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辻調グループ フランス校

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David Toutain(ダヴィッド・トゥタン)

フランス校 食べ歩き日記

2019.06.18

こんにちは、
今回はパリの7区にあるミシュランガイド二ツ星レストラン「ダヴィッド・トゥタン」をご紹介します。

パリ7区といえば、エッフェル塔からサン・ジェルマン・デ・プレにかけてのブルジョア地区。「私、7区に住んでいるの」と言えば、フランス人の間でも羨望ともやっかみともつかぬ視線で見られるというもの。念入りに身だしなみを整えたマダムや、そしてベビーシッターに付き添われた小綺麗なこどもたち、時には、普段着姿の芸能人にすれ違う地区。それだけに、おいしいもの屋さんや、趣味の良いブティックがたくさんあります。
そんな中にある二ツ星のレストランと言うとどのようなお店を想像されますか。
高級で敷居が高いイメージでしょうか。
この「ダヴィッド・トゥタン」は実にカジュアルなレストランです。
お客さんのほとんどがラフなスタイルで、お洒落をして身だしなみを整えてなどというスタイルのレストランではありません。

レストラン名の「ダヴィッド・トゥタン」とはシェフの名前で1981年生まれ。38歳という若さですが、20代の頃から才能のある料理人として注目されてきました。
20歳で「アルページュ」という三ツ星レストランに見習いとして働きだした彼は、シェフであるアラン・パッサールに見いだされこれまで育てたどの愛弟子よりもトゥタンは群を抜いて素晴らしいと評価され、すぐにセカンドシェフに抜擢されたとういう逸話も残っているくらいです。
その後、ピエール・ガニエールやマーク・ヴェラなどで経験を積みました。
トゥタンの料理のコンセプトは、「すべての味わいは、自然に宿る」です。
ノルマンディーの海と野が豊かな大自然で育ち、そんな自然を愛する心がクリエーションの礎にあるのでしょう。
レストランの内装にもそんな彼のエスプリが感じられます。天然木の一枚板のテーブルや灰色がかったブルーの無機質なテーブル、壁には木片が一面に貼り付けられています。




お店のメニューにア・ラ・カルトはなく、お昼は4つのコース料理から選ぶことが出来ます。

Reine des Prés(西洋夏雪草)と名付けられたコースは170ユーロ、他には130ユーロ、90ユーロ、70ユーロのコースが用意されています。
値段だけしか書かれていないので何が出てくるのかも、何品出てくるのかも分かりません。
私は今回、170ユーロのコースをお願いしました。さて、何が出てくるのかワクワク期待が高まります。
全ての料理は紹介できないので何品かに絞ってご紹介させていただきます。

手前のドーム状の物はパースニップとホワイトチョコレート混ぜ込んだクリームでこれを付けて食べます。
え、何を食べるのか?
奥の木の枝たちの中に1つだけ西洋ゴボウのローストがあるのです。これを指で摘まんでクリームにたっぷりと付けて頂きます。
西洋ゴボウの外側は少し乾いていますが中はねっとりと柔らかく実に甘い、ゴボウの定義が覆されます。まさに焼き芋の様な食感と甘さです。
下の写真が西洋ゴボウです。


貝とアーモンドミルクと仏語で「アイユ・デ・ウルスAil des ours」"熊のニンニク"という意味の名前で、日本でいえば行者ニンニクのようなものを合わせた料理です。
器の底にはアーモンドミルクと卵を混ぜ合わせて火を通したロワイヤル、その上に2種類の貝で日本のアサリのようなコックとマテ貝です。これをさっと瞬間的に火を通して、内臓部などはすべて取り除かれて全く臭みがありません。

アイユ・デ・ウルスはパン粉と混ぜ合わせて食感を出しています。
サリコルヌという海岸とか塩田のそばに生える草の若芽や香草で更に料理に奥行きを広げています。
下の写真がアイユ・デ・ウルスです。


鱈とアスパラガスとサパン(モミの木)を合わせた料理
鱈はようやく火が通ったくらいでしっとりと柔らかく仕上げてあります。
素材に対する火入れが見事です。
フランスでは今が旬のアスパラガス、旬の物は甘みが強くて苦みが全くありません。歯ごたえが少し残るくらいに炭火で火を通しているようです。その上にベーコンの乾燥とパン粉を合わせた物や野にある香草類をのせて食べ進めるごとに食感と味に変化が楽しめます。
モミの木を漬け込んだ自家製油で作ったサバイヨンソースが添えられています。
下の写真がフランス産のアスパラガスです。ホワイトアスパラとグリーンアスパラです。


鰻と黒ゴマのソース
鰻は日本ほど一般的ではありませんがフランスでも食べられている食材です。この鰻は燻製にされています。中にはグラニースミスの小さな角切りが添えられていて爽やかさと食感を与えています。
黒ゴマのソースはゴマのペーストを出し汁で溶き伸ばしているため、見た目と違ってほのかにゴマが香る程度に仕上げられています。

最後にデザートを1品ご紹介いたします。
ベットラーブ(甜菜、サトウダイコンと同じ野菜ですが、砂糖を作るのと品種は違うようです。でもこの野菜も火を通すととっても甘いです)とアマランサスの葉を合わせたデザートです。フランスでは非常によくこのベットラーブを食べます。生でサラダにする事もありますが、しっかりと火を通してから食べられることの方が多いです。
このビーツのアイスとしっかりと火を入れてスライスになったものをチョコレートソースと合わせています。そして上にアマランサスの葉を添えています。
下の写真がベットラーブです。

結局このコースは料理が10品とデザートが3品出てきました。
どの料理とデザートにもトゥタンのエスプリがしっかりと感じられました。主材料を引き立てるソースと付け合わせ、そして奥行きを広げる香草やエピスがふんだんに使われており固定観念にとらわれない自由な発想と自然から学び取りそこから命を頂いて皿に表現する真摯な姿勢が大変勉強になりました。

皆様も気軽なスタイルでこちらのレストランで素敵なお食事を楽しまれてはいかがでしょうか。

Restaurant David Toutain/レストラン ダヴィッド・トゥタン
29 rue Surcouf 75007 Paris
Tel 01.45.50.11.10
Restaurant David Toutain Official Site