【愛する地元の食材を使った料理】調理外来講習 M.Romuald FASSENET (ロミュアルド・ファスネ氏)/ Château du Mont Joly (シャトー・デュ・モン・ジョリ)
今回外来講習に来ていただいたシェフは、フランス東部Franche=Conté(フランシュ=コンテ)地方のDole(ドール)という街の近郊にある一つ星レストランChâteau du Mont Joly(シャトー・デュ・モン・ジョリ)のオーナーシェフのM.Romuald FASSENET(ロミュアルド・ファスネ)氏です。
ファスネ氏は、パリのトゥール・ダルジャンや、アメリカやドイツのレストランなどで勤務された後、2004年にM.O.F.を受賞。2007年に現在のシャトーを購入され、レストランをオープンしました。シェフ自身もこの地方の生産者の方々と深く交流があり、地元のイベントなどにも積極的に参加されています。また、フランス料理の国際コンクールである、ボキューズ・ドールの日本代表のオフィシャルコーチを務められた経歴もあり、日本代表最高順位である3位という快挙に大きく貢献されました。
今回の講習では研修生と一緒に、地元食材であるコンテチーズを使用した料理とラングスティーヌを使用した料理の合計2品の料理を作っていただきました。
コンテチーズを使用した料理ではメイン食材としてリ・ド・ヴォという子牛の胸腺肉を使用しました。リ・ド・ヴォというのは子牛の頃にしかなく、成牛になるにつれなくなっていく内臓の部位になります。レバーのような臭みは無く濃厚でミルキーな味わいです。そのリ・ド・ヴォに今回は棒状に切ったコンテチーズを差し込みます。
そして、形を崩さないように網脂で巻いたものを低温のオーブンでじっくりと火を通し、仕上げにバターで表面を焼き、しっかりきれいな焼き色をつけていきます。この最後にバターで焼く際のポイントですが、多くの日本人はバターを使う量が少ない傾向にあるので、バターはたっぷり使用することが大切だとおっしゃっていました。こうすることで、美味しそうな焼き色と香りが付いて、食欲をそそります。
つけ合わせにはハマグリ、人参をオーブンで蒸し焼きにしたもの、そしてポレンタを合わせています。ポレンタの中にはフランシュ=コンテ地方のローストしたとうもろこし粉とすりおろしたコンテチーズも入っています。子牛の肉や香味野菜を煮出したジュと、ハマグリの出しを合わせたものをソースとして提供しています。お肉のソースに貝の出し汁を加えるのは、とても珍しい組み合わせでした。
次にラングスティーヌの料理です。ラングスティーヌとは日本語名であかざえびを指します。日本では駿河湾などが産地になっていますが、なかなか見ることがない食材です。このえびはとにかく甘みが強く、全く臭みもありません。そんなラングスティーヌを今回はカルパッチョ仕立てにしていきました。ラングスティーヌは1尾を約4等分にし、セルクルに詰めてしっかりと冷やしておきます。カルパッチョのソースとして、ホワイトバルサミコ酢、柑橘類の皮(今回はオレンジ、レモン、ライム)の角切り、生姜、エシャロットを加えて煮詰めます。シロップ状まで煮詰まったところに柑橘類の液体を加えてさらに煮詰めて旨味を凝縮し、味をなじませてから冷やします。仕上げにオリーブオイルとディルを加えて完成です。盛りつけはラングスティーヌの両面にソースを流し、周りに香草のピューレやディルを飾り、完成です。作り方はシンプルですが、ホワイトバルサミコ酢の酸味と柑橘類の香りが効いており、見た目も色鮮やかで、季節感を感じる美しい1皿でした。
地元の食材が主に使用されていますが、様々な食材を掛け合わせていて、とてもおもしろいなと感じました。とても気さくなシェフなので講習中も日本人に分かりやすい表現で説明をしてくれました。
最後に研修生とアシスタントの研究生たちで記念撮影をしました。


