【ボジョレの名店から】M.Aurélien MÉROT(オレリアン・メロ)氏 / Auberge du cep(オーベルジュ・デュ・セップ)
今回外来講習に来ていただいたシェフは、ボジョレ地方のワインの銘柄「フルーリー」が作られている村にある、Auberuge du cep(オーベルジュ・デュ・セップ)というレストランのAurélien MÉROT(オレリアン・メロ)氏です。
シェフのメロ氏は、ボジョレ地区のシャトー・バニョル、フランス南部のエズという村のシェーヴル・ドール、パリのパッサージュなどで経験を積み、ボジョレ地区のシャトー・ピゼーではシェフを務められました。そして2015年に現在のレストランを継承し、近郊でとれる食材を活かしたクラシックとモダンが融合した料理で2021年から現在までミシュランガイドで1ツ星を獲得しており、ボジョレ地区を代表するレストランとなっています。
今回はシャンピニョンを使用した前菜と、サンドルを使用したメイン料理の計2品を作っていただきました。
Comme une tarte aux champignons :Champignons rôtis caviar d'aubergine-pomme et cèpes, Crumble de pignon de pin
まず前菜の料理ですが、クランブルというホロホロと崩れるクッキー生地を焼いていきます。カソナードを加えることで色付きがよくなりますが、今回は料理で使用するので少量だけ加えます。オーブンで色が付くように焼き、途中で崩しながら焼き上げます。そのクランブルを皿に敷き、その上に焼いたりんごとなすを混ぜてにんにくとタイムの香りをうつしたピューレを流していきます。
ピューレの上に焼いたシャンピニョンをきれいに並べていきます。シャンピニョンはまず鶏の出し汁に白ワインを加えた液体で下ゆでし、少し厚さをもたせて薄切りにします。その後に表面だけ色づけるように焼きます。まず下ゆですることで、最後焼いた時の表面がきれいに焼きあがったり、薄く切って置いておくことができます。(変色を防ぐことができる。)この料理は研修性とアシスタントの学生が一緒に盛りつけを行いました。
Sandre de Saône rôtie, sauce matelote au beaujolais et Carotte du jardin d'augustin
次にサンドルの料理を紹介します。サンドルというのは淡水に棲む大型の白身魚です。
まずはソースです。サンドルの骨を香味野菜と共に炒めて香りを出していきます。赤ワインと鶏のジュ(出し汁)を加えます。魚には白ワインというイメージがあるかもしれませんが、サンドルのように魚自体の香りや味がしっかりしているものには赤ワインのソースを使用することもあります。さらに八角や丁子などの香辛料を加えて1時間ほど煮込み、味をしっかり出します。別鍋で赤ワインをシロップ状になるまで煮詰めておき、漉したソースに加えることで、色も濃くなり、輝くようなつやが出ます。最後に赤ワイン酢を加えて味と風味を調えます。
サンドル自体がしっかりとした味わいなので濃厚な赤ワインベースのソースともよく合います。つけ合わせはにんじんのピューレと、小さい黄色にんじんのつや煮を2つの火通しで提供しました。1つ目は昔ながらの調理法であるエチュヴェです。エチュヴェとは素材の水分だけで蒸して火を通す方法です。この調理法は素材の味を凝縮できるのが利点です。もう1つはタイムとにんにく、オリーブ油を真空パックに入れて調理する方法です。真空パックに入れて加熱することで、素材に他の香りをつけることもでき、短時間で均等に火が通るのがメリットです。同じ食材でも調理法を少し変えるだけで味わいや香り、食感も変わってきます。サンドルはフライパンで皮面をじっくり焼き、身と皮の間の脂をしっかり出します。お店では魚の塩味を均一に行き渡らせるためにソミュール液(塩味をつけた水)につけているそうです。皮面がしっかりと焼けたら身の部分はさっとだけ火を通します。
サンドルと赤ワインソースというクラシックな組み合わせを現代風に仕上げていました。
最後にアシスタントの学生と研修生と記念写真を撮影しました。


