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料理のチカラプロジェクト

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Kai's Kitchen甲斐昂成氏による「雑魚勉強会」を開催しました

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2020.11.27

皆さんは「雑魚(ざこ)」と聞いて、どんなものをイメージするでしょうか。アニメやゲームの中で弱いキャラクターが「雑魚キャラ」と呼ばれていたりと、良いイメージを持っている人はそう多くないかと思います。

「雑魚」いう言葉は本来、釣りや漁業の際に捕れる小さくて商品価値が薄い魚を総称した呼び名です。世の中には「数がまとまらない」「旬じゃない」「普段見慣れない」などの理由から、雑魚として処分される魚介類がたくさん存在しています。そんな評価されないマイナーな魚を、美味しい料理に変えて、「うまい」を知ってもらう活動を行っている甲斐昂成<カイ コウセイ>さんをお招きし、2020年11月19日(木)にエコール 辻 東京、11月24日(火)に辻調師専門学校とエコール 辻 大阪の学生を対象に、雑魚勉強会を開催しました。甲斐さんは神奈川県小田原で「Kai's Kitchen」(http://kais-kitchen.shop/)を経営されており、地元で"無価値(ムカチ)"とされる魚をどう調理するかにフォーカスを当てたワークショップや料理教室も開催されています。


勉強会では、カゴガキダイ、ミノカサゴ、ウツボ、エイなどの流通には乗らない魚を実際にさばきながら、その背景にある問題(手間がかかる点や、旬のとらえ方など)や、様々な魚にも対応するための生態を知る重要性、漁法から見える状態など、網羅的にご説明いただきました。また後半には、活発な質疑応答タイムが設けられ、その都度自らの経験に基づく解説を交えて丁寧に回答してくださりました。「自分ならどんな料理に仕立てる?」の質問については、説明された魚の特性を加味して、料理人らしいアイデアを出そうとする学生たちの真剣な様子も見られました。

魚一匹は一つの尊い命です。料理人や飲食店経営者から流通や需要を変え、買う人のマインドを変えることができれば、雑魚の価値が変わります。「食のトレンドを作る立場のみなさんが、どんな食材を扱うかによって、世の中が変えられる!」という甲斐さんの言葉は、将来的に料理人として羽ばたく彼らの気持ちに、火をつけたことでしょう。普段、当たり前のように「目の揃った」食材を用いる学生たちにとって非常に刺激的だったようで、後日自ら小田原漁港に足を運び、甲斐さんの元を訪れ、学びを深めた学生もいるようです。

この勉強会は、クラウド会計ソフトを扱うfreee(フリー)株式会社様が、スモールビジネス(=中小企業)をテーマに、‟みんなで見る、集める、語り合う"ためのオンラインイベント「スモールビジネス映画祭」を開催するにあたり、制作された10分の短編映画『ムカチノカチカ』に端を発するものです。こちらの映画、モデルになったのが甲斐さんなのですが、今回の勉強会の冒頭に上映され、じんわりとした感動を共有することができました。非常に有意義で、胸に刺さる10分間です。ぜひご覧ください。

スモールビジネス映画祭 スペシャル短編映画『ムカチノカチカ』(https://youtu.be/Or8fS77PyFQ

主題歌:「自由」tofubeats
監督/脚本:渡部亮平
キャスト:駿河太郎、でんでん、田中穂先

海の資源を無駄にしないため、またその周辺で働く人たちがその仕事をより良くしていくためには、自分たちに今できることは何か?さらには将来できることは何なのか?を考えるきっかけに出来たのではないでしょうか。キーワードは #ムカチノカチカ です。

辻調理師専門学校 東 庸介