FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

Restaurant LE CHAMBARD(レストラン・ル・シャンバール)

フランス校 食べ歩き日記

2023.03.03


今回は紹介するのはアルザス地方コルマール近郊カイゼルスベルグにあるRestaurant LE CHAMBARD(レストラン・ル・シャンバール)です。2005年にミシュラン1ツ星、2014年に2ツ星を獲得しました。

シェフのナスティ氏は2007年にはM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を受章されています。この年は570名の受験者がいながら9名しか合格者が出なかった難関の年でもあります。そして2023年「ゴ・エ・ミヨ」の年間最優秀料理人に選出されている実力派シェフです。

店内は明るすぎない照明の落ち着いた空間で、ジビエのインテリアがある遊び心がある雰囲気でした。

今回頂いたのは5品提供される≪L'EXPRESSION≫230€を注文し、シェフのエスプリを大いに感じてきました。

L'Alsace en quelques bouchées


【左奥】 エスカルゴのクロメスキでパセリを混ぜたパン粉の中にエスカルゴが入っています。口の中で弾けるようなインパクトがありました。

【右側】 シャモワというウシ科でフランスではジビエとして人気があり、プレゼしてリエットにしたものをパイ生地に巻いています。仕上げにソテーしていてシャモワ肉と香ばしさがマッチしていました。

【真ん中】バターナッツのピクルスを麺状にしたタルトレット。 

【左側】 パン生地の上にシャンピニョンムース、生ハム、馬肉を乾燥させて鰹節のように削って散らしています。

【手前】 タピオカのチュイルと燻製させたオンブル・シュヴァリエを合わせたものです。

こちらはアルザス地方を代表するタルトフランベを再構築したものになります。

アルザス地方のフロマージュブランで作ったエスプーマ、中に炒めた玉ねぎ、ラルドンが入っています。生地は細い棒状にして焼き上げ、ディップしたり、ちぎって中に入れて一緒に食べたり出来ます。本来のタルトフランベより滑らかな口当たりで軽く仕上げられていました。


L'Anguille < au vert> légèrement fumée et laquée aux agrumes

こちらの料理はナスティ氏のスペシャリテです。パセリの香草を加えた魚のムースをウナギに挟み、燻製にして低温で火を通した後仕上げに鶏のジュを表面に塗り、サラマンドルで焼き上げています。ポロねぎのピューレとオレンジのジェルを添えています。うなぎは日本の蒲焼きのような香りでしっとりと火入れされ、ポロねぎの甘さとオレンジのジェルがアクセントになった一品です。

La Noix de coquille St Jacques de plongée < du Vendangeur > à l'huile de pépins de raisin d'exception

ポワレした帆立の下に季節のキノコのデュクセル、上にはタルタルが盛り付けられています。ソースには帆立の出汁をベースにしたクリームソース、香草のオイルを散らしています。西洋わさび(レフォール)をテーブルの目の前で削って提供されました。

La Omble chevalier de nos montagnes < cuit à la cire d'abeille > vinaigrette tiéde au miel et huile de sapin

オンブル・シュヴァリエという川魚を1人前にカットし、スチームモードで火を通して皮を取り除きます。そして木製の型の中に入れて上から75℃に温めた蜜蝋をかけて7分間かけてゆっくりと火を通します。テーブルごとに目に前で演出をしていただきます。つけ合わせにはカブのブレゼ、アーモンドのピューレ、セロリとりんごのピクルス、ソースをヴァン・ジョーヌのソース・ヴァン・ブランでした。

La Choucroute nouvelle de Krautergersheim, truffe noire et jus de livèche

もう一つアルザス地方の郷土料理でシュー・クルートがあります。そちらを再構築した1品です。本来ならキャベツを発酵させたものと食肉加工品を煮込んだ料理ですが、今回は肉類を使用せずに仕上げられていました。ちりめんキャベツをブレゼして上にはトリュフの千切り、酸味を効かせた香草のソースを流します。全体を覆い隠すようにちりめんキャベツチップスを添えています。

キャベツを外すとこのように盛りつけられていました!


Le Gibier d'Alsace cuisiné dans la selle, compotée de myrtilles des Vosges et échalotes, kassknepfle de nos grands-mères

メイン料理は鹿ロースのロティ、上にはキノコを乾燥させて削ったものを添えています。つけ合わせにエシャロットのコンフィ、かぼちゃのピューレ、小玉ねぎのフリットを組み合わせたもの、じゃがいもとサワークリームのピューレとチーズのガレット、ブルーベリーの甘いピューレ、鹿の骨、切れ端のお肉をベースにしたジュ・ド・シュブルイユで仕上げにトリュフを加えたソースが盛りつけられています。別添えで肩肉の赤ワインのブレゼ、季節のキノコをソテーしたものが添えられています。鹿肉を噛み締めるとジューシーで旨味を感じられるような火通しで香り高いソースとの相性は抜群でした。

Le Munster et le cumin à manger du bout des doigts

薄め生地をタルト型に焼成して上にはマンステールのエスプーマを絞っています。上には蜂蜜、クミンシード、花を散らしています。

Dessert【1】

栗のグラスの上に栗蜂蜜の香りを移したエスプーマソース、ローストしたアーモンドパウダーを振りかけています。

Dessert【2】

L'Églantine des vignes et la châtaigne de nos forêts, vinaigrette sucrée à la poire Williams

右側のお皿は洋ナシのロティを底に盛りつけ、ヘーゼルナッツ、栗の小さな角切りを覆うように栗粉とそば粉のチュイルを乗せています。上には栗のチップス、洋ナシとりんごのソースを添えています。左側は栗のアイス、唐辛子のソースです。さまざまな栗のバリエーションで洋ナシとりんごのソースは相性抜群でしたが、中でも唐辛子のソースがほんの少しのピリッとした辛味で全体を引き締められる1品です。

L'Alsace goumande

【左側】   ボンボン・ア・ラ・リキュール(ウイスキー、オレンジ、フランボワーズ)

【真ん中奥】 ボンボンショコラ(紅茶風味)

【右側】   ブリオッシュ、りんごのコンポート、クレーム・ド・バニラ

【真ん中手前】メレンゲ、カカオパウダー、ブルーベリーのコンポート

今回頂いたコース料理で地産地消のようなテーマを感じました。土地の食材、伝統を尊重し、モダンなシンプルさより良く昇華させています。演出にもこだわりを感じられ、快適な時間を過ごすことができ、とても印象に残るレストランでした。

Restaurant LE CHAMBARD

住所 9-13 RUE DU GENERAL DE GAULLE 68240 KAYSERSBERG

電話 03 89 47 10 17

https://www.lechambard.fr/fr/restaurant-gastronomique.html