高度調理技術マネジメント学科伝統の「キャリア形成実習出発式」が行われました!
こんにちは!
辻調理師専門学校でキャリアの授業を担当している桐原です。
今日は辻調理師専門学校の3年制学科、高度調理技術マネジメント学科で行われた
キャリア形成実習出発式の様子を皆さんにお伝えします。
高度調理技術マネジメント学科は、3年間かけて調理技術・知識のみならず、
環境問題からボランティア活動、自身で設定したテーマで研究を行うなど、
持続可能な食の世界を切り開く、一歩先を行く調理師を育成輩出する専門の学科です。
この学科の最大の特徴が、2年生の後期から始まる「キャリア形成実習」です。
学生はプロの現場に一人ずつ配属され、3期(約5ヵ月間)に渡って給与をもらいながら毎日実習に臨みます。
配属先も職種も幅広く、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地のホテルや旅館、
料亭や有名レストラン、農家やクルーズ船、商品開発の会社に配属され、実際の従業員として勤務にあたります。
例えば、「自分は将来、商品開発の仕事をしたいけど、そのためには調理のことを
もっと知らなければいけないし、何より生産者の想いも学ばなきゃ」という学生であれば、
第1期目は商品開発の会社へ、第2期目は老舗の料亭へ、第3期は農家で実習、といったプログラムになります。
そして期が終わる都度、学校へ一度戻り、
「自分はどんな会社に配属され、どんな仕事をし、何を学び、どれだけ成長したか」ということを
全員の前で一人ずつプレゼンテーションを行います。
厳しくも楽しいキャリア形成実習の開始に先立ち、9年前から行われているのが、
伝統の「キャリア形成実習出発式」です。
まずは担任の東先生が出発に際してメッセージを伝えます。
「実際の現場はそんなに優しくありません。給与をもらうならなおさらです。
実習先でどうやって立ち回り、自分の居場所を作るか?そこが実習成功のカギになります。」
続いて、副学科長の鈴木先生がメッセージを伝えます。
「出発したら、隣についてフォローしてあげることは出来ません。
現場で起こることすべて自分で解決して前に進まねばなりません。」
みんな真剣なまなざしで耳を傾けています。
続いて、大西学科長のお話です。
決して優しい言葉ではありませんが、現場に出て必ず役に立つアドバイスで激励しました。
すべては自分のため、将来への成長のためです。
「これまで送り出してきた実習生の中で君たちは一番"子ども"だ」の言葉に身が引き締まります。
こうして愛のあるメッセージは中国料理の矢尾板先生、尾崎副校長と続き、
最後は辻芳樹校長からのメッセージです。
「人生は嫌なこと辛いことが9割、いいことは1割しかない」静かに語り始めます。
「しかし思い返すと、その1割の"いいこと"しか覚えていない。もし嫌なことが10割だったとしても、
ある日そのうちの1割が突然いいことに変わることがある。私にはそんな経験が何度もある」
これから学生たちが実習先で経験するであろう出来事を想定しながら、期待も込めてゆっくり諭していきます。
皆真剣に聞き入っています。
最後の「行ってらっしゃい!」の言葉には学生の身を案じつつも、
プロの調理師として現場を駆け巡って欲しいという想いがこもっています。
わずが30分程度の式ですが、高度調理技術マネジメント学科が設立されてからずっと続く伝統の式です。
式の後、「燃えてきた」とつぶやく学生の姿が印象的でした。
このキャリア形成実習という授業は、現場に出て技術・知識を習得してくるということが目的ではありません。
そもそもたかだか3ヵ月で技術の習得など出来るはずがありません。
では何を学ぶのか?
実社会に給与を得ながら長期間身を置くことで、
「自分は何が出来て、何が出来ないのか?」
「自分はどんな仕事、どんな職場に向いているのか?」
「残りの一年間で克服する課題は何か?」
「出来ない自分を反省する」
「出来た自分に自信を持つ」
といった実社会経験を通しての課題発見と解決力を身に着ける授業です。
そして学校に戻ったあとは、このキャリア形成実習の経験を基にして、
「自分が生涯に渡って活き活きと幸せに働ける就職先を見定める」
ということが出来るようになる授業なのです。
毎年、このキャリア形成実習出発式を進行しながら思うことがあります。
「みんな自分が選んだ道を後悔してほしくない。そしてその選んだ道に誇りと責任を持って欲しい」
ということです。
いよいよ第1期が始まります。みんな怪我や病気なく、元気に成長して戻ってくることを願っています。
次回は、第1期が終わって学校で行われる「プレゼンテーション」の様子をご紹介したいと思います。
お楽しみに!
~プロフィール~
辻調理師専門学校
キャリアセンター
桐原 清武(きりはら きよたけ)
高度調理技術マネジメント学科のキャリア形成実習(長期有給インターンシップ)や
日本料理クリエイティブ経営学科のインターンシップ実習(長期有給インターンシップ)を担当。
「出来ない理由を10並べる暇があったら出来る方法を1考える!」が信条。


