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辻調理師専門学校 調理

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「エッ!こんな酢じめの魚、食べたことないぞ!」 ~日本料理だけを学ぶ辻調 ブログ10~

日本料理クリエイティブ経営学科

2022.08.23

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昨年4月に日本料理本科(1年制)日本料理クリエイティブ経営学科(2年制)が
辻調理師専門学校の日本料理学科として開校しました。
この2つの学科では日本料理の会席料理を中心に学びます。

今日は日本料理クリエイティブ経営学科2年生の授業を紹介します。
科目名は日本料理理論Ⅱ「食材の活用とその検証」です。

まず、彼らは昨年1年生時に多種多数の魚を卸し、料理に使ってきました。

料理の中には「酢じめ」という手法があります。
簡単に言えば卸した魚の表面にべたべたとたっぷり塩をまぶして、余分な水分を抜く!
その際、魚特有の生臭みが抜け身も締まり適度に塩味を持ちます。
その後「酢」に漬けることで身に酢の成分が染み込み酸味が付き、同時に塩味も和らげてくれるのです。
「しめ鯖」を想像してください。あれです!


酢じめにするとき使う酢は一般的には米酢を水で割る(これを専門用語で割酢という)ことが多く、
学生もこれまでの授業では米酢を水で割ったものに漬けてきました。
では水以外の液体で酢を割ったらどうなるのだろうか?
味、食感は変わるのだろうか?
これまで学生は勿論、プロの料理人でもあまり考えてこなかったことかもしれません。
ということで今日は4種類の割酢に鯵を漬けてそれぞれどのように活用ができるかの検証を行います。


検証が目的のため使う魚は「鯵」で統一します。
鯖、鰯同様に背の青い魚と呼ばれますがいずれも「酢じめ」にすることが多い魚です。
理由はもともとクセの強い味(血生臭い)、
適度に脂があるので酢に漬けてさっぱりとした味にするのです。


では180分間の授業スタート!まずは鯵の水洗い。
オッ!しっかりウロコが残っているね。鮮度が良い証拠です。
鮮度の悪い鯵は入荷した際にすでにウロコが自然に落ちています。



魚を卸す所作はもうプロです。鯵の鮮度は卸した身を見ればわかります。✌


鯵、全体に塩をしっかりまぶす!これを専門用語で「べた塩」わかりやすい(笑)
このまま20分おき、余分な水分を抜くのです。


今日使う割酢4種類、まずは「アサリ」です。アサリには「コハク酸」といううま味成分がたくさん含まれています。
アサリの味噌汁を想像してみてください。
独特な香りと味がありますようね。


砂出ししたアサリは水と共に火にかけ、グツグツと沸騰させ口がパカッと開けば完了。
だしは白く濁れば濁るほどコハク酸がたっぷり含まれている証拠です。
うまそ~


アサリのだし100mlに対して米酢300mlを合わせて割酢を作ります。
その中に鯵の身を20分間漬けておきます。アサリのむき身も一緒に漬ける。
これも美味しいぞ! 
20分後どのような味になっているのか楽しみですわーい(嬉しい顔)


並行して海老の殻を500gの油で炒めます。ジュージューと香ばし~いわーい(嬉しい顔)
海老の殻にはグルタミン酸、イノシン酸といううま味成分が含まれています。


これくらい炒めれば十分!


煮詰めただしを漉せば完成、オッ!色が黄色いぞ。
海老だからオレンジ色のだしになるかと思っていました。
割酢は海老のだし100mlに対して米酢300mlを合わせて作ります。



次はグレープフルーツ!クエン酸が豊富です。
皮をむきミキサーにかけます。以上


割酢はグレープフルーツ390mlに対して米酢10mlを合わせてほとんどグレープフルーツの酸味で鯵をしめます。



最後はトマト、皮をむきミキサーにかけトマトジュースを作ります。
エッ?赤色じゃない。ピンク色だ! 
ふだん飲んでいるトマトジュースとは違うのですか?
今日は文書が長くなるので説明を省きます。
興味ある人は「濃縮還元」で調べてください。(笑)


ミキサーにかけた後は一度カチカチに冷凍。それを放置して自然に解凍します。
ポタポタとゆっくり液体となりますが最初に液体になる部分ほど味が濃厚なのです。
一度凍らせる目的は最初の方に液体となる「濃い味」部分だけを使いたいからです。
例えると「パピコ」知ってる?氷系アイスとかフローズンとかいうのかな。知らんけど。
最初、勢いよく吸うと甘い液体が口全体に広がり「わーい(嬉しい顔)」となるけどそのあとは甘みがなくなった、ただの氷みたいになるでしょう。
あれと一緒の現象が起きるわけです。


ミキサーにかけたトマトを漉すと以外にも透明な液体となるのです。
最初の方にポタポタと流れ出る部分だけだから香りと味は濃厚。そのまま飲んでも決定
これをトマトウォーターといって昆布と同じ、うま味成分のグルタミン酸が豊富なのです。
割酢はトマトウォーター100mlに対して米酢300mlを合わせて作ります。


4種類の割酢が完成!それぞれに塩をした鯵を漬けていきます。
向かって左からトマトウォーター、海老のだし、グレープフルーツ、そして8で説明したアサリのだしです。


よ~し、みんな~スマホを出して!タイマーですべて20分間正確に測るで!


ピッピッはい!20分経過、引き上げてね!


最後は鯵の皮を引いてすべて5㎜厚さに切りそろえます。
比較するので同じ条件で 慎重に切ります。


ではグループで検証といきますか! 
口直しにグリーンリーフ(サラダ用の生野菜)を食べながら試食します。


同じ鯵なのに割酢の違いでそれぞれの特徴によって味わいが全然違うのです。
「トマトウォーターに漬かったやつはトマトの香がドーンと来るね、そして甘い!
シンプルにトマトと一緒に食べたらおいしいよ」
「海老もはっきり甲殻類独特な香ばしい味がする、俺一番これ好きかも!」
「アサリは一番特徴がわかりにくいかも酢よりアサリだしを多くすれば変わるかもね?」
「グレープフルーツは鯵に苦みがついてグリーンリーフと一番合っている気がする!」
意見は様々だけど、すべて美味しいのです。
今後の学生の課題はこれらの「特徴ある酢じめ」をどのような料理、または食材と組み合わせることで美味しい料理を考案できるかです。
先生も楽しみにしているぞ!(笑)


ところで学生は何を書いているのですか?
4種類の「酢じめ」を比較して、色、香り、味、食感、保水性の5つの特徴を書き出しているのです。
記録しておくと後で思い出せますよ。
これで180分間の授業が終了です。お疲れ様でした!


~プロフィール~
辻調理師専門学校 日本料理
小川 健
香川県出身。
私は今から35年前に辻調理師専門学校を卒業しました。
その当時と今も日本料理の基本は変わっていません!
揺るぎない基本をしっかり学ぶことが技術と知識を向上させる近道です。
日本料理に興味のある人、興味はあるけど自信のない人も大丈夫!
日本料理本科、日本料理クリエイティブ経営学科では
「難しいことが簡単にできるようになる」授業内容になっています。
どんな授業だ?これからも授業の様子はブログで紹介していきますよ!ご覧ください。