。
『Les Brumes, Domaine des BUIS, 2023』
Pauline BROQUA(ポリーヌ・ブロッカ)という女性生産者がシュナン・ブラン100%で作る自然派ワイン。僅かに濁っていて微発泡の白ワインで、フレッシュなパイナップルの香りが特徴的でした。今回のアジアンテイストの料理にはピッタリの相性です。
続いてデザートです。
『La Fraise』
シャーベット、マカロン、ムースにそれぞれイチゴが使われており、旬を感じる春らしいデザートでした。クレーム・ディプロマットやバラの香りをつけたシロップも添えられています。
『L'Œuf』
卵が大好きな私が注文したのはもちろんこのデザートです。卵? と思って中を割るとトロトロの黄身が流れ出てきましたーーー!白身の部分はアーモンド風味のガナッシュ、黄身の部分はバニラ風味のクリームにウコンで色をつけたもの。卵の下にはカダイフ(小麦粉で作った極細の麺)やアーモンドのプラリネが敷いてあり、まるで鳥の巣のようです。
最後にコーヒーや玄米茶をいただきました。
レストラン名にVoyage(ヴォワイヤージュ 旅行)とあるように、世界旅行をしながら多国籍な美味しい料理を食べる体験ができました。洞窟壁画や鍾乳洞見学もできるペリゴール。
この地を訪れた際にはぜひ寄ってみたいレストランとしてオススメします。
『Le Voyage D'Ernestine』
182 Grand Rue, 46500 Alvignac
Tél:+33 (0)5 65 11 76 20
HP:Home | Voyage d'Ernestine restaurant bistronomique et vin nature Alvignac /


