グループで協力し、ピンチの菓子店を建て直せ!~課題解決ワーク発表会~
今回は2年生の授業「マネジメント論 店舗経営」のグループ発表の様子をご紹介します。
授業の様子をのぞいてみると、担当の齊藤先生から課題が出されていました。
その課題は「グループで協力し、ピンチの菓子店を建て直せ!」
『ピンチの菓子店』とはどういうことでしょうか!?
この「マネジメント論 店舗経営」は、開業を目指す人はもちろん、
就職後に店舗の課題を発見し、改善策を提案・実行できる力を養うことを目的としています。
学生時代は、「おいしいお菓子を作りたい」「誰かに喜んでもらいたい」という想いで
お菓子づくりを学ぶことも大切です。
しかし、社会に出ると、お菓子づくりの先には、その商品を選び、購入してくださるお客様がいます。
パティシエとして活躍するためには、お菓子づくりの技術だけでなく、
店舗や現場を運営する視点も欠かせません。
このグループ発表では、4月から学んできた店舗経営の知識を活用しながら、
架空の2つのパティスリーの経営状況を比較。
課題や改善策を考察し、3分間のプレゼンテーションにまとめて発表する、というものです。
学生たちは全3回の授業を通して、分析力や課題解決力、他者に伝える力を磨いていきます。
齊藤先生から、架空の店舗『カヌーレ Tsuji』と『パティスリー ツジーニ』の経営状況の比較資料が提示されました。
そこには、具体的な売上高、正社員給与、家賃、減価償却費などの数値的視点、メニューラインナップ、
その他「駅から店が遠い」「テイクアウトのみでイートインがない」などの経営環境が設定されており、
学生たちはそれぞれの店舗のイメージを膨らませます。
早速、グループに分かれて議論が始まりました。
「FLR(製菓店の三大費用。食材費、人件費、家賃)の割合の適正ってなんだっけ?」
「売上は絶対高いほうがいいよね?」
「SWOT分析(お店の強みや弱みを整理する分析手法)のこれって外部環境になるのかな?」
テキストを振り返りながら、意見を出し合う学生たち。
齊藤先生に質問したり
「損益分岐点売上高(利益も損失も出ない売上の目安)って2,244,000円で正しい?」など
比較検討するための数値的根拠も算出し、議論を深めていきます。
最終回の授業では、課題シートをまとめるだけでなく、
グループごとにプレゼンテーション資料を作成し、自分たちの考えを発表しなくてはなりません。
聞き手にわかりやすいようにグラフを作成するグループもあれば、
インパクト狙いの画像を取り入れるグループも。

意見を出し合ったり、資料を作成する中で、
「どのようにすれば相手に伝わるか」を意識しながらまとめる姿が見られました。
お互いの意見を尊重しながら活発に話し合う様子は、さすが2年生。チームワークの成長も感じられます。
今日の授業の最後には来週のプレゼンテーションの手順も説明されました。
そして迎えた翌週のプレゼンテーション当日。
発表前のリハーサルでは、スライドや話す内容の最終確認を行いました。
スマホにメモしたシナリオを見ながら、3分間という制限時間の中で、
どうすれば相手に分かりやすく伝えられるかを意識し、熱心に練習する姿が見られます。
このプレゼンテーションではプレゼン時間も評価の対象となります。
指定された3分という時間を使い、伝えたいことが伝わるか、これも社会人としての重要なスキルのひとつです。スライドに合わせて、スマホのメモにぎっしりと書かれたシナリオから学生の熱意を感じます。
いよいよ、グループ発表の始まりです。
発表のスタイルはさまざまで、代表者が一人で発表するグループもあれば、
時間管理や発表、スライド操作などの役割を分担するグループ、全員で順番に発表するグループもあり、
それぞれの個性とチームワークが光る発表となります。
「販路拡大のためにデリバリーを始めます!」と改善案を提示したグループにクラスメイトから
「デリバリーにかかる費用はどう考えていますか?」という質問があがります。
発表グループは「あ、確かに...」と少し答えに詰まる様子はありましたが、
「えっと...商品に配送料を追加します!」と何とか案を提示し、切り抜けた様子です。
「人件費削減のために、正社員ではなくアルバイトを増やします。ドアの開け閉めのサービスも廃止します」
との発表には
「アルバイトを増やしたり、お見送りをしなくなったら接客の質が下がるのではないですか!?」と
クラスメイトから指摘が入ります。
発表グループは
「接客マニュアル作って、気持ちの良い挨拶をして、接客の質は維持できます!ドアは自動ドアにします!」と
言い切りました。
「セルフサービスにして人件費を抑えます!」という案に対しての齊藤先生からの質問はこうです。
「お客様にセルフサービスに変更する告知はどうやってするの?」
発表グループは迷いなく「SNSで告知します」と答えます。
すると齊藤先生から
「SNSでなんて言うの?セルフサービスに変えました、だけだと弱くない?
今まで丁寧な接客をしてくれていたのに残念だな~って思う人でてくるよ」との指摘が。
優しい口調ですが、掘り下げた質問を投げる齊藤先生。
グループで話し合い、出した答えは
「お客様がお客様のペースで、自由に商品を選んでいただけるようにセルフサービスしましたって言う...」
と、少し自信なさげに答えると、
齊藤先生は
「そうだね、ともすればネガティブな施策を実施しようとしたときに、
お客様にとってポジティブな表現で伝えるっていうことはとても大切です!いいじゃないですか!」と
お褒めの言葉をいただくことができました。
齊藤先生は「これではダメ」「こうすべきだ」ではなく、
学生に自ら考えさせ、学生が自ら答えを出せるように丁寧に導いてくれます。
また、課題の内容に加えてプレゼンテーションの話し方や資料の見やすさについても
細かくコメントをしてくれます。
「スライドすごく見やすかったね、文字数が適切で、話しを聴くのに集中しやすかったね」
「スライドで3つの項目を提示するならひとつずつアニメーションをつけると、聴講者はわかりやすいと思うよ」
「発表の声が聞き取りやすくてすごく良いね。綺麗によどみなく話すからこそ、トークに緩急をつけるといいよ。
大事なことをためながら話すともっと相手にも伝わりやすくなるよ」
齊藤先生は、
「正解を覚えるのではなく、自分で考え、根拠をもって判断できる力を身につけてほしい。
そしてその考えを熱意をもって相手に伝えられるようになってほしい」と話します。
全ての発表が終わり、学生からは
「今までなんとなくテキスト上で計算していた公式を、現場でつかうイメージが沸いた」
「グループで意見をまとめて相手に伝わるように発表するのが難しかった」
「プレゼンテーションでみんなの意見を聴くことができて、自分では思いつかない案がでてきて面白かった」
などの感想があがりました。
参観された瀬戸山明夫学科長からは、この授業について、
「学生が主体的に課題を発見し、原因分析から改善策の提案まで行うプロセスは、非常によい学びになっていますね」
というお言葉をいただきました。
数字に向き合い、仲間と議論し、自分のことばで伝えること。
今回の授業で学生たちが経験したことは、開業を目指す人だけのものではありません。
ホテルや街場のパティスリー、または工場など。将来それぞれの現場で、きっと武器になります。
お菓子を「つくる」その先には、それを選び、手に取ってくださるお客様がいます。
だからこそ、技術を磨くことと同じくらい、
「どうすれば伝わるか」「どうすればお店が続いていくか」を考える力が大切になります。
好きなことを「仕事」にして、長く輝き続けるために。
辻調では、その一歩先までを一緒に学んでいきます。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 専門講義科目グループ
担当授業:「マネジメント論」
中嶋 麗
職業病なのか、飲食店やパティスリーにいくと、
「コスパいいもの注文しよう!」とすぐ商品の原価率を推測してしまいます。


