【期待大!シャンパーニュの新レストラン】M.Philippe MILLE(フィリップ・ミル)氏 / Arbane(アルバーヌ)
今回外来講習に来ていただいたシェフは、Champagne(シャンパーニュ)地方のReims(ランス)にあるArbane(アルバーヌ)でシェフを務めるM.Philippe MILLE(フィリップ・ミル)氏です。
ミル氏は、2024年3月まで同地方のホテルレストランLes crayère(レ・クレイエール)の総料理長として働かれており、ミシュランガイドの星を落としていた同レストランを2ツ星に昇格させました。そして、2024年3月の下旬から現在のレストランをオープンし、2025年度版のミシュランガイドではすでに1ツ星を獲得されています。また、ミル氏は2009年のボキューズ・ドールのフランス代表選手でもあり、3位を獲得されています。さらに、毎年ランスで行われている世界の調理師学校の学生を対象とした国際料理コンクールである「トロフェ・ミル」の代表者として、若手料理人の育成や、ランスの生産者との交流にも注力されていることでも知られています。
今回はミル氏の右腕として長年一緒に働かれている、フランス校卒業生の日本人シェフの馬場さんにも来ていただき、講習を行っていただきました。
今回はラングスティーヌを使った料理を3品作っていただきました。
1品目はランスにある世界遺産「ノートルダム大聖堂のステンドグラス」をオマージュしたお皿です。材料はカリフラワーのピューレ、香草のオイル、レモンのコンフィ、ラングスティーヌの殻などでとったソースとブイヨン、カルパッチョ仕立てにしたラングスティーヌの身、そしてテュイルを使用しました。ラングスティーヌのソースは殻を細かく切り、強火で焼いて香りを出し、香味野菜やトマト、コニャックなどを加え、水で30分程煮出します。ブイヨンはラングスティーヌのはさみ、ポロネギ、トマトなどを炒めてシャンパーニュで1時間ほど煮出し、液体を漉して、さらにそれを半分量になるまで煮詰めて金箔を加えた豪華なものでした。ラングスティーヌは小さめにカットしセルクルに入れ、盛りつけ直前まで冷やしておき、盛りつけるときに表面にヴェルジュ(未熟なぶどうを搾ったジュース)を塗り、胡椒やすりおろしたレモンの皮、ヴェルヴェンヌなどを飾りつけます。テュイルとはフランス語で瓦という意味でクッキー生地のようなものを型に入れ、焼いたものです。こちらの料理はシェフと馬場さんで盛りつけていただきました。まずカリフラワーのピューレを、回転台を使いながら円状に流します。
そのあと模様を描いていき、それぞれの模様に香草のオイル、ラングスティーヌのソース、を流していきます。さらに内側にはブイヨンを流し、カルパッチョ仕立てのラングスティーヌを置き、キャビアとテュイルを飾り完成となります。
次の料理はラングスティーヌのタルタルです。タルタルには、ラングスティーヌにシーアスパラガス、シブレット、シトロンキャビア、などが入っており、味付けをしてオリーブ油を絡めたものになります。タルタルと合わせるものは、グリンピースとビスクのムースです。グリンピースは塩ゆでし、エルダーフラワーオイルと海藻類のコンフィで味付けしました。ビスクのムースは卵でサバイヨンを作り、ラングスティーヌの殻で作ったソース・アメリケーヌやエルダーフラワーヴィネガー、ヴェルジュなどを加え酸味を効かせました。ソースはグリンピースのさやを米酢やシャンパーニュで煮込んで香りを移し、仕上げに海藻類のコンフィを加えたものです。盛りつけにはマリーゴールドやエルダーフラワーを飾って完成になります。フランスは沿岸部以外では海藻類は食べる習慣がないので、昆布やアオサを使うのにはとても驚きました。
最後はズッキーニと合わせたお皿です。
今回使用したズッキーニは、緑のズッキーニ、黄色のズッキーニ、そして花付きのズッキーニの3種類です。花付きのズッキーニはグリル板で焼き、香ばしさをつけ、花の部分には角切りにしたズッキーニが入っています。ソースは3種類で、ズッキーニを炊いてサフランを加えた黄色のソースと、オゼイユの緑のソースとアメリケーヌソースです。ラングスティーヌはまっすぐになるように串を刺してポワレにします。この料理はアシスタントの研究生もシェフと一皿ずつ盛りつけを行いました。
シェフ調理作業はとてもスピードがあり、丁寧だったのがとても印象的でした。
最後にアシスタントの研究生たちと記念撮影をしました。


