教材課から ~季節の食材と現場の工夫~
みなさんこんにちは!教材課です。
今回は、授業で使用している食材の中から、季節のものや教材課ならではの
知識とこだわりをいくつかまとめてご紹介します。
学生のみなさんが使う食材を、どのように選び、どのように扱っているのか?
普段なかなか見えない裏側を覗いてみてください!
◆実習に欠かせない!加工向きリンゴ『紅玉』
リンゴは国内外合わせて100品種以上あると言われ、香り・甘味・酸味・果肉の硬さ・色など、
品種によって個性はさまざまです。本校では、生食向き・加工向きに分けて使用しています。
その中でも代表的な加工用リンゴが 『紅玉』!
濃い赤色の果皮、しっかりとした果肉、そして強い酸味が特徴で、
パイ・タルトなどの焼菓子や、ジャム・シロップ煮などに最適です。
『紅玉』はアメリカ原産の古い品種で、『ジョナゴールド』や『シナノゴールド』など、
紅玉を親にもつ近縁の品種も多くあります。
紅玉が手に入りにくいときは、これらの近い品種が代わりに使われることもあります。
◆洋菓子には欠かせないフルーツ ブルーベリー
ブルーベリーは、フランボワーズと並び洋菓子実習で頻繁に使用される食材です。
現在、校内に入荷しているものはほぼ輸入品で、季節により、
・アメリカ産(夏~秋)
・チリ産(9~10月)
と産地が変わります。
ブルーベリーはケーキの飾りとして"そのまま使う"ことが多いため、
納品後はまずパックの中身をしっかり確認します。
透明パックなので底まで見えるのですが、この"底"の部分に潰れた粒が残っていることが意外と多いのです。
潰れやすい果実なので、破損やカビがあれば交換対象として仕分けていきます。
実習で使う以上、ひとつでも状態の悪いものがあると、仕上がりの美しさに影響してしまうからです。
また、用途に合わせて粒のサイズも重要で、特にケーキや小さなタルトに飾る場合は
「粒の小さいブルーベリー」を指定して発注しています。
大きすぎると飾りとしてのバランスが崩れるので、小粒の方が見栄えもよく、繊細なお菓子にはぴったりです!
◆緑と赤のピーマン 色の違いは熟度の違い
本校で使用しているピーマンは緑ピーマンと赤ピーマン。
実はどちらも同じ品種で、緑は "未熟"、赤は "完熟" の状態です。
赤ピーマンの方が甘味が強いですが、完熟までの日数がかかるため流通量は少なめです。

ピーマンは一年を通して比較的安定して入荷する食材ですが、今年の11月中旬~後半にかけては
天候不順の影響で、赤ピーマンの入荷量が大きく減り、良い状態のものが手に入りにくい時期がありました。
こういった"想定外の供給不足"が起きたとき、教材課ではすぐに代わりに使用できる食材を検討します。
授業の担当者と協議し、今回のケースでは、緑色のピーマンを代替品として使用することになりました。
こうした状況ではできるだけ早く判断し、スムーズに代替品を手配することも教材課の重要な役割です。
学生が安心して実習に集中できるよう、バックヤードでは日々このような調整が行われています!
◆市場の知恵 「赤ちゃんバナナ」?
教材課には、本だけでは得られない"現場の知恵"もたくさんあります。
そのひとつが、市場の青果担当者の方から教わったバナナの扱い方。
「バナナは赤ちゃんを抱っこするように持つ」!
バナナの大切な果実部分をやさしく包むように持つことで、傷みにくくなり、房の本数確認もしやすくなります。
逆に、ヘタを持って扱うと重みで境目に圧力がかかり、黒く変色し劣化が早まります。
置くときは、ヘタと先端の固い部分を下にした "うつ伏せ" ポジションが基本!
ヘタを上にすると重みで果肉が潰れ、傷みが進むためです。
こうした知識は先輩から後輩へ受け継がれ、日々の授業で最高の食材を提供するための
大切なノウハウとなっています。
◆クリスマスケーキを彩る苺の話
クリスマスシーズンになると、お菓子店のショーケースには華やかなケーキが並びます。
日本で定番といえばやはり「デコレーションタイプのクリスマスケーキ」。
その主役となるのが 真っ赤な苺 です!
最近では、「あまおう」「紅ほっぺ」「とちおとめ」「さちのか」「さがほまれ」などが
5大品種として知られています。
本校では現在、徳島県産『紅ほっぺ』、愛知県産『愛きらり』を中心に仕入れています。
実は苺の本来の旬は3~4月ですが、ハウス栽培の技術向上や品種改良により、
12~2月が市場の最盛期となりました。
最近では夏場に見かける苺「夏イチゴ」も、国産の品種が増えてきましたね。
学生たちが作るクリスマスケーキにも、こうした特徴の異なる苺を用途に合わせて使用しています。
ちなみに、プレートに書かれている "Joyeux Noël" はフランス語で「メリークリスマス」という意味です。
仕上がりを見ると、思わず食べたくなりますね!
いかがでしたか?
季節の食材は、それぞれに個性があり、扱い方も違います。
教材課では、日々の経験や市場の知恵をもとに、学生のみなさんが最高の状態で食材を使えるよう、
これからもサポートしていきます!
辻調理師専門学校 教材課


