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【特別授業・パンの講実習】製菓外来講習M.Edouard DORANGE(エドゥワール・ドランジュ氏) / Grain de sucres (グラン・ド・シュクル)

フランス校教壇から

2026.02.19

今回は、エドワール・ドランジュ氏にパンの外来講習にお越しいただきました。12月に調理の研究生向けにもお越しいただきましたが、今回は製菓の研究生向けの講習です。

ドランジュ氏はリヨンの旧市街にあるパティスリー「Grain de sucres グラン・ド・シュクル」でブーランジュリーを担当されています。パンの世界コンクール「クープ・デュ・モンド」にも出場された経験をお持ちです。また同店で製菓のシェフをされているノルウェン・プレ氏も毎期講習にお越しくださっています。

Viennoiserie(Croissant, Pain au chocolat)

製菓の研究生向けの特別メニューです。
フランス校では毎朝の朝食で食べるクロワッサンやパン・オ・ショコラを製菓の研究生が毎日手作りしています。ドランジュ氏が作るヴィエノワズリーは前日の生地の残りを入れ、バターも最初から練りこむことで生地の進展性を高め、サクサクさせています。

生地とバターを折り込むことでオーブンの中で間にあるバターが溶け空洞ができ、層ができるという仕組みですが、学校とドランジュ氏の折り込み回数や生地の厚みなども少しずつ違い、普段のものとの違いを学ぶことができました。


素早く折り込まれている為、バターが溶け出さず、綺麗な層になっていることがわかります。

Baguette de tradition française
バゲットはオートリーズという製法を用います。

オートリーズとは最初に粉と水分を混ぜて休ませておくことです。グルテンが形成されその後の生地を捏ねる時間の短縮、作業性の良さに繋がります。フランスのバゲットは空洞が多い方が良いとされている為、なるべく空気をつぶさないように丁寧に成形する必要があります。しかし、生地の締めが緩いと生地が上に持ち上がる力が弱くなってしまうため力加減が難しく、作業を行った研究生も苦戦していました。


表面に"クープ"と呼ばれる切り込みを均等に入れて焼成します。


均等に成形された生地は綺麗な焼き色で焼きあがってきます。つやつやですね!

Pain au levain sur farine de meule T110
ルヴァンと呼ばれる天然酵母を使用して作られる食事パンです。発酵種を使用することでパンの表面が厚くなり食感が良くなります。発酵種を使った生地は少し酸味がある香りや味になります。生地が柔らかいため、バヌトンと呼ばれるカゴに入れ発酵させます。表面にお店のロゴや模様を粉でふりかけ、切り込みを入れて焼成します。


またフランスの粉の違いを教えていただきました。普段お菓子作りに使われる粉はT45や55といい、灰分(ミネラル分)の量によってこの数字が変わります。数字が大きくなればなるほど灰分量が多く、麦本来の味に近づきます。最大の数字はT150のため、今回のパンに使われている粉はかなり灰分量が多いことがわかりますね。

Tourte de seigle auvergnate
ライ麦粉(セーグル)で作られる大型の食事パンです。グルテンを含まないため、歯切れが良く、酸味があるのが特徴です。Souche(スーシュ)と呼ばれる発酵種を使うことでより酸味や風味が増します。


Pain aromatique (Pain du sportif, Pain pesto/tomate/feta)
具材がたっぷり入った食事パンを同じ生地で2種類作っていただきました。
Pain sportif :アプリコット、いちじく、クランベリー、ブドウのドライフルーツ、ヘーゼルナッツ、ゴマ、ヒマワリの種やそばの実をたっぷり練りこんだパンです。スポーツをする際の栄養、エネルギー源になるものがたくさん入っていることから"パン・デュ・スポルティフ"という名前を付けられたそうです。



Pain pesto/tomate/feta :生地にバジルソースを粉末にしたものを練りこみ、ドライトマトとフェタチーズを包んだパンです。フェタチーズはヤギのミルクを使ったチーズで酸味が特徴ですがトマト、バジルと良く合いとても美味しかったです。具材が出てこないように包むのがとても難しいですが、研究生もシェフの動きを良くみて作業していきます。

Pain au beaujolais
フランス校のある地域で作られているボジョレーのワインを使用したパンです。他にもヘーゼルナッツ、赤ワインで火を通した玉ねぎ、リヨンで作られるソーセージを一緒に練りこんでいます。アルコールはグルテンの形成を抑制し、発酵に大きな影響を与えてしまう為、アルコール分は飛ばし、香りだけを加えます。



Buns
ハンバーガーに使われているパンです。ヴィエノワズリーに使っている生地を少し加え、さらに脱脂粉乳やバターを加えることで焼き上がりも柔らかく、もっちりとした食感になります。このパンだけで食べてもおいしかったです。トッピングに色々な種類の穀物を振りかけて焼き上げます。


作るだけでなく、機械のそれぞれの特性や塩、水の役割、小麦の成分などについても詳しく説明していただきとても貴重な2日間の講実習になりました。研究生たちにとっても最初で最後のパンの講習。作業させていただける回数も多く学べることがたくさんあったのではないでしょうか。


研究生からコメント
『今回パンの外来講習のアシスタントをして、普段の授業とは違う緊張感とスピード感を強く感じました。ドランジュさんの動きを先読みして準備すること、作業台を常に整えておくこと、材料や道具をすぐ渡せるようにすることの大切さを学びました。特に印象に残ったのは同じパンでも工程ごとに温度・水分・発酵状態の見極めで仕上がりが大きく変わることです。成形やクープの入れ方など細かい技術の積み重ねが完成度に繋がると実感しました。また、周りを見ながら動く力や指示を正確に聞いてすぐ行動する力が必要で自分の課題もはっきりしました。忙しかったですが、その分とても楽しく学びが多く、とても良い経験になりました。』
『2日間アシスタントを担当して、シェフの手際の良さ、生地の状態に合わせる感覚を間近で見ることができました。使う材料、機械、工程など分けて説明していただきフランスのパンがおいしい理由を知れた気がします。聞き取りやすいフランス語で指示をしてくださり緊張しましたが楽しく多くの作業を体験させていただきました。フランスに来た当初よりフランス語を理解できることが増えてきましたが疑問を伝えることが難しいのでスタージュ(研修)に向けて話せるようになりたいです。』


Merci ! M.DORANGE!