毎日新聞「美食地質学」第22講 九州の麦文化 筑紫平野
2025年1月7日(火)刊行の『毎日新聞・夕刊』に、「美食地質学」が掲載されました。
「美食地質学」は、食通のマグマ学者・巽好幸先生(ジオリブ研究所所長)と、辻調理師専門学校の教員が、地質学と美食の関係をテーマに、それにまつわるお料理とお酒を楽しみながら対談をおこない、理解を深めていくという企画です。
第22講のテーマは「九州の麦文化 筑紫平野」。
九州の筑紫平野といえば、米と麦の二毛作。学校で習ったなぁ...と遠い記憶を思い出しながら。
改めて、なぜ筑紫平野で二毛作がおこなわれているのでしょう。
今回の対談では、その背景にある理由が、より深く掘り下げられました。
>毎日新聞「美食地質学」第22講 九州の麦文化 筑紫平野
https://mainichi.jp/articles/20250107/dde/012/070/002000c(閲覧には会員登録が必要です)
新年の対談は、辻調理師専門学校の日本料理・安場昌子先生が担当しました。
米も穫れる土地で、どうして小麦も育てるようになったのか、その歴史を語っています。
巽先生と安場先生
全国2位の小麦生産量を誇る福岡県に居を構える大陽製粉株式会社にご協力いただき、筑後平野産の薄力粉(寿鹿〈すずか〉)と、強力粉(ラー麦 一番)を使用。
うるち米は、佐賀県が開発したさがびよりを用いています。
お酒については、佐賀県小城市にある天山酒造の「七田」麦焼酎(佐賀県産二条大麦を使用)と、「七田」純米酒(七割五分磨き 山田錦 扁平精米)という2段構えです。
今回は、とことん麦&米。
九州の小麦の料理といえば、日本料理で考えると生地を作ってうどんにしたり、汁物にしたり、鍋にしたり...と思うところですが、
今回はあえて中国料理の点心で、生地のバリエーションの妙を見せる仕立てにしました。
生地もたくさん、調理法もいろいろ、味も食感もさまざま。
圧巻の16品。
中国では「北麺南飯」といって、北は小麦粉を使った料理が多く、南は米を使った料理が多いといわれています。
今回作った一部を紹介しましょう。まずはラム酒入り満州風おこし。薩其馬(サーチーマ)です。
米や粟で作るのが日本のおこしですが、サーチーマは小麦。
強力粉の生地を作ってパスタ麺のように成形して、揚げて、飴がけして...?!食感はしっとりむっちり。
次も小麦の料理。山東風パオズです。餡の味つけが抜群。調味料の配合の妙ですね。
このフォルム! 点心は見た目も大事。
米を使った点心です。こちらは栗と豚肉入りちまき。
本来はもち米で作りますが、今回はテーマに合わせて、あえてうるち米でチャレンジ。ホロホロっとして、これはこれで美味しい!
(中身をお見せするつもりが、撮る前に食べてしまったので、葉を開く前の写真でご容赦を)
米は米でも、長粒米を使って作った生地です。帆立を包んだライスクレープ蒸し。
食感と風味が独特で、これは日本ではなかなか見られない一品ですね。
本当は4品だけの予定でしたが、お酒もどんどん進み、最後まで召し上がっていただきました。
点心を手掛けた担当は、中国料理の杉本亜紗美先生です。
サポートは行方玲実先生がつとめてくれました。ありがとうございます!
杉本亜紗美先生
行方玲実先生
中国料理班のバックアッパーが続々と。
中国から影響を受けた日本の粉食について語りつつ。
語り尽くせていないので、また粉食については別途機会を設けたいという話に。
今年の美食地質学も、学びアリ、良い意味での遊びアリで進めていきたいですね。
こちらの内容は、毎日新聞のデジタル版でもご覧いただけるので、ぜひお目通しください。
次回の『美食地質学』は、2月4日(火)掲載予定です。お楽しみに。