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食のコラム&レシピ

【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】 鰤で日本料理

05<日本>それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪

2012.01.11

【それゆけ!じゃぱに~ずクッキング♪】ってどんなコラム?

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●鰤の粕汁●

10kgを超える鰤
 皆さんは富山県の氷見(ひみ)市というところを知っていますか?この氷見市にある漁港で水揚げされる鰤は「氷見ブランド」としてとても有名で、金沢の高級料亭や割烹などでは、冬になると造りや焼物、煮物によく使われます。中でも鰤大根は格別で、鰤の旨みが染み込んだ大根はたまりません。
 さて、そんな鰤ですが、一般的には70cm以上のものを鰤と呼んでいます。皆さんも知っているとは思いますが、鰤は出世魚で、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」の順に、成長とともに名前が変わります。地域によって、成長途中の呼び名が少し変わることもありますが、「鰤」だけは全国共通のようです。

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 鰤には天然物と養殖物がありますが、今回テーマに取り上げる「10kgを超える鰤」は天然物の話です。あるテレビの収録で「鰤の照り焼き」と「鰤の粕汁」を作ったときのことです。
 収録のためにスタジオに入り、いつものように白衣に着替え、仕込みをする裏方に行きました。そこには、見慣れない発泡スチロールの箱が2つ置いてありました。
 「なんやろ?でかい箱やな!」と思いながら近づいていくと、箱から魚の尾らしきものがチラッと見えているのです。「あれ!?もしかして鰤?」もっと近づいて箱書きを見てみると「氷見 鰤」と書いてあるではないですか!恐る恐る蓋を開けると、そこには今まで見たことがない大きさの鰤が横たわっていました。あまりにも大きくて箱に入りきらず、尾がはみ出していたのです。聞けば、このとき入荷していた鰤は、2尾とも10kgを超え、11~12kgはあるとのことでした。
 このような大きさの鰤は普段なかなかお目にかかることはなく、その大きさに圧倒されました。しかし、この鰤を今からさばいて料理にしていくのかと思うと、ワクワクしてきたのを今も鮮明に覚えています。

 でも......ひとつ大きな障害がありました。それは、10kgを超える鰤は、体長は1mを超えるのです。魚を料理にするには、まずは「水洗い」といって、えらや内臓を取り除いて腹の中を洗う作業をしなくてはならないのですが、鰤が入る大きさの流し台がスタジオにはないのです。家庭用の小さな流し台には到底入らず、どうすれば水洗いができるのか、いろいろと考えました。
 しかし、どう考えても物理的に無理でした。強引ですが3人がかりで鰤を持ち上げ、流し台に運び、えらと内臓の入っていた部分にホースで水をかけながら処理をしました。いうまでもなく、あたり一面水浸し。3人の白衣もびしょぬれで、散々な思いをしました。
 でも、そんな苦労をしてまでもおろした鰤、その身はほんのり赤みを帯び、余分な脂はなく、腹身(鮪でいう大トロ)の部分はあめ色に輝いていました。少しだけスタッフ達と腹身を造りで試食したのですが、もう言葉にはできない美味しさでした。脂が美味いとはこのことをいうのかと、再認識させられました。養殖では味わえない極上の美味しさでした。
 それ以来、学校の授業で鰤料理をするときは、必ず氷見から10kg級の鰤を取り寄せ、学生達に本物の味を教えています。
 さて今回はテレビの収録でも作った「鰤の粕汁」です。松島先生が再現してくれますので楽しみにしてください。

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担当者情報

このコラムの担当者

なにわのB級グルメ!粉もん大好き! 橋本宣勝
辻調の御言持(みことも)ち 重松麻希

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鰤のかす汁
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