FRANCE

辻調グループ フランス校

ブログ

【各方面で活躍中のシェフ】M. Romuald FASSENET (ロミュアルド・ファスネ氏) / Château du Mont Joly(シャトー・デュ・モン・ジョリー)

フランス校教壇から

2025.12.16


今回外来講習に来ていただいたシェフは、フランス東部Franche=Comté(フランシュ=コンテ)地方のDole(ドール)という街の近郊にあるミシュランガイド1ツ星レストランChâteau du Mont Joly(シャトー・デュ・モン・ジョリ)のオーナーシェフM. Romuald FASSENET(ロミュアルド・ファスネ)氏です。
ファスネ氏は、パリのトゥール・ダルジャンや、アメリカやドイツのレストランなどで勤務された後、2004年にM.O.F.を受賞。2007年に現在のシャトーを購入され、レストランをオープンしました。シェフ自身もこの地方の生産者の方々と深く交流があり、地元のイベントなどにも積極的に参加されています。
また、フランス料理の国際コンクールである、ボキューズ・ドールの日本代表のオフィシャルコーチを務められた経歴もあり、日本代表最高順位である3位という快挙に大きく貢献されました。

今回の講習では、地元食材を使った料理を2品作っていただきました。

まず1品目は、ブルゴーニュ産のエスカルゴを使った前菜です。エスカルゴは日本ではあまり馴染みのある食材ではありませんが、ヨーロッパでは古くから親しまれてきた食材のひとつです。鍋に多めのバターを熱し、そこに大きめに切った玉ねぎ、ポロねぎ、にんにくを加えて柔らかくなるまで火を通します。そこにエスカルゴを加えてゆっくり加熱し、塩、こしょうをして仕上げにアブサントというニガヨモギなどが原料のお酒を加えてなじませます。バットに取り出し、エスカルゴに味や香りが移るようにマリネします。


つけ合わせは2種類です。1つ目はシャンピニョンをくし切りにして、シャントレル(ミキイロウスタケ)と混ぜて水分を出すように炒めてからざるに移し、ほうれん草と合わせてバターでソテーし、イタリアンパセリを加えて仕上げます。

2つ目はとうもろこし粉を使ったクランブルです。Gaudes(ゴード)と呼ばれる炒ったとうもろこしを石臼で挽いて作った粉で、フランシュ=コンテ地方の特産品です。粗挽きのスム―ルと、粉状にしたものの2種類を使います。その中にバター、砂糖、小麦粉、塩を加えてポロポロとしたそぼろ状に混ぜ合わせてオーブンで焼きます。そこにフランシュ・コンテ地方の特産品であるモルトーソーセージの乾燥を同じ大きさに刻んだものを合わせます。

次にソースです。適当な大きさに切ったじゃがいもと乾燥のグリーンピースを柔らかくなるまで塩ゆでし、別で塩ゆでしたほうれん草、生クリーム、ゆで汁と共にミキサーにかけてなめらかなピュレにし、サイフォンに入れてムース状に仕上げます。

お皿にきのことほうれん草のソテー、温めなおしたエスカルゴ、グリーンピースとじゃがいものムース、とうもろこし粉のクランブル、アブサントのジュレ、飾りのハーブを盛りつけて完成です。
グリーンピースの鮮やかな緑色とクランブルの香ばしい香りが食欲をそそる一品です。

2品目はリ・ド・ヴォを使った肉料理です。リ・ド・ヴォとは仔牛の胸腺肉のことをいい、ミルクを飲んでいる時期に必要な部位で、成長するにつれて失われる器官です。肉質は柔らかく濃厚でミルキーな味わいが特徴です。
リ・ド・ヴォは水の中で血抜きをしてから表面の膜と筋を取って一人前に切り分け、中心にコンテチーズを棒状に切ったものを差し込みます。塩、こしょう、メリロ(エビラハギ)の乾燥を振り、網脂で包んでラップで巻いて形を整えます。63℃で30分間蒸してから一度冷やし、にんにく、タイム、澄ましバターで表面にこんがりと香ばしい焼き色をつけ、仕上げにフレッシュのバターを加えて香りをつけます。


こちらもつけ合わせは2種類で、1つ目はスム―ル・ド・ゴードを使ったポレンタです。ポレンタとは、コーンミールをおかゆのように炊いたイタリアの家庭料理です。エシャロットをバターで炒め、スム―ル・ド・ゴードとコーンミールを加えてさらに炒めます。鶏のだし汁を加えてオーブンで炊き上げてから仕上げにすりおろしたコンテチーズ、メリロの乾燥を加えて味を整えて冷やし固め、楕円型に形をとって表面にとうもろこし粉をまぶして澄ましバターで香ばしく焼き色をつけます。


2つ目は季節の野菜のグラッセです。ミニにんじん、ミニかぶ、ミニビーツを鶏のだし汁、バター、塩、こしょうでつや煮にします。
ソースは端材の肉で作ったジュ・ド・ヴィアンドにフレッシュのバターを加えてコクを出し、仕上げに角切りにした栗を加えます。さらにリ・ド・ヴォを火通しした際に使ったバターの上澄みのきれいな部分も加えて仕上げます。


リ・ド・ヴォは仕上げにソースを表面に塗ってから照りを出すようにオーブンで温めなおし、それぞれを盛りつけて完成です。リ・ド・ヴォのミルキーな風味と香ばしいポレンタの味わいを濃厚なソースでまとめたインパクトのある一皿に仕上がっていました。

講習後は現在お世話になっている研修生がお店の紹介や研究生からの質問に答えてくれました。ぼんやりとですが、少し先の自分の姿が想像出来たのではないでしょうか。


最後に、アシスタントを務めた研究生と記念撮影です!