世界2位に輝いた駒井さんにお越し頂きました!
9月13日にパティスリー界の巨匠を招いての講演会がありました。
今回教壇に立って頂いたのは駒井崇宏さんです。
駒居さんはクープ・デュ・モンドという製菓の世界大会で2017年に準優勝された方です。
またアシスタントには、同大会2019年に準優勝された西山未来さんが来てくださいました。
今回はそのクープ・デュ・モンドで披露されたアントルメの「池のほとり」とピエスモンテを実際に作製していただきました。
「池のほとり」はサヴァランというフランスのお菓子をベースの生地として使用し、そこにチョコレートのムースやキャラメル味の生クリームをあしらったアントルメです。1台のケーキに11コものパーツを組み合わせており、チョコレートの濃厚な風味中心に複数の味が繊細なバランスで成り立っていました。
また、サヴァランは発酵させてから焼くお菓子なのですが、大会の審査員は各国から出ているため、発酵臭が苦手な人がいても大丈夫なように当日は急遽シナモンを少量加えて発酵臭を抑えるというアレンジも行ったそうです。こういった機転や気配りの精神、それを実行できる決断力の高さも準優勝を掴んだ要因の一つなんだろうなと思いました。
試食ではアントルメをカットしたピースではなく、小さなボール状のカップにクリームや生地を詰めたものを用意していただきました。アントルメの表面からは見えない違う色合いのクリームが層になっているのが、カップの形状と相まってとても可愛らしく、食べるのがもったいないほどでした。クリーム単体では少し濃い印象を受けましたが、サヴァランのシロップによるしっとり感と組み合わさることで後味のくどさが無くなり、いつまででも食べていたい!と思わされるお菓子でした。
午後のピエスモンテの組み立てでは、引き飴のパーツの作成実演と流し飴のパーツを組み立てを実際に行っていただきました。
引き飴というのは煮詰めた飴を伸ばして折ってを繰り返して飴に空気を含ませながら光沢を出して成形していく飴細工です。飴細工と聞いて皆さんがイメージするのはこちらでしょうか?通常飴を炊く温度は160〜180℃弱なのですが、駒井さんは193℃まで炊くそうです。この温度だとツヤが出て色もバチっと決まるそうですが、作業する温度に直結するため非常に熱い飴で作業しなければなりません。後日講義の時に聞いたのですが、実際駒井さんのアシスタントをしていた当校のH先生は指を軽く火傷したそうです。そんな中で私たちに話しながら笑顔で飴を引いていた駒井さんは、慣れも勿論あるでしょうが、素人目に見てもこの人が世界2位に輝いたのだと思い知らされるのには十分でした。
一方、型に熱い飴を流し入れて冷やし固めるのが流し飴です。飴を作って固めるだけなら簡単そうに聞こえますが、そんな訳はありません。引き飴と違って微調整が効かない分飴を炊く時点で色が決まってしまいます。飴を流す型も当然自分で作らなければならないので、一度発泡スチロールや粘土などで模型を作ってからシリコンで型を取らなければなりません。実際に作った模型を見せて頂きましたが、非常に細かく作り込まれていて驚きました。
また、表面の質感も型から外した時に決まってしまうので、型の接地面の加工などで自分の欲しい質感になる様に何度も試作をするそうです。今回の講義では事前に準備したものを取り出すだけでしたが、それまでに地道なトライアンドエラーを繰り返した上で飴を炊く時の色決めが一発勝負であることの難しさを、説明を受けながら強く感じさせられました。
こうして出来たパーツを順次組み立てていくのですが、当日は生憎の雨天で湿度が高く、駒井さんもとても苦労されていました。
飴の組み立てはバーナーで接着面を溶かしてくっつけていくのですが、湿度が高いと飴の表面が濡れたようになり滑ってしまうのです。しかしそんなコンディションの中でも、アシスタントの方々の手を借りながら次々と組み上げていき、時間内に見事に組み上げられました。
最後にはアントルメの中心に蓮の飴細工を飾って、クープドモンドで駒井さんが担当された作品全てを並べて完成です。
色彩豊かに圧倒的な美しさ、存在感を放つピエスモンテ、そしてそばに佇むショコラのアントルメは、まさに「池のほとり」という名の通りに静かでありながら作品全体を引き締めているようでとても綺麗でした。
世界レベルの技術を目の当たりにして、当然ではあるのですが、自分の未熟さが身に染みる思いでした。しかし、今は少しでもそこに近づくために勉強しているので、インプットだけでなくアウトプットに移せるよう努力していこうと思えました。
この度は一日の長い講演をありがとうございました。
[駒井さん(写真左,クープドモンド2017準優勝)、西山さん(写真右,クープドモンド2019準優勝)]
ペンネーム:伊予葛
プロフィール:スイーツがとにかく好きで入学しました!
食べ歩いたり、家で作ったりスイーツまみれの毎日です。
フランス校目指して頑張ってます!