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フランス校近郊の町‐Trévouxトレヴー‐

フランス校日記

2020.11.18

Bonjour, フランス校教務部です。
フランスと聞いて、ほとんどの人が真っ先に思い浮かべる町と言えば、パリではないでしょうか。
でも、フランスの本当の魅力は地方にあると言われるように、フランスには、有名ではないものの、様々な魅力に溢れた町や村が沢山あります。
そして、それはフランス校のある地域でも例外ではありません。
そこで、フランス校日記では、今回と次回の2回に渡り、フランス校近郊の魅力的な町をご紹介したいと思います。
今回取り上げるのは、エスコフィエ校のあるReyrieuxレイリューの隣町、Trévouxトレヴー。
取材日は10月29日です。

ソーヌ川から見たトレヴーの町。


トレヴーからソーヌ川上流を望む。遠くにはボジョレーの丘が見える。

フランス北東部のヴォージュ山脈に源を発するソーヌ川が、ローヌ川と合流するリヨンから、20キロ程上流に遡ったソーヌ川左岸の高台にトレヴーはあります。
トレヴーを境にソーヌ川が大きく蛇行しているため、トレヴーからはソーヌ川の上流と下流を一望することができます。
この特殊な地理的条件もあって、1402年から、最終的にフランス王国に編入される1762年の360年に渡って、トレヴーは、ドンブ公国の首都として繁栄しました。


旧市街入口にあるネオ・ロマン様式の教会。19世紀末建立。


旧市街入口。右の石畳の道を進むと旧市街に、左の道を下るとソーヌ川に至る。

ドンブ公国に属し、フランス王国と境を接するトレヴーでは、フランス王国の法律や検閲の目が届かず自由に活動することができたため、17世紀から18世紀にかけて、リヨンやパリから書籍商や印刷業者などの知識人が多く集まりました。
最盛期にはトレヴーでは3つの印刷所が稼働し、ここからフランス18世紀を代表する辞典の一つとして知られる『トレヴー辞典』が生まれることになります。


旧市街の時計塔。17世紀の文献に記載のある歴史的建造物。


ソーヌ川に至る階段のある大通りには、多くのアーティストがアトリエを構えている。

また、当時、絹織物の町として栄えていたリヨンの織物工場で使用される金と銀の線材が、線引きを行う機械に税金がかからないトレヴーで生産されていたこともあり、19世紀まではトレヴーがダイス鉄板(線引きに使用する型)製造の世界的中心であったということです。
現在、人口8000人に満たない小さな町であるトレヴーに、このような歴史的背景があることに驚きを隠せませんが、今でもその面影は、旧市街の歴史的建造物から感じ取ることができます。
また、現在でも貴金属を加工して作品を制作するアーティストが多く活躍していること、映画館、音楽学校、メディアテークなどが入る複合文化施設LA PASSERELLEラ・パスレルがあること、物作りやアート関連のイベントが多く開催されることなどから、トレヴーが、かつてのドンブ公国の首都としての経済的、文化的繁栄を過去のものとせず、現在から未来へと繋ごうとする意志が看取されます。


ソーヌ川沿いの並木道。遊歩道や設備の整った公園もあり快適。


複合文化施設「ラ・パスレル」。


フランス校生がよく利用するトレヴーのスーパーマーケット。

トレヴーまでは、エスコフィエ校から約3キロ。
バスも走っていますが、徒歩でも十分行ける距離なので、天気の良い休日などには、散歩に出かけるエスコフィエ校生をよく見かけます。
小さな町なので、旧所名跡を丁寧に巡っても1時間半ほどしか要しませんが、せっかくなのでソーヌ川沿いの遊歩道を散策したり、公園でピクニックをしてゆっくり過ごすのも良いかもしれませんね。