「和歌山食材テロワール事業」 有田川町視察&交流会
今年で3年目となる、辻調×和歌山県が協働の「和歌山食材テロワール事業」。
食の絆による官学連携事業を通じ、Iターン・Uターンを希望する学生への支援、
生産地・生産者を知る料理人・パティシエの育成、和歌山食材のおいしさの発信が
メインテーマになっています。
7月23日(土)に、エコール 辻 大阪の辻製菓マスターカレッジの学生、教職員が
和歌山県有田川町に向かいました。
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内容は、みかん農地見学、摘果作業体験、地元の生産者や高校生のみなさんとの交流です。
当日は、快晴で学生たちも元気いっぱいに出発です。
バスの中では、和歌山県農林水産部の方よりテロワール事業の説明がありました。
最初の到着地です。![]()
JA有田 ファーマーズマーケット「ありだっこ」です。
ここでは様々な地場農作物や加工品が販売されています。
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見ているだけでも、とても勉強になります。
学生たちは、野菜や果物を購入し、どんなお菓子を作ろうか話し合っていました。![]()
次に、千場山(せんばやま)展望広場に到着。
有田町の全景が見えます。
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ここでは、有田の土地の話、有田みかんについての説明がありました。
有田川が流れる左右の山にはみかん畑が広がっており、平地にもみかん畑があります。
昔は水田もあったそうですが、今ではほとんどみかん畑になりました。
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有田みかんは「3つの太陽」で育てられています。
①太陽、②地面の照り返し、③段々畑にある石垣の照り返し。
11月から収穫が始まりますが、今回訪れた7月は間引きをする「摘果作業」の時期です。
土地の豊かさ、人の技術が重なり、有田みかんは育てられ、出荷されていくのです。
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※注意深く、石垣を見ました。
「摘果作業」の話を聞いた後は、実際に体験!ということで、
有田中央高校の圃場に到着です。![]()
農業系列の学生たちが迎えてくれました。
ここで、有田中央高校の仲里先生より摘果作業について説明がありました。
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取り方も引きちぎらないように、上に向かって力を入れると取りやすいです。
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摘果作業は、みかんがたくさんなりすぎて、小さなみかんしか出来ないのを防ぐために行います。
農業系列の高校生のみなさんは、この時期、毎日作業を行っているそうです。
学生たちも、教えてもらいながら、作業をしていきます。
ちょっと食べてみようかな・・・・・味見をする学生も。
なんと、高校内に「アグリ・スマイル」という会社を設立しており、
3年生の学生が社長をしているそうです!
現在、育てた野菜や果物を使った商品を開発しているそうです。
これから、楽しみですね。ぜひがんばってください!
こんなにたくさん摘果しました!量にビックリです。
今年は特に多いのだそうです。![]()
30分ほど作業したあとは、教室へ移動し昼食休憩です。
メニューは株式会社カワの「梅バーガー」です。![]()
全国ご当地バーガーグランプリで一位を受賞したそうです!
梅とバーガーの組み合わせにビックリですが、酸味がいい感じでとってもおいしい!
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「1個しか注文しなかったけど、2個ペロリと食べられる!」なんて学生も。
梅ソースがおいしかったです。
昼食後は、交流会が始まりました。
有田中央高校の仲里先生より、「みかんのライフサイクルと作業について」お話がありました。![]()
中でも、高校で作っているみかんの現在の糖度と酸度を分析し、今後引き上げたい
値への話が興味深かったです。
次に、有田市青年農業士の堺氏より、「農業経営について」お話がありました。
1年を通して、有田みかんを収穫・出荷するまでの説明がありました。![]()
最後は、かんしゃ山椒園 永岡氏より「山椒テロワール」のお話がありました。
和歌山県は山椒の一大産地で、国内シェアの約7割を占めています。![]()
生産者の永岡さんは、会社員経験をされた後、山椒の事業を継いだそうです。
当初は、山椒といえばウナギの蒲焼にかけるくらい、というお客様からの
声もあったそうです。
現在では、年々海外への輸出が増えており、フランスのパティスリーや、
2015年世界のベストレストランにて一位に輝いたレストラン
「エル・セジェール・デ・カン・ロカ(スペイン)」でも
永岡さんの山椒が提供されているそうです。
「今後は、逆輸入のような形で、日本国内のみなさんにも山椒の魅力を
知ってもらえたら」という言葉が印象的でした。
続いては、トークセッションです。
辻調卒業生である、「ル パティシエ ミキ」の三鬼恵寿氏と「株式会社カワ」の町山恵留夫氏が
登壇されました。
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お二人からは、この業界の厳しさ、やりがいについてお話がありました。
とくに厳しさの部分では、町山さんの「この仕事は夢物語ではない、でも夢はもっていてほしい」という
言葉が印象的でした。
また、三鬼さんはジュースにするみかんについて、それ以外の使い方を考えており、
みかんをミンチ状に加工して、みかんのフィナンシェ「みかんシェ」を販売されています。![]()
「お菓子作りとは、チーム力です。私が作る"製品"を"商品"に変えてくれるのが
スタッフなのです。人一倍努力することが大切。どんな風に人と関わり、どんな努力をするかが
重要です。」
大変貴重なお話でした。
学生たちの心に深く、突き刺ささったのではないでしょうか。
そして、最後のプログラム・グループディスカッションです。
辻調の学生と教職員×青年事業士×有田中央高校の学生と話しあいました。
テーマは、「それぞれの立場から食材に対する想い」。
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高校生からは、
「自分で作った野菜を自分で料理して食べられる、それは楽しいし、うれしいこと。作ったものに感謝している。」
という意見が。
また、辻調の学生からは、
「普段先生から、絶対食材を無駄にするな、と言われているが
生産者の話を聞いて、身に染みてよく理解できた。捨てるのは簡単だけど、無駄にしない努力をしなくては。」
また、青年事業士(生産者)の方より「これからパティシエになるみなさんはどんな食材が欲しい?」という質問に対し、
「新鮮な食材がいい」 「安心・安全なもの」 「風味や香りがあるもの」などの答えが出てきました。![]()
「生産者の方は、あまり果物を加工せずに、お菓子を作ってほしい、でも
僕たちパティシエは加工する、お互いが納得できるお菓子を作りたい。」
「摘果したみかんや傷がついたみかんを何かお菓子にできないか。」
など様々な意見が出てきました。![]()
生産者と消費者の間にいるのが、パティシエです。
摘果したみかんや、傷がついたみかんをどうするか、
パティシエには解決することができる可能性があります。
今回の見学と交流会を通し、学生たちは生産現場の声、状況、
そしてパティシエの立ち位置、可能性をしっかりと理解することができました。


