OSAKA

辻調理師専門学校

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「数多くの魚をさばきます!」~日本料理だけを学ぶ「新学科」ブログ10~

日本料理クリエイティブ経営学科
日本料理本科

2021.08.06

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4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエィティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の新学科として開校しました。

日本料理に興味がある!日本料理を自分の仕事としたい!という人は世の中にはたくさんいます。
では具体的に日本料理の何に興味があり、何がしたいのかと質問すると
多数の人から「いろいろな魚を卸すことに興味がある」「魚をたくさん卸したい!」といった答えが返ってきます。

この学科では個人実習という授業の中で全員が数多くの「魚を卸す!」練習ができます。
体験するだけでなく「正しい手順できれいに卸せるようになります。」
ではどのような魚を卸すのか覗いてみましょう! 


入学して最初に体験するのは「アジ」です!一般的な魚なのでみんなも知っているよね。
最初に卸す魚がアジの理由は、まず安価であること、基本となるウロコ、内臓の取り方がわかりやすく体験できること。
そして三枚卸しにはいくつかの手法がありますが
基本となる「腹・背・背・腹」といった手順での卸し方が学びやすいからです。


個人実習は授業本番に備えて
学生は数日前から授業で卸す辻調オリジナルの「魚の卸し方動画」をスマートホン、パソコンで何度も観てきます。
動画には上手く卸すポイントが音声により解説されていますよ。
写真を見る、本を読むより動画ってわかりやすいよね!


授業本番では全員がまずはアジのウロコ、内臓を取り、頭を落とします。
動画を何度も観てきているので先生の説明なしでもスムーズにできますよ。


アジは身が柔らかい魚のため、流水が直接当たらないように腹を洗うことがポイントです。



卸し方は「腹側→背側→反対側の背側→腹側」の順番に包丁を入れていきます。
なぜ?「4回も向きを変えて卸すのですか」とよく質問されます。
答えはアジの身質が柔らかいため一方向から一気に!卸すと身が割れやすくなるのです。
この卸し方は理にかなっていますよ。


腹骨(人間の肋骨に当たります)を取り除くこともアジを教材に何度も練習します。


この大きな魚はサワラという魚です。
アジと同じように柔らかい身質のため、同様に「腹・背・背・腹」の手順で卸します! 
アジを教材に何度も全員が練習しているので、初めてサワラを卸してもきれいに卸せます! 
理由は注意すべきポイントが同じだからです。


アジと並行して「鯛の三枚卸し」も5月頃から全員が練習。
この回では、さしみに調理するため天然の鯛を使います!


アジも鯛もウロコ、内臓を取り、三枚卸しにしますがこの2尾は特徴が違うため同じようにはいきません。
鯛は身質がアジよりしっかりしているのでウロコも「ウロコ引き」という道具で力強く一気に取り除きます。
この調子でアジのウロコを引くと皮が破れて身割れしますよ。


三枚におろす際も身がしっかりしているので一方向から身を持ち上げながら一気に卸します。
アジはこの卸し方するとダメだよね×× 
アジ、鯛の三枚卸しを通じて身質に応じた水洗い(ウロコ、内臓を取ること)卸し方を学ぶのです。


次は夏を代表する白身魚「スズキ」です!これまでのアジ、鯛に比べるとサイズが大!


スズキは鯛よりも身質がしっかりしています。
そして身が大きな中骨からはがれやすいため包丁で切り離さなくても写真のように身をしっかりとにぎり、
バリバリバリっとはがせられるのです。
~鯛でやるとえらいこっちゃ (笑)


卸したスズキは皮を引く練習、そしてスズキの洗い(さしみ)とします。
皮の模様がきれいい!


変わった魚も卸します!
これは「鱧(ハモ)」と言ってこの鋭い歯からもわかるように超危険な海水魚です。
特徴は細長く今回の鱧は全長90㎝ってとこかな。
生命力が強く捕まえようとすると噛みついてきます。(怖)
しかし魚編に豊と書くほど、さしみ、焼く、煮る、揚げるなどおいしく食べる調理法は豊富な魚なのです。


特徴は鯛、スズキよりも身質がしっかりとした白身魚!そしてウロコがありません。
水洗いはまず皮についているヌメリをしっかり取り、生臭みを取ります。


これまで練習してきたアジ、鯛、スズキとは骨の構造が違うため
卸す前にしっかりと包丁を入れる角度をオリジナル動画「鱧の卸し方」を何度も観て予習してきます。
包丁の角度が理解できれば意外と簡単。ホラ!この通りスムーズに卸せます。


鱧を卸すのは全員初めて。しかしこのレベルで卸すことができました。初めてにしては上手です。


鱧は小骨が他の魚とは比較ができないほど多いのです! 
鱧の標本からもわかるように全身小骨だらけ。


そのため「骨切り」と言って
大きく重たい「骨切包丁」という鱧の骨を切るためだけの専用包丁で
身に細かく切り込みを入れて骨を切るのです。



骨切りするとこんな感じになります。身の下にある皮が見えるまで深く切り込みます。
ここまでやらないと骨が口に残ります。骨切りも十分練習しますよ。


この魚も特殊!穴子です。
穴子は死後、すぐに鮮度が落ち生臭くなるため、生きた穴子を使って練習します。
ヌルヌルと捕まえられないほど元気な穴子です。


鱧と同じく細長いのが特徴ですが穴子は鰻を卸す「うざき包丁」という特殊な包丁を使います!
そして動き回る穴子を固定するための「目打ち」という道具も使います。



包丁の持ち方もこれまでとは全く違います。
しかし事前に「穴子の卸し方」動画でポイント箇所は十分理解できているため初めてでも意外とスムーズです。


同日4尾卸しましたが、1尾目はだいたい手前の穴子のように穴が開きます。
包丁を深く入れ過ぎた証拠です。
感覚がわかってくれば向こう側の穴子のようにきれいに卸せます。


秋になれば「サンマ」も全員が練習します。特徴は細長くて身が柔らかい。


その特徴に応じて頭の付いていた方から包丁を中骨の上に沿わせて、腹側の身と背側の身の両方を一度に卸します。


この卸し方だと中骨に身が残りやすく「ぜいたく」だというところから「大名卸し」の名があります。
利点は魚の向きを変えたり、身を持ち上げたりしないので、身割れしにくく、手間も少ない。

いかがでしたか?
今回は魚を卸す授業について取り上げましたが
年間を通じてまだまだ魚を卸す授業がたくさんあります。
いろいろな魚がきれいに卸せるようになると楽しいぞ!
またブログで紹介しますね。


▶前回の日本料理新学科の記事はコチラ!

~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエィティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。