【プロヴァンスの伝統的なパティスリー】Pâtisserie Guillet (パティスリー・ギエ)
今回私が訪れたのはフランス校より南に約140㎞下ったRomans=sur=Isère(ロマン=シュル=イゼール)という街です。
車で約2時間、電車では約3時間半で行くことができます。高級靴の製造地として有名なこの街は、いたるところに靴のモニュメントを見ることができます。
ここに本店を構えるのがPâtisserie Guillet(パティスリー・ギエ)です。
1962年、ダニエル・ギエ氏と妻のクリスティーヌ・ギエ氏が1号店をオープンしました。Velcors(ヴェルコール)出身でそのルーツに強いこだわりを持ち、伝統とノウハウを十分に尊重しながらパティスリー・ショコラトリーとして高品質の製品を提供されていました。
そして1991年、ダニエル氏の息子であるリュック・ギエ氏が跡を引き継ぎ、現在に至るまでシェフを務められています。リュック氏は同年に*Relais Desserts(ルレ・デセール)の会員の一員となりました。
*ルレ・デセールとは、パティシエ・ショコラティエによる『最高の菓子作り』のために1981年に設立されました。
メンバーになる為には、既存メンバー2名からの推薦とプレゼンテーションが必要なのですが、リュック・ギエ氏は1991年より会員になられています。実はこのルレ・デセール、フランス人のみではなく日本人シェフも6人会員になっています!とても有名なお店のシェフなのでご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。気になった方はぜひ調べてみてください。
また、2007年には2号店となるパティスリーをValence(ヴァランス)にオープンされ、2016年には製パン店「ラ・ファブリック」もオープンされました。ダニエル氏の孫であるセザール・ギエ氏が4年以上にわたってフランス各地で研修、また、東京でもパティスリー・エーグルドゥースの寺井シェフの元で研修を積んだ後、2017年にこのお店を引き継ぐと、同年、テロワールに関する伝統的なノウハウを熟達している企業にのみ贈られる国家公認ラベル「EPV」を獲得しました。当店は、辻調フランス校の研修先としてもお世話になっています。
店内に入って驚いたのが品数の多さです。生菓子のみならず、焼き菓子、ケック、それにマカロンやボンボンショコラ、さらにはパンや、アイスケーキなども揃えられていました。
また綺麗に整頓されており、売り場の中までも完璧にされていることに驚きを感じました。ボンボンショコラの温度管理もしっかりされています。
ギエ家の写真も飾られています。
たくさんある中でとても迷いましたが今回、厳選して購入したケーキを紹介します!
Plaisir(プレジール)
タヒチ産のバニラを使ったクレーム・スフレ、マダガスカル産のショコラのムース、プロヴァンス地方のアーモンドをふんだんに使ったビスキュイに表面は綺麗にキャラメリゼされていました。軽いスフレとくちどけの良いショコラムースにパリッと食感のアクセントになるキャラメリゼされた生地があることで重くなく、ふわっと溶けます。Plaisirとは"喜び、楽しみ"という意味があります。その名の通り食べると口いっぱいに幸せが広がりました。
Baba au rhum(ババ・オ・ラム)
サヴァラン生地にラム酒入りのエキゾチックのジュースをたっぷり染み込ませ、泡立てた生クリームで仕上げられています。小さなスポイトの中にはラム酒が入っており、お酒を好きなだけかけて食べられるようになっています。エキゾチックのジュースが入っているおかげで、お酒が苦手な方でもきつく感じることなくいくらでも食べられます。ババはポーランドおよびロレーヌ公の王様であったスタニスラス王が考案したと言われています。母国のポーランドでブリオッシュのことをBabka(バブカ)と言い、フランスへの運搬の際に乾燥してしまったバブカを美味しく食べるためにお酒に漬けたそうです。
Romanaise(ロマネイズ)
ブリオッシュ生地にオレンジの花水を加えたクリームをサンドし、表面にあられ糖をまぶしています。このお菓子は元々サントロペという街発祥のトロぺジェンヌというお菓子が有名ですが、ロマン=シュル=イゼールで作られているのでRomanaiseという"ロマン風の"という名前が付けられています。今回のロマネイズのように、本場では南仏でよく使われるオレンジの花水でクリームに香りづけすることがあります。やさしい味のクリームがふわっとしたブリオッシュにとてもよく合います。
Lavandou(ラヴァンドゥ)
サクッとしたタルト生地の上に、カスタードとラベンダーの蜂蜜を使ったアーモンドクリーム、ホワイトチョコとアプリコットのムース、アプリコットのクリーム最後にアプリコットのクリームとラベンダー、ショコラで飾っています。爽やかなアプリコットの味とショコラ、最後に鼻に抜けるラベンダーの香りとすべてのバランスが良く、とても美味しかったです。今回購入させていただいたケーキの中で一番お気に入りです!
Macaron(マカロン)
左上から右に順に
Citron(シトロン)・・・レモンのガナッシュ,
Cassis violet(カシス・ヴィオレ)・・・ビオレの香りをつけたカシスとショコラのガナッシュ,
Fraise des bois(フレーズ・デ・ボワ)・・・フレーズ・デ・ボワという品種の苺を使ったガナッシュ
左下から右に順に
Noisette(ノワゼット)・・・ヘーゼルナッツのクリーム、表面にもヘーゼルナッツ
Crème brûlée(クレーム・ブリュレ)・・・卵黄の入った滑らかなクリームに、クレープ生地を薄く伸ばして焼き細かく砕いたフィアンティーヌ
Framboise verveine(フランボワーズ・ヴェルヴェンヌ)・・・ヴェルヴェンヌの香りを移したフランボワーズのガナッシュ
Caramel beuure salé(キャラメル・ブール・サレ)・・・塩味を効かせたキャラメルバタークリーム
Pistache griotte(ピスターシュ・グリオット)・・・ピスタチオのガナッシュの中にグリオットのジュレ
クリームが甘すぎず、生地としっかり馴染んでいた為、食べやすかったです。中でも私のお気に入りはピスターシュ・グリオットです!
Bonbon chocolat(ボンボンショコラ)
左上から右に順に
Passion(パッション)・・・パッションフルーツとミルクチョコのガナッシュ
Citron vert(シトロン・ヴェール)・・・砕いたレモン入りのレモンとスイートチョコのガナッシュ
Saint Nicolat(サン・ニコラ)・・・ピスタチオのガナッシュのセンターにジャンドゥジャ
真ん中から右に順に
Gianduja(ジャンドゥジャ)・・・最高級のショコラとアーモンドのプラリネで作ったジャンドゥジャ
La raviole(ラ・ラヴィオール)・・・シチリア産のピスタチオを贅沢に使用したガナッシュ
Palet Or(パレ・オール)・・・モカをアクセントにほんのり香らせた軽いガナッシュ
表面はラメパウダーで金を表しています。
左下から順に右に
La Tomme(ラ・トム)・・・プロヴァンス地方のアーモンドを使ったプラリネガナッシュ
Malakoff (マラコフ)・・・プラリネのガナッシュと香ばしく焼いたアーモンド
Croustillon noir(クルスティオン・ノワール)・・・米のパフが入ったヘーゼルナッツのプラリネ
濃厚かつ口溶けが滑らかで素材の味をしっかり引き出したボンボンショコラでした。
中でもラ・トムやラ・ラヴィオールは他の店舗で見かけない斬新なデザインでショーケースの中できらきら光っていました!このあたりはドーフィネ地方なのでラヴィオール・デュ・ドフィーネも特産です。ラヴィオール・デュ・ドフィーネはパスタ生地の一種のラヴィオリの中に、コンテチーズまたはエメンタールチーズとパセリが入ったフランスの郷土料理です。そこから形がきているのではないでしょうか。
写真:https://www.guillet.com より抜粋
この街ならではのショコラ
CHASSURES FEMME(ショシュール・ファム)
フランス語で女性の靴という意味のボンボンショコラです。箱のサイズに合わない為、今回購入できず残念がっていたところにジャンドゥジャというボンボンショコラと同じ味ですよと店員さんが優しく教えてくださりそちらを購入することができました。とても可愛らしい形にすごく惹かれました!CHASSURES HOMMEという男性の靴のショコラもありましたよ♪
まだまだ気になるお菓子がたくさんありました・・・!
親子三代に渡ってケーキの本場フランスで培ってきた技術と、その伝統をしっかりと目の当たりにすることができました。ロマン=シュル=イゼールやヴァランスを訪れた際はぜひ寄ってみてはいかがでしょうか。
住所 : 78 place Jean Jaurès 26100, Roman sur Isère
電話番号 : + 04 75 02 26 80
営業時間: 火-土曜日 9 :00-19 :00
日,祝日 9 :00-12 :30 定休日: 月曜日
ホームページ: https://www.guillet.com/
お店のインスタグラム: @maisonguillet


