毎日新聞「美食地質学」第38講 伊勢神宮はなぜ伊勢にあるのか
2026年7月7日(火)刊行の『毎日新聞 夕刊』に、「美食地質学」が掲載されました。
「美食地質学」は、食通のマグマ学者・巽好幸先生(ジオリブ研究所所長)と、辻調理師専門学校の教員が、地質学と美食の関係をテーマに、それにまつわる料理とお酒を楽しみながら対談をおこない、理解を深めていくという企画です。
第38講のテーマは「伊勢神宮はなぜ伊勢にあるのか」です。
前回の美食地質学では、古代ヤマト王権が奈良県の三輪山をご神体とする大神神社を中心に国家祭祀の体系を築いたことを学びました。しかし7世紀後半になると、その祭祀の中心は三重県の伊勢神宮へと移っていきます。なぜ伊勢の地に神宮が置かれたのか――。今回は、国家祭祀の舞台が三輪から伊勢へと移った背景をたどりながら、ヤマト王権の戦略と伊勢の地が持つ意味について考察しました。
>毎日新聞「美食地質学」第38講 伊勢神宮はなぜ伊勢にあるのか
https://mainichi.jp/articles/20260707/dde/012/070/003000c(※閲覧には会員登録が必要です)
料理と対談を担当したのは湯川徳之先生。
今回は、食材の宝庫として知られる三重県が誇るブランド和牛「伊賀牛」を主役に据えました。
料理は左上から反時計回りに、イチジクを牛肉で巻き、胡麻白酢クリームを添えた先付、モモ肉の藁焼きと三角バラの昆布締めによる焼き物2種、すね肉からコンソメの技法で丁寧に引いただしを用いた、みすじ肉の葛打ちの牛スープ仕立て、そしてサーロインのひつまぶし。伊賀牛の多彩な部位を、それぞれに適した調理法で味わう構成です。
先付は、低温調理によってロース肉の脂の甘みを引き出し、隠し味にサワークリームを加えた胡麻白酢クリームを合わせました。
濃厚な旨みと爽やかな後味の対比が印象的な一皿です。
スープは、すね肉から丁寧に引いたコンソメを、昆布と鰹節の一番だしで割った和風仕立て。
洋の技法を土台にしながらも、どこか親しみのある味わいに仕上がりました。
焼き物2種。モモ肉の藁焼きは、生姜を用いることで藁の香りと肉本来の旨みを際立たせました。一方の三角バラの昆布締めは、湯煎でじっくりと火を通した後に昆布で締めることで、とろけるような脂の甘みと独特の食感を引き出しています。
締めはサーロインのひつまぶし。鰻のひつまぶしにも通じる満足感を、牛肉ならではの豊かな旨みで表現した一品です。

普段は教室として使用している部屋も、この日は「なんちゃってカウンター」スタイルに。
巽先生の目の前で料理を仕上げ、一皿ずつ提供しながら、その料理や今回のテーマについて語り合いました。
酒は、兵庫県西宮市の「白鷹」特別純米酒を合わせました。テーマは三重県でありながら灘の酒を選んだのには理由があります。白鷹は1924年(大正13年)以来、全国で唯一、伊勢神宮へ御料酒を献上し続けている蔵元だからです。100年以上にわたる伊勢神宮との深い縁が、今回の料理も引き立ててくれたんですね。
今回の内容は、『毎日新聞』夕刊、あるいはデジタル版で掲載されています。ぜひご覧ください。
次回は、8月4日(火)の『毎日新聞』夕刊で掲載予定です。お楽しみに。


