【最後の講習 20年間の集大成!】製菓外来講習 M.Nicolas BONNARD(ニコラ・ボナール氏)
ボナール氏はブルゴーニュ地方の製粉会社NICOT社で専属講師を務めた後独立をし、リヨン市内で話題となったブーランジェリー『L'Epiaisonレピエゾン』のオーナーシェフを勤めました。現在はフリーでパンの講習や技術指導などに取り組まれています。
先日キュイジニエの実習にも来てくださいましたが、今回はパティシエの講習で2日間にわたって5種類のパンを作成していただきました。
『Baguette de tradition française』
この国では欠かせないパンです!フランスではフランスパンを小脇に抱えて歩いている人をよく見かける程です。ここではAutolyse(オートリーズ)という作業を行います。
小麦粉と水のみを混ぜて休ませることで、グルテンが形成され、後の捏ね時間短縮に繋がります。窯伸びが良くボリュームが出たり、酵素がでんぷんやたんぱく質を分解することで風味が増します。普段研究生が扱っている生地と違いとても柔らかく成形が難しいです・・・。
ですが、ボナール氏は手数が少なく速いです!
バゲットの切り込みは真っ直ぐ綺麗に膨らませて焼き上げるために、とても重要です。お店によって数や角度などが違うため、お店のサインみたいなものだよとボナール氏は説明してくれました。
『Pain meule de pierre sur levain』
石臼で挽いた小麦粉を使用したパンです。Levain(ルヴァン)という小麦粉と水のみで作られる発酵種を入れることにより香りが強くなります。少し独特な酸味のある香りです。布のついた専用のかごの中で発酵をとります。こちらも焼く前に切り込みを入れていきます。アシスタントの研究生も積極的に作業を行います。
『Pain beaujolais』
Rosetto de Lyon(ロゼット・ド・リヨン)というリヨン名物のソーセージとヘーゼルナッツを使用しています。水の代わりになんと赤ワインを加えます!今日はフランス校のある地域で作られているボジョレーワインで練っています。
リヨンのシャルキュトリー(肉を加工したものを扱う店、肉を加工したもの全般の総称)では本物のソーセージをつるして売られています。それを模してこのパンにも紐が入れ込まれており、実際に吊るすことが出来ます!
『Seigle auvergnat』
セーグル(ライ麦粉)で作られたパンです。ライ麦粉で作ったパンは他のパンと生地の扱い方が違います。練ったパン生地は丸めず、カードですくったらそのまま型へいれます。
ライ麦粉には小麦粉と違いグルテンが含まれない為、少し硬いですが歯切れがいいです。
『Pain au maïs』
生地にコーンフラワーとかぼちゃの種を混ぜ込んでいます。
表面にはトウモロコシの粉をつけて焼き上げています。こちらもライ麦粉同様グルテンが含まれていない為、全量ではなく小麦粉の一部をトウモロコシ粉に置き換えて作成しています。もしグルテンフリーのパンを作る際にはどうしたらいいかなども説明していただきました!
実は今回がボナール氏のフランス校での最後の講習でした!
2004年から今日まで、キュイジニエの実習とパティシエの講習を毎期行ってくださり、21年間で約80回もフランス校へお越しいただきました。
パンに対する熱量を強く感じるボナール氏の素敵な講習がもう聞けなくなるのは少し寂しいですが、
フランス校職員・研究生・卒業生一同これからの益々のご健闘とご活躍をお祈り申し上げます!
【研究生からコメント】
「今回の講習を通して、ボナール氏と同じように作業をしているつもりでも捏ね方や焼き上がりの形が異なり、パン作りの繊細さと奥深さを改めて実感しました、一見シンプルに見える工程の中にも、職人ならではの技術や感覚が詰まっているという事に気づき、思うような仕上がりにする難しさを痛感しました。二日間を通して、パン作りに対する興味がさらに深まるとともに、その魅力と可能性を強く感じました。それと同時にもっと学びたい・上達したいという気持ちも芽生え、とても貴重な時間を過ごすことが出来ました。」
「今回の講習では、普段と違うパンについて学ぶことが出来ました。日本ではあまりなじみのなかったバゲットや、他の種類のハード系パンの製法を知ることが出来て良かったです。またアシスタントをしてみて、シェフの器具の扱いや、成形の仕方などは一見簡単そうですが、実際行うと上手くいかなかったので、もっとよく観察し、練習・経験を積みたいです。また咄嗟にいわれたフランス語が瞬時に理解できないことがあるので、もっとフランス人の先生方とコミュニケーションを取って分かることを増やしたいと思いました。」
Merci!M.BONNARD!!


