FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025 参加レポート:未来の食文化を創造する教育と連携の成果
2025年11月17日、東京・ザ・キャピトルホテル東急にて、
一般社団法人日本サステナブル・レストラン協会(SRAジャパン)主催の
「FOOD MADE GOOD Japan Awards 2025」が開催されました。
今年で第5回目を迎えるこのアワードは、国際的な基準に基づき、
外食産業における持続可能な取り組みを評価・奨励するものです。
辻調理師専門学校は、日本の食文化の未来を担う人材育成を使命とする教育機関として、この貴重な場に参加しました。
そこには、食のプロフェッショナルを目指す学生たちにとって、学びと刺激に満ちた瞬間がありました。
1. 次世代の才能が躍動!「未来のレシピコンテスト 2025」
アワードセレモニーに先立ち、30歳以下の若手料理人や学生を対象とした
「FOOD MADE GOOD 未来のレシピコンテスト 2025」の表彰式が行われました。
辻調理師専門学校は協力団体として学生の挑戦を後押しし、その成果を誇りに思います。
今年のテーマは、気候変動や食料問題に対応するため、肉の消費量を見直し、
植物性食材の比率を高める「プラントベース/ベターミート」。
このテーマに沿って、全国から集まった作品は、
どれも創意工夫とサステナビリティへの深い理解に満ちていました。
① 鴨田陵平さん、ファイナリストに選出!
本校から参加した鴨田陵平さん(調理師本科)が、見事10名のファイナリストに選ばれました!
作品名は「マーボーどんぶり」。
「毎日肉を食べている人でも食べたくなるパンチのあるプラントベース料理」を目指し、
環境問題へのメッセージを皿の上で表現しました。
• 泉州特産の水なすを使用し、地産地消を推進
• 国産大豆100%+太陽光発電で栽培された高野豆腐を採用
• ぶなしめじは軸を再利用する循環型農業で生産
• 調味料も大阪府産を選び、輸送による環境負荷を軽減
随所に、食材選びから調理法までサステナビリティへのこだわりが光ります。
② 最優秀賞は一之瀬愛衣さん(株式会社SOLUNA)--エコール辻大阪卒業生!
最優秀賞に輝いたのは、株式会社SOLUNAの一之瀬愛衣さん。
何より誇らしいのは、彼女が辻調グループの「エコール 辻 大阪」の卒業生であることです!
作品名は「歴史と自然の循環。そして芽吹」。
厚揚げを主役に、精進料理の「見立て」を再構築し、野菜の皮や葉、きのこの軸まで使い切り、
おからをパウダー化して廃棄ゼロを目指すという徹底した取り組みが評価されました。
さらに、一之瀬さんは最優秀賞+審査員特別賞4名分という快挙を達成。
受賞コメントでは「サステナブルな取り組みは特別なことではなく、日々の積み重ねの中にある」と語り、
その言葉は私たち教育者にとっても大きな示唆となりました。
辻調グループで学んだ基礎と精神が、こうした世界に誇れる成果につながっていることは、
私たちにとって大きな喜びです。
2. 地域連携の成果:「BESTリサイクル賞」ファイナリスト選出
特別賞の一つ「BESTリサイクル賞」は、全国牛乳容器環境協議会との共催で、
業務用紙パックのリサイクル率向上を目指す「紙パック50プロジェクト」に参加した店舗・エリアを表彰するものです。
今回、当校が活動拠点とする大阪・阿倍野エリアがファイナリストに選出されました。
飲食店での紙パックの洗浄・開封・乾燥・回収ルートの確保という地道な取り組みが評価され、
当校もその一翼を担ったことは大きな誇りです。
3. アワード総括:衝突を乗り越え、より良い未来へ
今回のアワードでは、調達・社会・環境の三本柱に基づく部門賞や大賞が発表され、
大賞には「L'Effervescence」様が選ばれました。
未来のレシピコンテストの審査員でもある、L'Effervescenceの生江シェフは
「サステナビリティと美食は時に衝突する。しかし、その制約こそが創意工夫を生む」と語り、
この言葉は教育現場においても深い意味を持ちます。
また、SRAジャパン代表理事・下田屋毅様は「点だった取り組みが面となり、全国に広がり始めている」と総括。
地方との連携を楽しみながら進める重要性を強調されました。
私たち辻調理師専門学校は、このアワードを通じて、美味しさの追求と同時に、
地球環境や社会に配慮した『食の循環』を理解し実践する力を育むことの重要性を再確認しました。
未来の食の課題は複雑ですが、情熱と創意工夫で挑む人材を育てるため、これからも邁進してまいります。
~プロフィール~
辻調理師専門学校 専門講義科目グループ
東 庸介(あずま ようすけ)
調理「食生活と健康」、「食と環境ワークショップ」 製菓「公衆衛生学」を担当。
高度調理技術マネジメント学科2年生の担任や
SDGsに食から貢献することを目的とした学生サークルSSPの顧問をしています。
▶ 管理栄養士
▶ SDGs for School認定エデュケーター
▶ Microsoft Innovative Educator Expert 2025-2026
▶ 和食文化継承リーダー(農林水産省認定)


