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辻調グループ フランス校

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【シャンパーニュのクリエイティブな料理!】M. Philippe MILLE(フィリップ・ミル)氏 / Arbane(アルバーヌ)

フランス校教壇から

2026.02.05

今回外来講習に来ていただいたシェフは、Champagne(シャンパーニュ)地方のReims(ランス)にあるArbane(アルバーヌ)でシェフを務めるM. Philippe MILLE(フィリップ・ミル)氏です。

ミル氏は、2024年3月まで同地方のホテルレストランLes crayère(レ・クレイエール)の総料理長として働かれており、ミシュランガイドの星を落としていた同レストランを2ツ星に昇格させました。そして2024年3月下旬から現在のレストランをオープンし、2025年度版のミシュランガイドではすでに1ツ星を獲得されています。また、ミル氏は2009年のボキューズ・ドールのフランス代表選手であり、3位を獲得されています。さらに、毎年ランスで行われている世界の調理師学校の学生を対象とした国際料理コンクールである『トロフェ・ミル』の代表者として、若手料理人の育成や、ランスの生産者との交流にも注力されていることでも知られています。

今回の講習では、アミューズ7品とオマール海老を使ったメイン料理を作っていただきました。

Arbanothéque(アルバノテック)

シャンパーニュを作る際に使用する、7種類のぶどう品種の味や特徴から着想を得たミル氏のシグニチャーディッシュです。

①Chardonnay(シャルドネ)

セロリとキウイにレモンのコンフィを合わせた、白ブドウ品種のシャルドネをイメージした一品です。エレガントでさわやかなシャルドネの香りを表現しています。

②Pinot Meunier(ピノ・ムニエ)

ラディッシュとフランボワーズのピクルスのさわやかな味わいで、黒ぶどう品種であるピノ・ムニエを表現しています。

③Pinot Noir(ピノ・ノワール)

赤いフルーツの甘い香りが特徴のピノ・ノワールを、ビーツやナツメヤシの甘味、クランベリーのジュレの酸味で表現しています。

④Arbane(アルバーヌ)

レストラン名にもなっているアルバーヌは、力強い酸味と長く香りが残るのが特徴だそうです。きゅうりで香りを、ゆずで口の中で弾ける酸味を表現しています。

⑤Pinot Gris(ピノ・グリ)

ピノ・ノワールの突然変異で生まれたと言われているピノ・グリは、口当たりが豊かで厚みのある味わいが特徴ですが、生のシャンピニョンと火を通したシャンピニョン、シャンピニョンで作ったブイヨンをを合わせることで生まれる土の香りや奥行きのある味を表現しています。

⑥Petit Meslier(プティ・メリエ)

希少な品種として知られるプティ・メリエは、甘草のような甘さやアニスのようなさわやかな香りが特徴ですが、フヌイユとフレッシュのぶどうで清涼感のある香りを表現しています。

⑦Pinot Blanc(ピノ・ブラン)

柔らかな酸味とやさしい果実味が特徴のピノ・ブランは、同じくシャンパーニュ地方を代表するシャウルスというチーズのエスプーマと、酸味の強いりんごを合わせることで表現しています。

一つ一つのパーツは小さいですが、それぞれにとても細かい仕事を施しており、お客様の高い満足感が伺えます。おすすめのシャンパーニュと一緒にいただきたいですね!



講習には、現在お世話になっている研修生も来てくれました。準備や盛りつけを手際よく行ってくれましたが、シェフの話すフランス語をしっかりと聞き取り、コミュニケーションをとる姿からは5か月間の成長の様子を垣間見ることができました。

Homard nourri d'un œuf mousseux au curry vert

次にオマール海老を使ったメイン料理です。
オマール海老はヨーロッパ産のオマールブルーを使います。頭、はさみ、尾の部位に切り分け、尾は半分にカットしてフライパンでソテーします。はさみの部分は3分間塩ゆでし、氷水に落として冷ましてから殻をむきます。次に殻を砕いてソースを作ります。鍋にオリーブオイルを熱し、殻を炒めて海老の香ばしさを出します。香味野菜を加えてさらに炒め、コニャックで香りをつけてからシャンパーニュを加えて煮詰めます。水とコンソメを加えて30分ほど煮込み、一度漉してから昆布を加えて煮詰め、ぶどうの枝で作った炭を加えて香りが移ったら漉し、オマール海老のコライユ(生殖巣)を加えて濃度をつけてもう一度漉します。


次につけ合わせです。キャベツの葉を塩ゆでして直径5cmの大きさにくり抜き、別で玉ねぎ、にんじん、セロリ、キャベツ、生姜、にんにくを細かく切って炒め、味噌とにんじんのピュレを加えて混ぜ合わせて詰め物を作ります。くり抜いたキャベツに詰め物を絞り、半月の形に整えてキャベツのラビオリを作ります。

次にグリーンカレーのサバイヨンを作ります。バターにカルダモンという香辛料を加えて香りをつけ、卵、卵黄、シェリー酒酢、ホワイトバルサミコ酢、塩、グリーンカレーペースト、ほうれん草のピュレを混ぜ合わせ、卵が固まらないように火を入れたところに香りをつけたバターを混ぜ合わせていきます。
最後にオマール海老に合わせる和牛を準備します。フランスでも『WAGYU』として流通しており、日本と同じく高級品として使われています。和牛は極薄くスライスしておきます。



最後に盛りつけます。ソテーしたオマール海老は殻から外し、キャビアを添えて薄切りにした和牛で覆い、バーナーで軽くあぶります。サバイヨンはサイフォンでムース状にし、ラビオリとソースも温め直して盛ります。


今回の講習では星付きレストランの手の込んだ仕事と、フランスならではの高級食材を使った料理を見ることができ、研究生たちも真剣な眼差しで聞き入っていました。1か月後に行われる卒業制作ムニュ・スペシオの参考にもなったのではないかと思います。


最後に、アシスタントを務めてくれた研究生と記念撮影です!