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【百人一首と和菓子】秋よなが

09<製菓>百人一首と和菓子

2011.08.31

<【百人一首と和菓子】ってどんなコラム?>

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お菓子について
山鳥は夜になると、雌雄が谷をへだてて寝る習性があるようです。この様子を表現するため、こなし生地の両端にカーブをつけ、山鳥の雌雄の尾っぽをイメージしました。

豆辞典
03 柿本人麿(かきのもとのひとまろ)
 生まれた年も亡くなった年もはっきりしませんが、7世紀後半から8世紀初頭ごろの宮廷歌人です。天武天皇、持統天皇、文武天皇の時代に活躍しました。『万葉集』を代表する歌人でもあり、長歌18首、短歌67首が残っています。「人麿」は「人麻呂」とも書き、また、「人丸」と書いて「ひとまる」と読むこともあります。歌聖とあがめられ、後の世の人々からは、歌の神様のように扱われてゆくのですが、役人としての地位や経歴ははっきり分かっていません。奈良時代の文献の記事としては『万葉集』しかないようです。歴史書に記録がないので、かえって、神格化されやすかったといえるかもしれません。

さて、歌の方ですが、

山鳥の長く垂れ下がったしっぽのように長い夜を、恋しい人と離れて、ただひとりさびしく明かすのだろうか。

くらいの意味です。
 「足引きの」は「山」にかかる枕詞で、「足引きの山鳥の尾のしだり尾の」は「ながながし」という言葉を引き出す序詞になっています。というと、前半の3句は言葉遊びのようにも思えますが、ひとり寂しく過ごさなくてはならない秋の夜の長さを、巧みに言い表している言葉の連なりとも解釈できます。
 この歌は、『万葉集』では、作者がはっきり分からない歌として出ているのですが、平安中期ごろに成立した『拾遺集』という和歌集には、人麿の歌であると出ています。ですから、本当は人麿の歌ではないかもしれませんが、追求しても解決は難しいでしょう。それよりも、歌のリズムのよさを感じたり、作者の心境に思いをはせたりしてみてはいかがでしょう。

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担当者情報

このコラムの担当者

演歌の星、和菓子職人
金澤賢吾

辻調の御言持(みことも)ち
重松麻希

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