【フランスならではのパンを学習】調理製パン講習 M.Edouard DORANGE(エドワール ドランジュ氏) / Grains de sucres (グラン・ド・シュクル)
今回外来授業に来ていただいたシェフは、リヨンの旧市街にある人気のパティスリー「Grains de sucresグラン・ド・シュクル」でブーランジュリーを担当しているEdouard DORANGE(エドワール・ドランジュ)氏です。
エドワール氏はパンの世界コンクール「クープ・デュ・モンド」にも出場した経験もあるパンの専門家で、今回は調理の研究生が2日間にわたって、パンの講習と実習と地方のパンについての授業を行いました。
今回実際に実習で作成したパンを6種類紹介していきます。
Baguette de tradition française バゲット・ドゥ・トラディッション・フランセーズ
フランスで日常的に食べられる、小麦粉、塩、水、イーストのみで作るシンプルなバゲットです。
焼く前の生地は非常に柔らかく、扱いが難しいので、成形から表面の切り込みを入れるところまで研究生一人一人に丁寧に指導をしていただきました。バゲットをまっすぐ焼きあげるために表面の切り込みは均等に入れることが大切だとおっしゃっていました。
Pain au levain sur farine de meule パン・オ・ルヴァン・スュル・ファリンヌ・ドゥ・ムール
ルヴァンと呼ばれる天然酵母を使用して作る伝統的な食事パンです。ルヴァンと呼ばれる発酵種を使用することで、パンの表面が厚くなり食感がよくなります。そして少し酸味がある香りや味になります。このパンは丸い形を保つためにバヌトンと呼ばれるかごに入れて発酵させます。
焼き上がりの状態は、切り込みの部分もしっかり焼き色がついていて、底を軽くたたいて空洞になっているような音がすれば中まで焼きあがっています。パンの表面に振られた小麦粉の模様がとても美しいですね。
Tourte de seigle Auvergnat トゥルトゥ・ドゥ・セーグル・オーヴェルニャ
ライ麦粉(セーグル)で作られる大きいサイズのパンです。小麦粉とは異なる独特な酸味、グルテンを含まないので歯切れの良い食感が特徴です。スーシュという濃度のある液状の発酵種を使用して作ることで酸味や風味が増します。
Buns バンズ
ハンバーガーに使われるパンです。生地には脱脂粉乳やバターが練りこまれていて、焼き上がりも柔らかく、風味が豊かなのが特徴です。ドリュールを塗ったり、トッピングとしてゴマやカボチャの種、ヒマワリの種やソバの実など数種類の穀物が混ざったものを上にかけたりして焼きあげています。
Pain au Beaujolais パン・オ・ボジョレ
「ボジョレ」の名前の通り、パンの生地にはフランス校のある地域で作られる赤ワインを使用します。焼くとアルコールも抜けて赤ワインの豊かな香りだけが残ります。その他にもリヨンで作られるソーセージやヘーゼルナッツ、赤ワインで火を通した玉ねぎなどの具材が入るのも特徴です。
Pain aromatiques パン・アロマティック
「アロマティック」とは「芳香のある、芳香性の」という意味です。中に様々な具材を入れていろんなバリエーションを出すことができ、今回は同じ生地を使って2種類作成しました。ひとつめはドライフルーツ(アプリコット、いちじく、クランベリー、ブドウ)や、ヘーゼルナッツ、ゴマやヒマワリの種、ソバの実など数種類の穀物が混ざったものを練りこんで作る、「パン・デュ・スポルティフ」というパン。
そしてふたつ目は「パン・ペスト」というパンです。生地にバジルソースを粉末状にしたものを練りこみ、中にはドライトマトとフェタチーズを包んだパンを作成しました。
初めて聞くパンの用語と、パンを練ったり成形したり、慣れない作業ばかりだったと思いますが、研究生たちは戸惑うことなく楽しく授業を受けていて、ドランジュ氏からも褒められる研究生もいました。また、地方のパンの紹介は実際に余った生地で形を作ったり、白板を使って小麦粉についての話があったり、多くのことを知るいい機会となりました。今回学んだことを活かし、自分の作る料理に合うパンを考え、作成できるようにさらに勉強を重ねていくと思います。
最後に研究生が作ったパンとドランジュ氏を囲んで記念撮影をしました。


