OSAKA

辻調理師専門学校

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「ミシュラン1ッ星店から天ぷらを学びます!」~日本料理だけを学ぶ「新学科」ブログ14~

日本料理クリエイティブ経営学科
日本料理本科

2021.10.05

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4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエィティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の新学科として開校しました。

今日は個人実習という授業の中から「天ぷら」について覗いてみましょう。

この学科では特に「天ぷら」にこだわっています。
*1回180分の実習を1年間で13回行います!

先生!なぜこの学科は天ぷらの実習が多いのですか?
日本料理には天ぷらの他に「から揚げ、変わり揚げ」などがありますが、一番難しいのは、「天ぷら」です!
天ぷら衣の合わせ方、揚げ油の温度、揚がり加減の見極めがポイントですが頭で覚えるだけでなく「感覚」がとても重要なのです。
まずは正しい方法、見極め方を覚えてから繰り返し練習することが近道となります。

天ぷらが上手に揚げられるようになれば、
練習しなくてもから揚げ、変わり揚げのポイントも理解でき簡単に揚げられるということです!
そうか!一石二鳥やね!
ところで変わり揚げとは何ですか?
その質問待っていました(笑)天ぷら衣はイメージできるよね。
では天ぷら衣の代わりに海苔を巻いたり、砕いたコンフレーク、せんべいなどをつけて揚げた揚げ物の事です。


今日は外来講師「天婦羅 ひらいし」ご主人の平石先生をお招きしての授業です。
平石先生は辻調理師専門学校の卒業生です。卒業後は大阪の料亭で16年間修業後、独立!
ミシュランガイド大阪版では13年連続で一つ星を獲得されています。


今日は海老、イカ、レンコン、かき揚げの4品を練習します。うまそ~(笑)


9時10分、授業開始!まずは平石先生が「プロの天ぷら」の作り方を披露。
天ぷら衣の合わせ方からです。「天ぷら衣は粘りを出さないことがポイントです。」
「小麦粉は使う寸前にふるいにかける!こうすることで湿気を飛ばすことができます。」


「衣を混ぜる回数が少ないほど粘りは出にくい!そのために太い箸を使います。」


「ほら!衣は意外とさらっとしていますよ。ここで粘りを出したらあかん。」



次は海老!まっすぐ揚げるための下準備です。腹側に5カ所ほど切込みを入れて背側から押さえて筋を切ります。
これをしっかりやらないと海老の背中が丸まるよ!


天ぷらには身厚なイカを選ぶこと!中が半生状態に揚がればベスト!柔らかい食感となります。


これは「加賀レンコン」と言って石川県の誇る「加賀・能登野菜」の一つです。
特徴であるモッチリとした食感が天ぷらには最高。値段は高いぞ!それにしても分厚い。


では海老から揚げていきます。180℃の油の中にジュワ~っと衣が散ります。
この瞬間、海老はピンとまっすぐに揚がっていますよ。


学生は平石先生のプロの技に釘付けです!心の中で「すげ~」と言っています。(笑)


油に落として最初は写真のように海老がわからないほど「グジュグジュ」と細かく泡立っていますが、
仕上がる前にはこの泡立ちが穏やかになり海老の姿がはっきりと見えるようになります。
これも油から引き上げるタイミングの見極め方の一つです。


海老の天ぷらが揚がりました。
ここで学生からの質問です。「先生なぜ?こんなに衣が薄いのですか」いい質問ですね。
店では1人前12種類ほどの天ぷらが提供されます。天ぷら衣が厚いと途中で胸やけします。
衣を薄くすることで最後まで胸焼けすることなく、おいしく食べていただけるのです。
逆に天丼の場合はたっぷりのご飯と一緒に食べるので衣は厚くした方がおいしいぞ!
「先生納得しました!」


「ただ海老に火を通すだけでダメ!半分に切ると中は少し透明感があるくらいがベスト」
「ほら!ここ見てみ」ホ~こんな感じか。


次はかき揚げです。小エビ、人参、玉葱、三つ葉を混ぜて小麦粉をまぶします。


そこへ天ぷら衣を加えて混ぜる。「衣は多すぎず、少なすぎず、この程度で合わせて!」


そしてかき揚げを形よく揚げるコツは鍋の端から「静かに落とす感じで入れます」
すぐにジュワ~っと衣が散りますが丸い形に仕上げるのがプロの技です!


平石先生の説明の中にはポイントがたくさんありました!学生はしっかりメモします。


ではこれから実習に入ります!まずは食材の仕込みをします。
海老はまっすぐ揚がるように切込み~筋切りを正確に行います。


海老の下準備ができました。すべてまっすぐ揚げることが目標です!


かき揚げの人参は棒状に切る。テーブルの上も整理されていて見ていて気持ちいいですね。
常に周囲をきれいに保ちながら仕事をするのも大事なことです。いいぞ!


食材の準備も完了、天ぷら衣を合わせて揚げていきます。
先生!ボクの衣見てください。これでいいですか?「少し薄いね。粉を足そう」


先生、油の温度はこれでいいですか。
「よし!衣を数滴落とすと...ほら、鍋底まで落ちずに、すぐ揚がってくる
「ジュワ~ジュワ~」今180℃くらいだよ。この感覚をおぼえといて。」


先生、私はどうですか?
「少し温度が低いね!衣を油に落とすとなかなか浮き上がってこないよね。160℃くらいかな。火力をアップ!」


ジュ~いい感じで揚がっています。平石先生も横眼でチラッ!いいぞ。


海老もまっすぐ揚がっています。色も薄いきつね色でいいですね。


こちらも海老はまっすぐきつね色に揚がっています。もうそろそろ引き上げようか!


実習が始まり60分経過、何度も何度も揚げることで学生もコツがわかってきます。
「サクッ!」とした仕上がりです!


先生!海老が丸くなります。助けてください!
「原因は筋切りが不十分!もっと伸ばせば解決できる」ハイ!わかりました。


平石先生のアドバイス後は御覧の通り海老がピンとまっすぐな仕上がりとなりました。


先生!海老の引き上げるタイミングを教えてください!
まず箸で海老を挟むと張りがあること、そして「油から引き上げてくれ~と」海老の声が聞こえてくる!
・・・先生ボクには聞こえませんが(笑)


天ぷらは揚げたてを食べなければ評価できません。
学生は自分で揚げたものをその場ですぐに試食して、良い点と改善すべき点を探ります。
「サクッと感がたりないなぁ。次は衣を少し薄くしてみるか!」


海老、イカ、レンコンも改善点を克服しながら揚げた後は「かき揚げ」です。
平石先生から学んだコツは「天ぷら衣を材料に絡めた後、できるだけ衣を落としてから揚げる」でした。
忠実にしっかりと衣を落とそう!


そしてもう一つのコツは鍋の端から静かにかき揚げを入れて箸で丸くなるように整えるでしたね。
オッ!なかなかいい形で揚がっていますね。


揚げ加減も上出来「サクッ」と音がしそう! これは塩味で食べたい(笑)


180分を使っての個人実習、学生は今日初めて天ぷらを揚げましたが、
それぞれできた点、できていない点、次回の課題がはっきり分かったと思います。


最後は平石先生に不十分な点を質問して終了となりました。
「なんでも質問していいよ!」
天ぷらの事は勿論ですが他にもたくさん教えていただきました。
平石先生ありがとうございました。


~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエィティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。