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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M.Sébastien BRAS(セバスチャン・ブラス)氏/Maison Bras - LE SUQUET(メゾン・ブラス‐ル・シュケ)

フランス校教壇から

2019.09.12

"Maison Bras"はフランス南部のオクシタニー地域圏アヴェロン県にある人口1,200人あまりの小さな村、ラギオール(Laguiole)にあります。オーブラックとも呼ばれるこの地域は、フランスの中央高地の一地方で、面積は凡そ1,300平方キロメートルです。レストランはラギオールの村とオーヴェルニュの高原が一望できる丘にあります。

レストランを開業したミシェル・ブラス氏(Michel Bras)の、料理人としての経歴は極めて平坦なもので、修業に出たわけでもなく、誰かに師事したわけでもありません。ヌーベルキュイジーヌ全盛の頃に名だたるシェフたちが活躍する中、その波に飲まれず個性的な新作の料理を創り出していきました。「香草使いの魔術師」「料理の錬金術師」などと表され、オーブラックの自然を取り込んだ料理は誰にも真似することはできませんでした。

2009年になると息子であるSébastien Bras(セバスチャン・ブラス)氏に世代を交代します。意思を受け継ぎ、スペシャリテである"Gargouillou(ガルグイユ)" は進化しながら健在であり、毎日このレストランを食べに多くの人々が来られています。ヨーロッパ圏内、アメリカ、ブラジル、アイルランド、イギリス、台湾、中国、日本などの国々から訪れています。毎日約50名、最大では約70名の予約があり、連日暇があることはないようです。

セバスチャン・ブラス氏に店のコンセプトや料理についての思いなどを語って頂き、研究生にとっても今後フランス料理を仕事として働いていくうえで、フランス料理の魅力について大変勉強になりました。

披露して頂いた料理は玉ねぎを使った料理を3皿です。
今回、料理名はありませんが、色々な野菜、香草、ニャック(日本の薬味のようなもの)オーブラックの自然を表現できるような形で皿に盛り込まれました。

ホワイトクイーン(トマト)とカラマンジーの酢で作ったガスパチョを敷き、柔らかく火を通した玉ねぎの上にニャックをのせる。(オリーブ、レグリズ、黒糖やエピスを使いペースト状にする)
歯ごたえのあるデネオカルの花、オリーブ油を塗ったリゾロンド(ほうれん草のような葉)を添えて、ミルペルテュス・オイル(赤いオイル)を散らす。

器にポー・ド・レ(牛乳を85〜90℃まで温めると表面に膜ができる、湯葉のようなもの)を敷き、柔らかく火を入れた玉ねぎを角切りにしてセルクルに詰め、ロブ・ド・トマト、バター、砂糖、モストラード、ピマン・ド・エスプレットで作った生地をのせ表面焼き上げたものを置きます。夏トリュフを散らし、エピナ・マラバーゼル(ほうれん草の一種)を飾る。

サフランと一緒に火を通したオニオン・フローランスを縦に切り分け、シトロンコンフィで作ったニャックの上に置く。酸味のあるオゼイユ・ギネ、アニス系の香草、野生のフヌイユ、アガスタージュを飾り、クールブイヨンとサフランで作った液体と泡を盛り付けています。