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辻調グループ フランス校

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宮崎 辰さん プルミエ メートル ドテル「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」

卒業生レポート

2013.03.22

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宮崎 辰さん Shin Miyazaki
[ エコール 辻 東京 ]辻フランス・イタリア料理マスターカレッジ 1996年3月卒業
シャトー・エスコフィエ フランス料理研究課程 1996年 春コース卒業
研修先: La Bastide de St-Tropez

店名:シャトーレストラン ジョエル・ロブション
プルミエ メートル ドテル
東京都目黒区三田1-13-1 恵比寿ガーデンプレイス内
℡ 03-5424-1347
HP: http://www.robuchon.jp/joelrobuchon /

『フランス校は、第二の人生の出発点』

ミシュランガイド東京が発刊されてから今年で6年、その間常に3ツ星を獲り続けているフランス料理
「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」は、東京・恵比寿にあるその名の通りお城のレストラン。
この最高峰のレストランでプルミエ メートル ドテルを務めるのが宮崎辰さんです。

フランス校を卒業し、1997年にスタージュを終えて帰国。初めて就職したお店でセルヴィス(給仕)担当となり、
その仕事に一気に魅せられていきました。その後、名だたるグランメゾンでセルヴィスのキャリアを磨き、
2006年に初出場した国内唯一の権威あるセルヴィスコンクール「メートル・ド・セルヴィス杯」で準優勝。
2年後行われた同大会では第3位、そして2010年3度目の出場でついに優勝し、世界へ挑戦することとなりました。
2012年11月に行われたセルヴィスの世界大会「クープ・ジョルジュ・バティスト」に日本代表として出場し、
見事優勝!日本人初という快挙を成し遂げました。

「クープ・ジョルジュ・バティスト」は、1961年にフランスでスタートしたセルヴィスのための大会です。
昨年東京で行われた世界大会では14カ国24名の出場者が競い合いました。審査内容は、オーダーテイク(注文)、
前菜を始めとする各料理、デセール(デザート)、カクテル、ワイン、テーブルセットなど9つの課題が与えられ、
全てにおいて制限時間内に、かつ母国語以外で行わなければなりません。
さらに審査は全てその道のスペシャリストによるもので、非常に厳しい目が注がれます。審査においてもっとも
比重の大きい点は「プロフェッショナルとしての態度」。そこには、表情・目線・立ち振る舞いの優雅さなどプロとして
必要不可欠な要素が含まれています。それほど厳密かつ詳細にわたる審査の結果、宮崎さんは見事
世界一の栄冠を掴まれました。
そんな氏に、フランス校時代を振り返りつつ、現在の仕事について語っていただきました。

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世界大会当日。事前説明の後、いよいよ審査の始まりです。

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審査員の厳しい表情がさらなる緊張を高めます。

■ 『ジョエル・ロブション』メートル ドテルの役割とは・・・
メートル ドテルとは、ゲストへ直接サーヴィスする部門の最高責任者です。ゲストを迎え入れる前の
テーブルプランや特別メニューを作成することはもちろん、4人の部下へ的確に指示を出し、テーブルサーヴィスに
あたります。もちろんチーズやワゴンデザートもサーブします。メートル ドテルは、シェフ ドラン(※1)を従え、
2人のコミ ドラン(※2)を抱えるサーヴィス実務の責任者でもあります。
ゲストをテーブルにアテンドし、オーダーを取った後は、常にダイニングで様子を見ながら、9つのテーブルを
担当しています。お出迎えからお見送りまで全ての仕事に責任がある立場なのです。

※1 シェフ ドラン:メートルの補佐、サーヴィス実務補佐を行う。メートル不在時にはオーダーをとり、
直接ゲストとコンタクトをとる。
※2 コミ ドラン:ホールとキッチンの渡し役。シェフ ドランの補佐とメートルのオーダーをキッチンに連絡する役割。

メートル ドテルとして常に心掛けていること、最もやりがいを感じられること
心掛けていることは『気配り、気遣い、常にゲストの3歩先を読むこと』、この3つです。
ゲストがなぜロブションに来店してくださったのかを常に心に思うこと。ゲストは驚きと感動によって
また来てくださるので、それをいつも考えています。
やりがいは、ゲストがまた戻ってきてくださった瞬間ですね。笑顔や「ありがとう」の言葉ももちろん
嬉しいのですが、本当に『また来たい』と思って戻って来てくださった瞬間が、私にとってさらなるやる気を
与えてくれます。

「クープ・ジョルジュ・バティスト」挑戦あたって最も苦労されたこと
「色気」ですね。外国人には生まれ持った色気があり、それはサーヴィスには不可欠な要素ですが、
日本人の私にとってそれが非常に難しかったところです。残念ながら今もありませんが・・・(苦笑)。


いつ頃からサーヴィス世界コンクールを目標とされたのでしょうか?
メートル・ド・セルヴィス杯(国内大会)で優勝してからです。

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優勝の瞬間!

■ 「クープ・ジョルジュ・バティスト」優勝の瞬間と、今のお気持ちをお聞かせください
優勝した瞬間は今までの苦労や、育ててくださった方々、お客様のことが一気に頭を過ぎりました。
喜びと同時に念願の夢がかない、思わず号泣したほどです。
ただ、今は「世界一だから・・・何?」という思いでいます。毎日ロブションに来てくださるお客様のことを
考えているので、それは優勝前と何ら変わりはありません。

世界一の栄冠を手にされ、今後の目標をお願いします。
「メートル ドテル」の職業を世に広め、一般の方々にもこのような職業があることを知ってもらうと共に、
レストランで楽しむにはメートル ドテルが不可欠であるということを伝えていきたいと思います。

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大会後日、後輩達のために学校へ講演に来てくださいました。サーヴィスの世界一である先輩から聞く話は、
在校生にとってとても興味深いものでした。

■ フランス校で学んだこと
気の合う仲間と知り合えたこと。これは私の人生でかけがえのない出来事になりました。今では国内外方々に
散らばっていますが、それでも常に連絡を取り合っています。そのようなことができるのは、同じ釜の飯を
食った仲で、苦しいときも楽しいときもいつも一緒にいた仲間だったからだと思います。
学生時代は遊ぶ(第一の人生)のが仕事でしたが、フランス校は仕事(第二の人生)と遊びが半分半分。
ですから、フランス校は私にとって第二の人生が始まった大切な場所です。

■ フランス人シェフの言葉で今でも記憶に残り、影響を与えている言葉
Bien(よろしい。いいですね。などの意。よく使われる言葉です)

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(左写真)サーヴィス授業での1枚。フランス校ではサーヴィスの最優秀賞を受賞した宮崎さん。
既にこの頃からサーヴィスの仕事は面白い!と感じ始めていたそうです。
(右写真)スタージュ先の様子

■ フランス校・スタージュで学んだことや経験した今でも印象に残っていること
フランス校は集団生活です。同じ希望や夢を持った仲間と24時間いられるのは人生の中でもなかなか
経験できないことだと思います。そして、その仲間は今でも当時のままであり、一生の宝と言えます。
そして、スタージュへ出て独りになった時、最後に頼れるのは自分自身。そして精神力が大切だと実感しました。

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フランス校時代の様子

■ フランス校を目指す後輩達へのメッセージ
一日一日を大切にしてほしいと思います。そして、異国文化を肌で感じてほしい。
やるならやる、できなくてもやる、という意識を持ってほしいです。若いのだから、怖がらず一生懸命
何にでもチャレンジしてください。
経験こそが自分の血となり肉となり、いつかそれが大きなものになって自分に返ってきます!
フランス校は技術知識だけを学ぶものではありません。人間を大きくする、人として大きくなれる場所なんです。

≪ 番組出演のお知らせ ≫
宮崎さんがNHKのテレビ番組に出演されます!
4月1日(月)午後10時~、NHK総合テレビ『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演されます。
世界一のサーヴィス、その感動はどのように生まれるのか?
宮崎氏がサーヴィスの世界大会に挑戦される姿を追っています。

最後に撮影を終えた宮崎さんより、コメントをいただきました。
「四六時中の密着取材は正直疲れ果てました。。。(笑)しかし、レストランで起こるドラマが
こんなに素晴らしいものなのだということを、きっとわかっていただけることでしょう」

ぜひご覧ください!

※放送予定は変更になる場合があります。詳しくは番組ホームページをご確認ください。
番組HP: http://www.nhk.or.jp/professional/


協力:「クープ・ジョルジュ・バティスト」サーヴィス世界コンクール東京大会実行委員会 / フランス料理文化センター