「私たちは鯛のあら煮から煮物の基礎を学びます!」日本料理だけを学ぶ辻調! 日本料理本科のブログ4
今日は9月8日!夏休みを終えて後期授業のスタートです!
夏休み中、就職活動を活発に行い、内定をいただいた学生も数多くいますよ。
就職先でも即戦力として活躍できるよう後期も頑張っていきましょう!
本日の個人実習は全員が鯛のあらを使って「鯛のあら煮」を作りますが、この料理には大切な煮物の基礎がたくさん含まれているのです!では紹介していきますよ。

できたての鯛のあら煮です!甘辛~い煮汁が鯛に絡まり美味しそうではありませんか
表面がツヤツヤだ

ではさっそく実習開始!まずは牛蒡の準備、表面をたわしで洗い土や汚れを落とします!ゴシゴシ


太い方から細い方へ向かって包丁で割いていきます!
牛蒡はとても固いので割いている最中にボキッと折れやすいのです。「今日は途中で折れないように8つ割りにしてください」と先生からの指示があり!

自身満々の顔ですね!お見事


次は鯛の頭を2つに割りますが、力が必要な仕事です!頭の骨は大きく固いのです。
体重かけて割ってみようか
ヨイショっと!

2つに割られた鯛の頭ですが、これ全てが食べられるわけではありませんよ。

身がついていない部分をカットするとこうなります。


次は鯛のあらに80度くらいの湯をかけて、表面だけ軽く火を通します!専門用語で「霜降り」と言います。
鯛の表面が白っぽくなり、霜が降りたように見えることからそう呼びます。
先生
湯の温度はなぜ80度ですか??
100度の湯をかけると鯛の皮が破けやすくなります。
また、鯛に付着していた血液や内臓に完全に火が通りすぎて、取り除く際ボロボロと細かく崩れ掃除しにくいからです! へーそーなんや!


水の中で完全にウロコ、血液、内臓を取り除きます!
あら煮を食べたお客様の口からウロコが出てくるようではプロの仕事とは言えませんよ!

下準備が終わった鯛あらを煮ていきます!鍋に割いた牛蒡を敷き、鯛あらを並べていきます。
「鍋割り」という基本的な並べ方があるのです。

鍋の中は中央と周囲ではやや熱の伝わり方が違ってくるので、鍋に材料を入れるときは、
頭部分のように骨が固く煮えにくいものを中央に、煮崩れしやすいカマ部分や火が通りやすい口部分は周囲に並べるようにします。
これが「鍋割り」です。


鍋割りは、他の魚のあらを使うときも理由が同じなのでしっかり記憶しておいてください!

鯛あら煮を煮る調味料!
手前左から水、酒、2列目は砂糖、みりん、3列目は左から濃口醤油、たまり、生姜の絞り汁です!
加える順番とタイミングが鯛あら煮を美味しく仕上げるポイントです。

まずは鍋に水、酒だけを加えて強火で鯛あらに火を通します!(約5分)
鯛の目玉が真っ白になっていますね、これで火が通ったと判断します!

鯛あらに火が通れば砂糖、みりん、甘い調味料だけを加えて煮汁が1/3量くらいになるまで煮詰めます。
先生
!なぜ醤油はここで入れないのですか?
いい質問ですね。理由は砂糖、みりんと醤油の分子の大きさの違いにヒントがあります。
砂糖・みりんの分子は醤油(塩も同様)よりも大きく、先に入れても隙間ができ、分子の小さな醤油をあとから入れても味を含みます。
逆に分子の小さな醤油を先に入れる・または砂糖みりんと同時に入れると先に醤油の分子が占領して隙間をなくし、砂糖・みりんの味を含みにくくなります。
実際にやってみるとはっきりと味の含み加減が違うことがわかりますよ。ちゃんと理由があるのですね。納得です。


濃口醤油を加えて、途中鍋を傾け煮汁をかけながら煮ていきます。
「鍋の中は鯛あらでびっしり占めているから、煮汁をかけにくいよね」そうやね。
丁寧にやらないと鯛あらが煮崩れるぞ!

煮汁が煮詰まるほど鍋の周囲に煮汁が焦げ付きます!途中手間でもふき取りながら煮ていきます。

よしこれでいいだろう!煮汁の煮詰め具合もよくツヤツヤ
ですね。
たまりを加えて鯛あらの表面に絡めると完成!
隠し味に生姜の絞り汁を加えて香りを高めますよ

鯛のあら煮はとても崩れやすくなっています!そぉっと取り出します。
鯛のあら煮との組み合わせは牛蒡が定番です!これ以外ないと言うほど牛蒡の香りが鯛あらのクセを和らげ、煮汁をたっぷりと吸い込んだ牛蒡は最高に美味しいぞ
牛蒡は大きめに切り、たっぷり食べたいね!
鯛のあら煮、1人前完成! 天盛りに針生姜! 味を引き締めます。
「鯛あらは勿論、牛蒡がこんなに美味しいとは思いませんでした
最強!」
鯛のあら煮のように黒い学生を発見!
なんでそんなに日焼けしてんの?
「先日、高知のよさこい祭りに参加していました!とても刺激を受けました」
後期も元気に頼むよ!おつかれさまでした!
~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川健
香川県出身。
私は35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。


