FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

CHEZ GRÉGOIRE -ARTISAN PÂTISSIER- (シェ・グレゴワール -アルティザン・パティシエ-)

フランス校 食べ歩き日記

2022.06.03

今回紹介するお店は、リヨン1区に2019年にオープンしたパティスリー「CHEZ GRÉGOIRE(シェ・グレゴワール)」です。

お店があるのはリヨンの中心部、市庁舎からテロー広場を抜けてソーヌ川に向かう途中です。この界隈にはレストラン、バーなどの飲食店や雑貨店などが並び、平日・週末を問わずたくさんの人で賑わっています。

こちらのお店の特徴は、販売しているお菓子全てが「sans gluten, sans lait (lactose)」(グルテン※不使用、動物性の乳不使用)ということです。グルテンや乳糖の摂取を控えている人やアレルギーを持つ人に対応したお菓子ですが、「アレルギーがある人も、そうでない人も、全ての人に美味しく食べてもらえるお菓子」をコンセプトに作られています。

※グルテン 小麦粉に水を加えて練ることで作られるタンパク質の一つ。

オーナーシェフのGrégoire VANDENESCHさん自身がグルテンと乳糖に対してアレルギーを持っており、それがグルテン・乳不使用のお菓子づくりを始めたきっかけだったそうです。

2014年に自ら作ったお菓子のレシピをブログで公開し、そのレシピを本にまとめました。その後、リヨンにこのお店を開くことを決め、グルテン不使用のお菓子を提供するパティスリーで働いた経験を持つIsabelle Gauliardさんをシェフパティシエとして迎えました。

店内は明るく、カフェスペースもあります。

一般的なパティスリーと比べると品数は少ないのですが、旬のフルーツを使ったタルトやシュークリーム、ムース、焼き菓子、米粉やそば粉を使ったパン、コンフィチュール、アイスクリームなどが並んでいます。1人用の生菓子は3.9〜4.5€で購入できます。

店内

ショーケース

ショーケース

レシピ本も販売されていました。

こちらのお店では、小麦粉の代わりにfarine de riz(米粉)やfarine de pois chiche(ヒヨコマメ粉)、バターの代わりにbeurre végétal(植物性バター)、牛乳の代わりにlait de riz(ライスミルク)などを使用してお菓子を作っているそうです。

手前:Chou Vanille et Rhubarbe(バニラとリュバーブのシュー)

バニラのクリームとリュバーブのコンポートが入ったシュークリームです。

シュー生地にクッキー生地をのせて焼いており、サクッとした触感です。やさしい甘さのクリームとリュバーブの酸味が良く合っていました。

奥:Tarte banane chocolat et caramel(バナナとチョコレートとキャラメルのタルト)

焼いたタルト生地の中にキャラメルとバナナクリーム、その上にチョコレートムースという構成です。

米粉で作ったタルト生地は少し脆く、その分クリームやムースと一体感があり食べやすかったです。

Entremet Framboise(フランボワーズケーキ)

アーモンドのスポンジ生地、ヘーゼルナッツのクランブル、ラズベリーのゼリーと火を通したラズベリー、ラズベリームースの組み合わせです。

一般的には牛乳と生クリームを使用してムースを作りますが、こちらは植物性のクリームを使用しています。色々な触感のラズベリーが楽しめるお菓子です。

Tarte aux fraises(いちごのタルト)

タルト生地にアーモンドクリームを詰めて焼き、いちごのコンフィとフランス産のフレッシュいちごを組み合わせています。

Cake citron(レモンケーキ)

レモン風味のパウンドケーキ。焼き上がりに自家製ライムシロップを塗っています。

私たちは普段から小麦粉や乳製品を使ってお菓子を作っているので、それらを使わずに同じようなおいしさを表現するのは難しいと思うのですが、こちらのお菓子はどれも素材の味がしっかりと感じられ、全体的に軽やかながら満足感のある印象で、シンプルに「美味しい」と思えるものでした。

オーナーのGrégoireさんが目指しているのは「アレルギーの人だけでなく、全ての甘いもの好きな人たちが来てくれるお店」です。そのため、誰もが入りやすいようにお店の看板にはグルテンや乳不使用であることを大きく掲げてはいないそうです。

グルテンや乳を使用せずにお菓子を作る際、フランス菓子で伝統的に使われてきたバターや小麦粉などの材料を単純に別の油脂や粉に置き換えるだけではうまく行かないと、Grégoireさんはこれまでの苦労を話してくれました。それぞれの材料の特性を研究し、最適な配合や方法を探求し、これまでたくさんの試作を重ねてお菓子を完成させてきたそうです。

今回訪れたのは土曜日の午後ですが、途切れることなくお客さんが来ていました。

「グルテン不使用・乳不使用」という表示を見て喜ぶお客さん、それとは関係なく単純に美味しいものを求めて来たお客さん、常連で「いつものパン」を買っていくお客さん、様々でしたが、オーナーの想いが伝わる素敵なお店だと思いました。

毎月「Douceur du mois(今月のお菓子)」として新バリエーション(シュークリームの新しい味の組み合わせなど)の商品が出るので、訪れる際はぜひホームページをチェックしてみて下さい。

「CHEZ GRÉGOIRE -ARTISAN PÂTISSIER-」

住所 6 rue Constantine 69001 Lyon

電話 04 87 61 24 66

HP http://www.chezgregoirepatisserie.fr/

インスタグラム https://www.instagram.com/chezgregoirepatisserie/