いま話題のホテルの裏側へ!! インターンシップ奮闘記 【前編】
みなさんこんにちは!
辻調理師専門学校でインターンシップを担当している小峰です。
辻調理師専門学校 調理技術マネジメント学科(2年制)では、
1年生の後期に『インターンシップ』という授業があり、
学生全員が約20のホテルに分かれ、6日間のインターンシップへ行きます!
この授業では、
『実際の職場を見て働く様子を知り、これから身につけるべき技能や知識を理解するとともに、
現場での体験を通して自分に合う仕事や職場を考えるきっかけにする』
ということを目的としています。
今回は、インターンシップに参加する学生を取材するとともに、
学生を受け入れていただいたホテルの総料理長や人事マネージャーにもお話を伺い、
その裏側を覗かせていただきました。
今回協力してくれる学生は、調理技術マネジメント学科1年の大原望実さんです!
どうぞよろしくお願いします!

「がんばるぞ~!」と意気込んでいます。
事前に学生に配布された指示書には、それぞれの配属ホテルが記載されています。
大原さんの配属先は・・・・・大阪ステーションホテル!!
※ホテルの正式名称は
『THE OSAKA STATION HOTEL, Autograph Collection』
(大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション)です。
今回のブログでは、『大阪ステーションホテル』と表記させていただきます。
ホテルのホームページはコチラ (https://osakastation-hotel.jp/)

2024年7月に開業したばかり!!
JR大阪駅西口直結の素晴らしいロケーション。
『グランヴィア』や『ヴィスキオ』をはじめとするJR西日本ホテルズの新ブランドで、
いま話題のホテルです!!
このホテルは、150年前に初代大阪駅があった場所に建てられたホテルということで、
ホテルのいたるところに駅や鉄道にちなんだモチーフや
鉄道をオマージュしたアートが散りばめられています。

(HPより写真お借りしました https://osakastation-hotel.jp/restaurants-bar/ )
例えば、こちらのレストランは、『豪華列車の食堂車』をイメージした天井や内装・照明・家具・・・
車窓を模した大きな窓からは、大阪の街を望む絶景が楽しめます。
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さて、インターンシップ2日目に、学生の様子を伺いに、ホテルに訪問しました。
ホテル29階にある、『THE-MOMENT GRILL&DINING』(ザ・モーメント グリル&ダイニング)
というビュッフェスタイルのレストラン(先ほどの写真の、豪華列車を模したレストラン)で
大原さんはじめ、辻調のインターンシップ研修生たちが頑張っていました!

ちょうどランチの営業が終わったタイミングだったので、
その片付けや夜のディナーの準備をしているところでした。
大原さんも、塩貝シェフ(辻調卒業生)から、盛り付けの作業を教わります。
まずはシェフのお手本から。 
次は大原さんがやってみます。
そ~~っと、慎重に作業をしています。
でも、粘度があって、なかなかスプーンから落ちず、ゆっくり器に入っていくのを待っていました。
すかさず塩貝シェフからアドバイス。
「スプーンをもっと立ててやってみて。もっとス~ッと、キレイに入るよ!」と、
もう一度お手本を見せてくださいました。
素人の私には、どちらも同じように見えていたのですが、
確かに写真をよく見ると、お手本のシェフとは、スプーンの持ち方や立てる角度が違います。
このように、シェフや先輩からは、単なる作業手順や指示だけでなく、
スプーンの持ち方のようなちょっとしたことまで教わります。
そうした細かなポイントには、器を汚さず、効率よく、素早く、
そしてスマートに作業するための、プロならではの「コツ」が詰まっています。

ここは、人気スポットの一つ、キャビアステーション!
産地や味わいの異なるキャビア3種類の食べ比べができるのです!!
先輩(こちらも辻調の卒業生)が、キャビアの盛り付けをする様子を横で見学させてもらいます。
まずはムースをお皿に。
3種類のキャビアを順に盛りつけて完成!
こういった高級な食材を間近で見られるも、現場の醍醐味ですね。

その後も、厨房の中で、試食をさせていただいたり・・・
ディナーに向けた盛り付け作業を、先輩(こちらも辻調の卒業生)に教わったり・・・

最後は使った調理器具の洗い物まで。
こうして、あっという間に研修の時間が過ぎていきます。
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松森総料理長がお越しくださり、人事マネージャーの寺田様と共に、お話を伺うことができました。
松森総料理長も、辻調の卒業生です!
ここからはインタビュー形式でお届けさせていただきます。
「インターンシップに期待されることは、どのようなことですか?」
松森シェフ:
「まだ、将来の進路について、具体的なことが決まっていない学生さんが多いので、
来年の就職活動に向けて何をしないといけないか、
その足掛かりとして『ホテル』での仕事の特徴や雰囲気を感じてほしいですね。
こちらのホテルに配属されるということも、何かのご縁ですので、
インターンシップから弊社へのアルバイトや就職に繋がることも、多いに期待しています。」
寺田様:
「10代の若い学生さん達にとって、ホテルで食事をしたり、
結婚式などの宴席の料理を食べたりする機会は、まだほとんどないと思います。
朝・昼・夜と一日中食事を提供するオールデイダイニングでの経験もしてもらいたいですが、
インターンシップ期間中に宴席があれば、ぜひ見てもらいたいポイントのひとつです。
宴会の調理補助をしながら、何十人、何百人分のお料理を、
キッチンやサービスが連携して一気に提供する様子は圧巻で、
目まぐるしく動く迫力あるキッチンを体感してほしいなと思っています」
「大阪ステーションホテルならではの取り組みがあれば教えてください」
松森シェフ:
「ホテルと言えば、大量調理のイメージがあると思いますが、
大阪ステーションホテルでは、宴会をレストラン化するという想いで、
200人、300人の宴席であろうと、お客様がレストランで召し上がっている雰囲気を出せるように
料理の提供には工夫をしています。
調理・盛り付けしたお料理を、お皿ごとオーブンに入れて温める『フィニッシィングシステム』という
最新の調理技術を使い、料理の出し方も工夫して、
唯一無二のことをしていると思っています。
いま、大阪の宴会で、温かい料理を一番熱い状態で料理を提供している自信があります!
インターンシップでも、宴席がある日はそういうのも見て、体感してもらうようにしています」
寺田様:
「ほんとに、お皿を触ったら『熱っっ!』となるほど、触れないくらいなんですよ~。
学生さん達も、そのすごさに絶対びっくりすると思います」
「1年目・2年目の若手社員の様子はいかがですか?辻調の卒業生もご縁をいただきましたが」
松森シェフ:
「新入社員は、最初はホテル全体の研修があって、2ヶ月目くらいにようやく調理場に配属になります。
それもあって、「やっと料理が出来る!」という期待とともに、ピシッと現場に来てくれていますよ」
寺田様:
「いま入社2年目で、コンテストに向けて頑張っている辻調の卒業生もいますよ。
先ほどキッチンで、大原さんに盛り付け作業の指導をしてくれていた福田さんです」
(調理師本科 西洋料理クラス卒業の福田さん)
松森シェフ:
「コンテストの練習はもちろん業務時間内でやりますし、
足りなければ自己研鑽として追加で申請できるシステムもあります。
シェフがついて指導することも多いですし、やみくもにやるのではなく、スケジュールを作って計画的にやります。
福田さんも、コンテストの経験を通じて、成長を感じてくれていると思います」
「コンテスト以外に、入社後の研修なども豊富なのでしょうか?」
松森シェフ:
「『シェフへの道カリキュラム』という取り組みがあり、
若手スタッフが段階を踏んで調理技術や知識、業務管理などを習得し、
9年間でシェフ・料理長を育成するプログラムを実施しています。
新人や中堅層にも、"若くてもホテルのシェフになれる"というのが目に見えるカリキュラムになっています。
カリキュラムも、従来のものから見直しをして、バージョンアップしています」
「ところで松森シェフは、辻調の学生時代にどのような学校生活を送っていらっしゃいましたか?」
松森シェフ:
「いや、遊びすぎて・・・ちょっと・・・ ここは ✂---カット---✂ でお願いします!(笑)」
寺田様:
「効率よく、勉強されていた・・・・ということですよね?(笑)」
松森シェフ:
「いや~・・・ 学生時代、もっと勉強しておけばよかったと、後悔している面もあるんです。
だからこそ、今の学生さんには、今しかできないこと、今だからこそ出来ることを、
たくさんやってほしいと思いますね。」
「では、具体的に、どのようなことを学生時代にしておけば良いとお考えですか?」
松森シェフ:
「例えば今回のようなインターンシップでは、『目的意識』をもって参加してほしいですね。
受け身の姿勢だと、空回りしてしまいます。
インターンシップを通じて何を身に付けたいかが明確だと、
より充実した研修になり、成長に繋がるはずです。
インターンシップ以外では、
料理の勉強をたくさんしておくというより、色々なものを見ておいてほしいですね。
時間があるうちに、美術館に行くとか、本を読むとか、若い時の感性で吸収してほしい。
料理の応用は就職したら吸収が出来る。
だからこそ、学校では基礎・基本をしっかり習得してきてほしいです。
そして、いっぱい遊んできてほしいですね!(笑)」
寺田様:
「学生当時の松森シェフのように、ですね・・・?(笑)」
と、最後は皆で笑いながらお話を終えました。
お忙しいなか貴重なお話をお聞かせくださり、ありがとうございました。
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また、インタビューの後、宴会のキッチンをご案内いただいた際に、
2024年入社で現在2年目の辻調(調理技術マネジメント学科)の卒業生の西山さんに会えました!
ちょうど大きな宴席の前で、慌ただしくお皿を運ぶなど準備をされていました。
西山さんは、3年前に大阪ステーションホテルと同じ(株)ジェイアール西日本ホテル開発が運営する
『ホテルグランヴィア京都』でのンターンシップに参加。
インターンシップの際、働く先輩たちの様子を見て、
「ホテルは大きな組織なので、ただ指示を受けたことを作業するのかと思っていたら、
シェフもメンバーの意見を聞いてくださったり、大事なことは話し合いながら決めたり、
"一緒につくりあげる姿勢"を見て、感動したんです。
インターンシップを通じて、ホテルに対する考え方がガラッと変わって、
僕もこの環境で働きたい!と思って応募し、内定をいただいて、今ここにいます」と話してくれました。
辻調の卒業生がこうして活躍してくれていることや、
インターンシップの経験が、自分の就労感を変える経験になったことも
教員として嬉しさを感じました。
なによりも、キッチンの中で辻調の卒業生がたくさん活躍していることにびっくり!!
同じ学校を卒業した先輩がたくさんいる職場は、とても心強いですね。
取材にご協力くださった大阪ステーションホテルの皆様、ありがとうございました。
ブログのつづき、【後編】では、大原さんのインターンシップの振り返りの様子をお届けします。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 専門講義科目グループ
小峰 幸恵
担当授業: 製菓衛生師本科・製菓技術マネジメント学科 『社会』
京都府出身
趣味は、パンづくりと、食べ歩きです。
今回取材させていただいた大阪ステーションホテルのレストラン『THE-MOMENT』には
実は昨年、教員の有志メンバーで食事に伺いました!
おいしい料理と絶景で、最高のひと時でした。
その時の写真を少しおすそ分け・・・ また行きたい・・・!
シャンパンで乾杯!
『神戸牛100%のハンバーグ フォワグラ添え トリュフのソース』
『骨付き牛ロース肉の炭火焼き』
※ワゴンサービスで30cmくらいの大きな骨付きのお肉から切り分けていただきました。

『舌ヒラメのデュグレレ風』
『オマール海老のラーメン』


