OSAKA

辻調理師専門学校 (製菓)

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2024年4月、辻製菓専門学校と辻調理師専門学校は
1つの学校として生まれ変わります。

お菓子にも必要な栄養学

製菓技術マネジメント学科
製菓衛生師本科

2023.02.09

辻製菓専門学校では、お菓子やパンの実習や理論の授業以外にも様々な講義科目の授業があります。
今回はそのうち、1年生の栄養学の授業の様子をお届けします~

栄養学では、栄養素の種類や働き、生活習慣病、ライフステージの栄養、食物アレルギーなど
様々な栄養に関わる授業を行っています。
本年度の授業も残りあと少しとなった29回目の授業テーマは「アルコール」。

お菓子には、香り付けなどの目的でお酒(アルコール)を使用することがあります。
製菓学校でも実習や理論の授業でいろんなお酒を使用しています。
例えばこんなお酒。


左からキルシュ、ラム酒、コアントロー、洋ナシのブランデー、グランマルニエ


カヌレ(ラム酒使用)


シュー・ア・ラ・クレーム (グラン・マルニエ使用)

さて、アルコールを含むお菓子を食べると、アルコールは体の中でどうなるのでしょうか。
まずは、アルコールがどのように体の中で吸収・分解されていくか、
先生の話を聞きながら、プリントに書き込んでいきます。



アルコールの分解途中にできるアセトアルデヒド。
これは毒性があり体内に残ると二日酔いの原因になります。
このアセトアルデヒドを分解するには、酵素(こうそ)が必要になります。
この酵素の働きの強さには個人差があります。
お酒を飲んだ時に強い人もいれば、弱い人もいたり、まったく飲めない人もいるのは、
この酵素の働きの強さが関わっています。

1年生はまだお酒を飲んだことがない学生がほとんど。
自分はお酒に対してどのタイプか、気になるところ・・・
酵素の働きの強さを確認できるアルコールパッチテストをみんなで行ってみました。

先生の指示に従って、絆創膏(ばんそうこう)にアルコールを滴下し、腕に貼ってテスト開始。
自分はどのタイプかみんなドキドキ~



シールを貼ってから7分後とそこからさらに10分後に皮膚の状態を確認します。

・アルコールパッチテストで赤くならなかった人
アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが強い、アルコールに強いタイプの人です。
ただし、適量を超えて飲み過ぎてしまうと、病気の原因になるなど体に悪い影響があります。
おいしくお酒を楽しむためにも適量を守ることが大切ですね。

・7分後に赤くなった人
アセトアルデヒドを分解する酵素を持っていない、働きがとても弱い人です。
アルコールを摂ることができないタイプのため、無理に飲むのは危険です!

・7分後は変化がなく、その10分後に赤くなった人
アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い、アルコールに弱いタイプの人です。
二日酔いになりやすいので要注意です!

クラスの中でも全く赤くならなかった人、7分後、10分後に赤くなった人と分かれました。
赤くなった人はこんな感じです。



アルコールを摂ることができないタイプの人以外にも、子どもや妊娠期・授乳期の女性については、
アルコールを摂ると子どもや胎児の成長に悪い影響があるため、アルコールを摂ってはいけません。

そして、お菓子を作る立場として忘れてはいけないのが、お菓子にも含まれている場合があるということです。
...ということは、どんなことに気を付けないといけないでしょうか?

アルコールを摂ることができないタイプの人は、
お菓子に含まれるほんの少しのアルコールに対しても体調が悪くなることがあります。

アルコールが入っているかどうか、お菓子の見た目などではわからない場合が多いので、
アルコールを含むお菓子を提供するときは、食品表示や売り場のパネルなどに
アルコールを含むことを書いておくと、お客さんは確認しながら商品を選ぶことができていいですよね。
また、店頭での商品説明のときに「この商品には○○というお酒を使用しています」
ということを伝えることができるように、商品にどんな材料が使用されているか把握しておくことも大切ですね。


シャルロット・オ・ポワール (洋ナシのブランデー使用)

さて、いかがでしたか。
栄養学ではその他、試食やワークを行う授業なども行っています。
30回目最後の授業は、「食物アレルギーとお菓子作り」について、試食もしながら学習します。

おいしいお菓子やパンを作ることはもちろんですが、健康にも配慮できるように、
栄養学の知識を身につけた素敵な製菓衛生師さんになって欲しいなと願う栄養学担当でした。

~プロフィール~
辻製菓専門学校 教務課
酒井 芙弥子 

担当授業
辻製菓専門学校:「栄養学」「製菓衛生師教養演習」
辻調理師専門学校:「食品と栄養」

日課は、家で育てているアボカドとコーヒーの木のお世話
いつか実がなる日を願いつつ...