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西山 優介くん 研修先:La Vieille Tour

研修生レポート

2016.04.18


西山 優介 NISHIYAMA Yusuke
エコール 辻 大阪 フランス・イタリア料理マスターカレッジ出身
2015年秋コース エスコフィエ校調理課程
研修先 La Vieille Tour

リヨンから北西へ約840km離れたブルターニュ地方、サン=ブリウという港町近くにあるお店が西山君の研修先です。シェフのアダム氏は、土地の食材を活かし季節感を大切にした、クリエイティブで現代的な料理を作っています。観光客の多い週末は特に忙しく、充実した研修生活を送っているようです。

「小さな港町のレストラン」
私が働かせて頂いているレストランは、港町の小さなレストランです。レストランの前には海に繋がる航路があり、すぐそこにはドーバー海峡が見えます。レストランの内装はとても落ち着いた雰囲気ですが、皿やインテリアなどにはシェフのこだわりが感じられる物が多くあります。ここプレランはとても小さい港町です。来てくださるお客様も大半は地元の方で年配の方が多いです。ですが、週末にかけて多くの観光客の方が来られるので昼も夜の営業も大忙しです。

 
レストラン外観と内装


厨房の写真です


港町にあるレストランです

「新鮮な魚介類を扱う仕事です」
私が研修を始めたときには他に研修生が2人いてアミューズ(オードブルの前に出る小さな料理)から担当しました。アントレ(前菜)やポワソン(魚)も自分から積極的に仕事をもらいにいくと盛り付けをさせてもらえました。同時にプロンジュも手が空いた時に片付けていかなければいけないので立ち止まっている時間はありません。
仕込みは主にアミューズとアントレ、それとポワソンです。港町なので新鮮な海産物が直送されてきて、学校では経験した事の無い下処理なども学べます。初日からホタテ200個を開けたのはかなり驚きました。笑
二人の研修生が勤務期間を終えたあとは自分が中心になってアントレを任せてもらえました。仕込みから、ドレッセ(盛りつけ)まで自分一人でやっています。1ヶ月経ち、ようやくチームの一員として働いている感覚が持てました。

「尊敬できるシェフと楽しい同僚達」
シェフはとても優しく落ち着いたシェフで、お父さんのような人です。しかしいざ仕事となると真剣な表情に変わり少しの妥協も許しません。例えセルヴィスが遅くなったとしても、ソースやガルニチュール(付け合わせ)が焦げたら全て捨てて一から作り直します。セルヴィスが終わった後も、試作や仕込みでいつも帰るのは最後です。とても尊敬できるシェフです。
他に研修生が一人、スーシェフ、パティシエが一人います。基本的には5〜6人でセルヴィスをこなします。シェフ以外のみんなは一つ下か上くらいの歳でノリが良くて面白いです。
パティシエのブノワはよく日本語で話しかけてきたりします。この間はクリームを顔面に付けられました。笑
セルヴィス担当 の従業員やマダムもすごく優しくてみんなすごく仲が良いです。


シェフと一緒に


「レストラン以外にお菓子とパン屋も経営しています」
この町はとても美しい町で観光客の方もよく見かけます。家の外観も青や白を基調として、石造りの家も多いです。僕のお気に入りはPORTLANDという店で、ここはシェフが経営するパティスリー・ブランジュリーです。パンもお菓子もドリンクも凄くおいしくて、研修生なのでだからということで商品をいただけたりもします。ここで働いているみんなもすごくノリが良くて優しい人ばかりです。また、歩いて15分ほどすれば高速道路と繋がる道があり、その周辺にはたくさんのショップがあります。驚いたことは日本の製品を取り扱っているお店やレストランがあったことです。いつか日本米を買って味噌汁と一緒に食べたいと思います。笑

 
PORTRANDの外観と内装

「休みの日も充実しています」
休日はスタージュ先で学んだこと、また学校で学んだことをまとめ直したりしています。語学の勉強もかかせませんね。なんとかコミュニケーションは取れていますが、それでも分からないこともあり勉強不足を痛感します。たまにシェフとテニスをしに行くこともあります。この間はテニス会場のイベントで、自分もアシスタントとして同行させて頂いてシェフと一緒に50人ほどのコースを仕上げました。
住まいは三階建ての一軒家の一部屋です。私が来た時には研修生1人がいて、二週間ほど同居していました。一緒にお酒を飲む前に帰ってしまったのですごく後悔しています。
隣の家には可愛い犬とおばあちゃんが住んでいて一緒に散歩しに行ったりします。でも、フランス語が独特すぎて聞き取りはすごく難しいです。笑
夜ご飯や休日は家で調理しますが、食材はレストランからもらえます。パンも野菜も卵や乳製品なども。スーパーなども歩いて行ける距離なのでほとんどお金使う機会はありません。


フランス人の同僚と

「スタージュ先で学んだこと、再確認したこと」
自分の知らなかった下処理や調理の方法、組み合わせ方もそうですが、一番はスピードと臨機応変な動きです。仕込みからセルヴィスまで無駄な動きが無いところはいつも感心します。自分が効率よく仕事するためにはどうするか、ドレッセや味などを一度で決めるために何をするか、一つ一つのことから見て学んでいくことはたくさんあります。学校ですでに学んだことですが、やっぱり本当の仕事場でセルヴィスしていく中で再確認させられます。
フランス校にいた時は正直不安で怖かった部分もありました。でも、実際に来てみて自分のフランス語や調理技術が通用することが分かって、楽しく充実したスタージュになっています。自分に取って良いスタージュになるかは、自分の気持ち一つで変わっていくと思います。
スタージュに出て時間が持てるようになり、在学中よりも自分と向き合う時間が増えました。料理に対する気持ち、卒業してからのこと、気持ちの変化は大きいと思います。個人的にスタージュに出て一番良かったことかもしれません。自分の気持ちや夢を再確認することができました。

「将来の夢」
日本で5年ほどお金と知識を貯めようと思っています。日本料理の店でも働いてみたいです。また、野菜の栽培方法や経営の仕方、英語も勉強します。それからは北欧で働ければと思っています。自分が働きたいと思う場所は北欧だとわかりました。まだ行ける可能性はかなり薄いです。でも、やってみなくちゃ分からない。自分の気持ちに嘘を付いたり妥協はしたくありません。自分の気持ち一つで何でも出来ることをフランスに来て再確認できました。自分だけの料理を完成させるために、今できることをとことん追求していきたいと思います。