OSAKA

辻調理師専門学校

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子ども料理教室に全力投球!~楽しませるための奮闘記~

高度調理技術マネジメント学科

2025.07.07

高度調理技術マネジメント学科2年生02クラス担任で、
3年生の独自科目「食と環境ワークショップ」を担当している東です。

この学科は、3年間かけて調理を学ぶ専門学科です。
卒業時の到達目標として、「安全かつ衛生的に調理した料理を提供できる」という大前提のもと、
「食を通して人の心を動かす」ことを掲げています。
学生たちには、自分の思いやメッセージを料理に込め、「背景のある一皿」を作れるようになってほしい。
そして卒業後には、人の心や社会を動かすことのできる"食業人"として活躍してほしいと願っています。

この「食を通して人の心を動かす」力を育むため、
3年生になると「食と環境ワークショップ」という授業が始まります。
料理だけでなく、その"お皿の外"にも目を向けることが求められる授業です。
授業では、校外でのボランティア活動や、飲食業界のトップランナーによる講話などを通じて、
広い視野を養います。

辻調理師専門学校がある阿倍野区には、NPO法人yucocoという団体があります。
yucocoさんは、学びを通じてお母さんと子どもたちを笑顔にすることを目指して活動されています。
その活動の一環として、小学生を対象にした放課後の居場所事業「キッズクラブ"まなっぷ"」があり、
2021年から本学科の学生が子ども料理教室の企画・運営に協力しています。
活動紹介ページはこちら⇒ https://yucoco-npo.net/tsuji-manappu/

今回は、今年度初回のテーマ「イタリア料理をつくってみよう」の回についてレポートします!

■ プレゼンテーション
授業は、NPO法人yucocoの皆さんに向けて、自分たちの企画をプレゼンするところから始まります。
先輩たちの事例も参考にしながら、「どんなことを伝えたいか?」「どんな体験があれば楽しんでもらえるか?」
を各班でじっくり考え、実際にプレゼンを行います。
その後、NPOの皆さんや先生方からフィードバックを受け、企画のブラッシュアップを行います。

■ 試作・企画改善
プレゼンの段階では、いわば"机上の空論"。
3年生ともなればある程度の見積もりはできますが、やはり実際に試作してみないと分からないことも多いです。
想定通りうまくいくこともあれば、全くうまくいかないことも。
今回の班では、当初予定していたデザートがうまくできず、アイスクリームに変更することになりました。

■ 当日に向けての準備
もちろん、料理を作るだけでは"おもてなし"にはなりません。
下の写真は、HACCPの考え方に基づいてフローダイヤグラムを作成している様子です。

フローダイヤグラムとは、食品の原材料の受け入れから最終的な提供までの工程を図式化したもの。
食中毒や異物混入のリスクを最小限に抑えるため、学生たちは真剣な表情で取り組みます。

その合間には、子どもたちに親しみを持ってもらえるよう、名札やウェルカムボードも作成します。
絵が得意な学生は、スラスラとペンを走らせていました。


さあ学生たちは小学生たちを思いっきり楽しませることができたのでしょうか?

■ いよいよ本番!
当日の朝、学生たちの表情には緊張と期待が入り混じっていました。
「ちゃんと伝わるかな...」「楽しんでもらえるかな...」そんな思いを胸に、準備に取りかかります。

そして、元気いっぱいの小学生たちが到着!その瞬間、学生たちの顔にも自然と笑顔がこぼれました。
学校にお招きした小学生たちを、学生たちがアテンド。まずはお着替えからスタートです。
「そうか!ここもお手伝いしてあげないといけなかったんだ!」と、少し戸惑いながらも、
子どもたちに寄り添う姿が印象的でした。

■ 料理体験スタート!
今回のメニューは、ラザニア、サラダ、いちごアイスクリーム。
学生たちは、子どもたちが安全に楽しく調理できるよう、声かけや手順の工夫を凝らしました。
まずは、ラザニアのパスタ生地を伸ばすデモンストレーションから。

その後、伸ばしたパスタを茹でて、ソースと重ねていく工程へ。

「チーズたっぷりにしたい!」「これ、家でも作れるかな?」
子どもたちは興味津々で、楽しそうな声が飛び交います。


サラダ作りでは、野菜をちぎったり、ドレッシングを混ぜたりと、手軽ながらも達成感のある作業が続きます。

そうこうしているうちに、ラザニアが焼きあがりました。
「いいにおい!」「おいしそう!」「すげー!」と、歓声が上がります。

■ みんなで「いただきます!」
完成した料理を囲んで、みんなで「いただきます!」
自分で作った料理を食べる喜びは格別です。
「おいしい!」「また作りたい!」という声があちこちから聞こえてきました。
学生たちも、子どもたちの笑顔を見て、達成感と充実感を味わっていました。

■ 食の力を実感した一日
今回の子ども料理教室を通して、学生たちは「食で人の心を動かす」ことの意味を、実体験として学びました。
料理は、ただおいしいだけではなく、人と人をつなぎ、笑顔を生み出す力がある。
その力を信じて、これからも学生たちは学び続けていきます。
次回の活動も、どうぞお楽しみに!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 専門講義科目グループ
東 庸介(あずま ようすけ)

調理「食生活と健康」、「食と環境ワークショップ」 製菓「公衆衛生学」を担当。
高度調理技術マネジメント学科2年生の担任やSDGsに食から貢献することを目的とした学生サークルSSPの顧問をしています。
▶ 管理栄養士
▶ SDGs for School認定エデュケーター
▶ Microsoft Innovative Educator Expert 2024-2025