【ブルゴーニュのミシュラン3ツ星レストランから】M. Eric PRAS(エリック・プラ氏) / MAISON LAMELOISE (メゾン・ラムロワーズ)
今回の外来講習は、フランス校から北に車で約2時間の距離にあるブルゴーニュ地方のCHAGNY(シャニ―)という町にあるホテルレストラン「MAISON LAMELOISE」(メゾン・ラムロワーズ)より、Eric PRAS(エリック・プラ)氏にお越しいただきました。メゾン・ラムロワーズは1926年からミシュランの星を得ており、ピエール、ジャン、ジャック・ラムロワーズの3代に渡り営業を続けてきたレストランです。1979年から2004年までミシュランの3ッ星を維持し、2007年に3ッ星に返り咲いてから現在も維持しています。
エリック・プラ氏は15歳から料理の業界に入りました。ロアンヌのメゾン・トロワグロ、ブルゴーニュ地方のベルナール・ロワゾ―、サン=テチエンヌにあった、ピエール・ガニェールなど、数々の3ッ星を持つシェフのレストランで修業を積み、2000年にはレジス・マルコンに移り、料理長も経験されました。2004年にはフランスの最高技術職人章であるM.O.Fを授章し、2008年からは現在も勤務されているメゾン・ラムロワーズで総料理長をされています。また、2011年のボキューズ・ドールではフランス代表のオフィシャルコーチも務めるほどの実績もあるシェフです。
今回の講習では2品作成していただきました。
Rouget mi cuit, ratatouille de lentilles, voile de poivron rouge,
Bouillon de légumes grillé à l'huile de cassis
1品目はルジェという魚を使った料理です。身が柔らかく扱いが難しいですが、味が濃くとてもおいしい魚です。下処理をしたルジェに塩、こしょう、エスプレット唐辛子で味付けをし、水で濡らしてオリーブオイルを塗ったリードペーパーで巻いてから、65℃のスチームコンベクションオーブンで芯温44℃になるまで火を通します。火が通れば氷水に落として水気を切り、4等分にカットします。
次につけ合わせです。まずは赤玉ねぎ、赤ピーマン、ピキオスという水煮の赤ピーマンをうす切りにし、オリーブオイルで炒めた後に牛乳を加えて柔らかくなるまで火を通し、ミキサーでピューレ状にしたらゼラチンを加えてシート状になるようにプレートに薄く流します。
次に玉ねぎ、なす、赤ピーマン、ズッキーニを小さなサイコロ状にカットし、オリーブオイルでさっとソテーした後に香味野菜と一緒に煮込んだレンズ豆、香草、エシャロット、シェリービネガーと合わせて味を調えます。
先ほど作った赤ピーマンのシートを丸く抜き、ソテーした野菜を挟みます。次に野菜のブイヨンを取ります。フヌイユ、赤ピーマン、赤玉ねぎ、人参、セロリを大き目の角切りし、オーブンで火を通して焼き色をつけます。水を注いで煮出し、味が出たら漉して冷まし、マヨネーズを加えます。また、トマトをミキサーにかけてジュースを取り、その液体を漉して味を整えたものを冷凍庫で凍らせて、トマトのグラニテを作ります。グラニテにはゼラチンを加えることで溶けにくくなり、固まりが安定するそうです。
それぞれを盛りつけていきます。仕上げにルジェの骨でとった出し汁で作ったソース、メルバトースト、トマト風味のテュイル等を盛りつけて完成です。野菜のブイヨンは別のポットに盛りつけて添えます。見た目にも美しく、トマトのグラニテが爽やかさをプラスしてくれて夏にぴったりの一品です。
Homard bleu et encornet Haricots verts et jaunes relevé d'un condiment xo,
Jus au pain d'épices
2品目はオマール海老を使った料理です。オマール海老をひもで巻いて固定し、さっと湯がいて氷水に落とします。殻を外して身を取り出し、外した殻と香味野菜、八角、オレンジの皮などを加えてソースを作ります。
イカを下処理し、きれいなむき身にしたものの中にオマール海老の身を詰めてロース糸で固定します。イカの表面にオマール海老のコライユ(生殖巣)を塗り、バーナーであぶり、フライパンで澄ましバターを溶かして焼きます。火を入れることで緑色のコライユが鮮やかなオレンジ色に変わっていきます。
つけ合わせはさやいんげんを塩ゆでにしてエシャロットとレモン風味のドレッシングで味をつけたサラダ仕立てのものと、塩ゆでにした後に型に敷き詰め、ベジタブルゼラチンを加えて味を調えた水を型に流して冷やし固め、切りそろえたものを準備します。
それぞれのパーツが仕上がったので盛りつけます。オマール海老の上にはオマール海老やホタテなどで作った手作りのxo醤を乗せています。パンチの効いた旨味がさらに料理のクオリティを引き上げてくれます。周りには殻でとったソースを流し、同じく殻でとったオマール海老風味のバターも一緒に流します。真ん中にはコライユで作ったテュイルを添えています。
一皿にかける仕事量が多いですが、それに見合った味やクオリティの高さは食べたときの満足度が高く、さすが3ツ星だなと思わせてくれます。
研究生たちにとっても、ムニュ・スペシオと呼ばれる卒業制作が近づいているのでとても参考になったのではないでしょうか。
最後にアシスタントを務めてくれた研究生と記念撮影です!


