【ジュラの避暑地から】M.François MOUREAUX(フランソワ・ムロー氏)/ LA POUTRE(ラ・プートル)
今回の講習はフランスのジュラ地方の『BONRIEU』(ボンリュー)にあるホテルレストランLA POUTRE(ラ・プートル)のシェフM.François MOUREAUX(フランソワ・ムロー)氏にお越しいただきました。
父親の後を継いだ『ラ・プートル』にて、ボンリューの湖、山、川、森などの自然から着想を得た料理を提供されています。
ムロー氏は『ラムロワーズ』やパリの『トゥール・ダルジャン』など著名店で研鑽を積み、2001年より『ラ・プートル』を父親から引き継ぎ、2007年より『アジムット』のシェフに就任。ボキューズ・ドール2015年フランス国内大会では2位に輝くなど、確かな実力の持ち主です。
Queues de langoustines poelées à l'huile d'olive et choucroute de chou rave
ラングスティーヌ(手長えび)の殻をむいて背中から半分ほど切り込みをいれて背ワタを取っておきます。フライパンにオリーブ油を熱し、背中の面のみを香ばしく焼き上げます。火が通って味や風味が凝縮した部分と、半生に近い腹側の部分は甘味が残っており、焼き方にもこだわりを持たれていました。頭やハサミの部分は3㎝ほどにカットしてソースに使用します。ソースは先ほどの殻を香ばしく炒めて、トマトペーストを加えさらに炒めます。そこに殻がつかるくらいの水、タイム、ローリエ、にんにくを加えて1~2時間煮出します。つけ合わせにはフランスのアルザス地方の料理であるシュークルートを参考にして、今回はコールラビにジュニエーヴル(ジュニパーベリー・ねずの実)と呼ばれる香辛料を合わせて作成します。薬味としてリンゴとコールラビの角切り、レモン汁、しょうが、シブレットを混ぜ合わせたものを添えます。飾りにはイカ墨を混ぜたチュイルを作成しました。最後にジュニエーヴルの香りをつけた牛乳をエキューム(泡)にしました。
手長えびの旨味と香り、コールラビの食感とジュニエーヴルの香り、リンゴやレモンなどのさわやかな香りなど美味しさを引き立たせた素晴らしいひと皿です。
2パターン盛りつけしていただきました。こちらの料理はアシスタントの研究生も一緒に盛りつけをしました。
Noix de Saint-Jacques cuite à la flamme endives à l'orange crues et cuites
2品目は帆立貝を使用した料理です。
帆立貝は殻から外し、縦半分にカットして切った断面に塩を振っておきます。最後に水分をよくふき取り、バーナーで片面だけ香ばしく焼いていきます。ソースとつけ合わせにはアンディーブと呼ばれる苦みのある野菜を使います。
1つ目のつけ合わせは約5㎜幅でカットしてオレンジ果汁の中で火を通し、液体と分けて最後にフライパンで香ばしく焼きます。
2つ目はサラダとして細切りにした赤と黄色のアンディーブにレモン汁、しょうが、オリーブオイルを混ぜたもの。
3つ目は赤いアンディーブの葉をさっとゆでてレモン汁と卸ししょうがに漬けたもの。ソースはアンディーブの火通しに使用したオレンジ果汁を煮詰め、そこにバターを加えオレンジの風味にバターのコクをプラスしていきます。
帆立貝の甘味や香ばしさ、オレンジの風味、アンディーブのほどよい苦みや色々な食感や香りなどを楽しめるひと皿となりました。
研究生もシェフに教えてもらいながら隣で頑張っています。
講習後は質問タイムです。今回の料理に関することはもちろん、コンクールに関しての料理考案のポイントなどムロー氏の料理に対する考え方を知りたいという研究生の強い思いが伝わってきました。
最後に、アシスタントを務めてくれた研究生と記念撮影。ムローシェフ、ありがとうございました!


