【シェフお任せメニューが楽しみなお店】M. Romain BARTHE(ロマン・バルト氏) / Auberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)
本日の講習は、シャトー・ド・レクレールから車で30分程の場所にあるボジョレ北部、モルゴンの丘のふもと、Vaux-en-Beaujolais(ヴォー・アン・ボジョレ)で、オーベルジュレストラン「オーベルジュ・ド・クロシュメルル」のオーナーシェフをされている、ロマン・バルト氏にお越しいただきました。
バルト氏は仕入れした材料からインスピレーションを得てコース料理の内容を決めるため、メニューには食材名しか書かれていません。そのためレストランでは注文後、どのような料理が出てくるのか興味深いです。また、ソムリエであるマダムに提案されるボジョレのワインと合わせることも楽しみです。
バルト氏はロアンヌ近郊のミシュランガイド3ツ星レストラン「トロワグロ」やランスの「レ・クレイエール」、「オー・ザルム・ド・シャンパーニュ」、スイス・シェールの「デディエ・ド・クルタン」などのレストランで腕を奮った後に2007年に独立し現在のお店を購入、2011年にはミシュランガイドで『期待のシェフ』に選出され、2025年のミシュランガイドでは、一時は失っていた1ツ星を再び獲得しています。
今回はアミューズ3品と前菜1品を作っていただきました。
1品目は仔牛肉を使ったアミューズです。
仔牛のフィレ肉を5ミリの角切りにし、塩、こしょう、オリーブオイルで味付けをしてタルタルにします。土台になる生地は、メキシコ料理でよく使われるタコスを三角のトヨ型に成形し、180℃のオーブンで焼き上げています。タコスの上に仔牛のタルタル、白身と黄身を分けて裏漉したゆで卵、アクセントにマスタードのソースをかけて、上から乾燥させた花びらを飾っています。マスタードが淡白な仔牛の味わいをうまく引き立ててくれます。
仕上げは日本からワーキングホリデーで研修に来られている、原さんに行っていただきました。まだ研修を始めてから1カ月ほどだそうですが、シェフからも信頼されている様子がうかがえます。
2品目は今が旬のかぼちゃを使った一品です。
かぼちゃを白ワイン酢とカソナードと呼ばれるブラウンシュガーと一緒にゆっくりと火を通し、ミキサーで回してチャツネのようなペーストにします。
スプーンでクネル状に形作り、その上にますの卵、黒にんにくのペースト、エスプレット唐辛子風味の亜麻のテュイル、フヌイユの葉を飾っています。
アミューズ最後の品は、にしんと白いんげん豆を使った一品です。
にしんの身を酢漬けにしたものを細切りにし、Mogette(モジェット)と呼ばれる白いんげん豆で作ったヴルーテに浮かべます。同じように金柑のシロップ煮にしたもの、玉ねぎときゅうりのピクルス、パルメザンチーズとクルミをミキサーにかけたペースト、クルミにCurry rose(キュリー・ローズ)というカレースパイスをまとわせて風味付けしたものを盛りつけます。
こちらは現在お世話になっている研修生が盛りつけをしてくれました。緊張している様子でしたが、とてもきれいに仕上げてくれました。
最後はフォワ・グラと白にんじんを使った前菜です。
白にんじんは水と牛乳で火を通し、ミキサーでペースト状にします。そこにvin jaune(ヴァン・ジョーヌ)というジュラ地方の黄色ワインを加えて香りをつけます。さらに生姜風味のお酢を加えて仕上げます。
フォワ・グラは表面を色よく焼き、先ほどの生姜風味のお酢を加えてからめます。その上にRoscoffe(ロスコフ)という品種の赤玉ねぎをオリーブオイルで炒めてからマサラペーストというカレー風味のペーストを加えて香りをつけ、水を加えて柔らかくなるまで火を通してから粗みじんに切ったものを乗せます。
それぞれのパーツを盛りつけ、Épine-vinette(エピーヌ・ヴィネット)という実の酢漬けを飾って完成です。
今回の講習では今まであまり見ることのなかった食材がいくつか登場しましたが、そういった食材をどのように調理したり、どのように他の食材と組み合わせていくのかという考え方を学ぶことが出来たと思います。研究生たちには今後行われる卒業制作ムニュ・スペシオなどの参考になったのではないでしょうか。
最後に、アシスタントを務めてくれた研究生と記念撮影です!


