毎日新聞「美食地質学」第40講 聖武天皇の彷徨(ほうこう)
2026年9月1日(火)刊行の『毎日新聞 夕刊』に、「美食地質学」が掲載されました。
「美食地質学」は、食通のマグマ学者・巽好幸先生(ジオリブ研究所所長)と、辻調理師専門学校の教員が、地質学と美食の関係をテーマに、それにまつわる料理とお酒を楽しみながら対談をおこない、理解を深めていくという企画です。
第40講のテーマは「聖武天皇の彷徨-鎮護国家へ、英気養う遷都」。
大仏建立を決意した聖武天皇は、その後「東国行幸」に出発し、恭仁京へ遷都。4年半もの間、平城京に戻らなかったといいます。今回は、その行路にあたる三重県・桑名周辺に注目。聖武天皇の足跡をたどりながら、巽先生と地質学の視点からその謎を探ります。
>毎日新聞「美食地質学」第40講 聖武天皇の彷徨 ― 鎮護国家へ、英気養う遷都
https://mainichi.jp/articles/20260901/dde/012/070/004000c(※閲覧には会員登録が必要です)
料理と対談を担当した松島愛先生が、伊勢湾のハマグリや三重県産の鹿、イノシシなどを使って料理を仕立てました。
どんな料理になったのか、順にご紹介します。
まず登場したのは、ハマグリの黄身酢がけ。
桑名のハマグリに奈良産のツルムラサキを添え、「奈良から山越え」という今回のテーマを料理で表現しています。
続いて、三重県産の鹿肉を使った「鹿じゃが」。
肉じゃが風なのかなと想像していた姿とはまったく違う料理が登場し、一同びっくり。肉じゃがを思わせる煮汁の味わいに、真空調理でしっとりと火を通した鹿肉と素揚げしたじゃがいもを合わせ、仕上げに温泉卵を添えた一品です。
今回使った鹿肉は、三重県の「みえジビエ」。登録事業者が、捕獲から解体処理、加工、調理まで、定められたマニュアルに沿って適切に取り扱った、県内で捕獲された野生の鹿肉です。
実際に食べてみると、クセがなく、きめが細かくてとても食べやすい。鮮やかな肉の色も、日本料理で普段使う肉とはまた違った趣があり、興味深いものでした。上品で繊細な味わいに、松島先生も「みえジビエ、いいですよ! 日本料理でも使いやすいです!」と太鼓判。ジビエの新たな魅力を感じる一皿でした。三重県のみなさんにも大いに協力していただきました。ありがとうございました。
さらに鹿とイノシシのから揚げ、ハマグリのしぐれ煮を包んだめはりずし、鹿とイノシシのしぐれ煮を入れたいなりずしなど。
三重の食材をふんだんに使った料理が並びました。
から揚げにすると、不思議なことに、少しだけジビエらしい(?)風味が感じられます。
みなさん、ひと口ずつ齧っては、じっくり味わっていました。
桑名といえば、やはりハマグリは欠かせません。
近年、漁獲量が大きく減少していますが、桑名産ハマグリの復活に向けて、漁協・県・市が一体となり、さまざまな取り組みが進められています。まだまだ予断を許さない状況ではありますが、地域を挙げて守り、次世代へつないでいこうという取り組みが続けられています。
今回合わせたお酒は、三重県四日市市松寺(まってら)の株式会社タカハシ酒造「天遊琳」。
1862年創業のタカハシ酒造は、四日市市に蔵を構え、鈴鹿山系の伏流水を仕込み水に使用しています。米は地元産の酒造好適米を使い、雑味の少ない、きれいな味わいの食中酒を目指して造られています。かつては伊勢神宮にも奉納され、地域で長く愛されてきた伝統のお酒です。今回は、ハマグリには冷や、鹿やイノシシなどのジビエ料理には、酸味がほどよく立つ燗酒で合わせました。
いつの間にか巽先生のすぐ手の届くところに...(笑)
料理を味わいながら、話題は奈良時代の肉食文化から、聖武天皇の放生、そして平城京・恭仁京・紫香楽宮・難波京といった都と断層帯との関係へ。歴史と地質、そして土地の食を料理でつなぐ「美食地質学」。今回も、食べながら知る楽しさが詰まった一席となりました。
助手の先生は、堀井翔先生と平尾凛先生でした。ギャラリーも多めで賑やかなバックヤードでした。
今回の内容は、『毎日新聞』夕刊、あるいはデジタル版で掲載されています。ぜひご覧ください。
次回は、9月6日(火)の『毎日新聞』夕刊で掲載予定です。お楽しみに。


