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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 M. Romain BARTHE(ロマン・バルト氏)/Restaurant Auberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)

フランス校教壇から

2018.11.22

今回の外来講習は、レストランAuberge de Clochemerle(オーベルジュ・ド・クロシュメルル)のオーナーシェフであるM. Romain BARTHE(ロマン・バルト氏)とシェフ・パティシエのM. COUSIN(クーザン氏)、レクレール校フランス料理研究課程で現在研修中の等々力竜輝さんにお越しいただきました。

レストランのあるヴォー・ザン・ボジョレー村は、レクレール校から車で30分ほど行ったところにあります。レストラン名の「クロシュメルル」(クロシュは鐘、メルルはつぐみの意)とは、1934年にフランスの小説家、ガブリエル・シュヴァリエが書いた風刺小説の題名が由来で、村が物語の舞台となった事で有名になり、同名がこのオーベルジュや村のワイナリーにつけられる事になりました。

バルト氏はロアンヌ「トロワグロ」、スイス「ディディエ・ド・クータン」などで修業され、2007年にオーナーシェフに就任。11年にはミシュランガイド期待のシェフに選ばれています。翌12年にはミシュラン1つ星を獲得されました。

今回は、バルト氏とクーザン氏がそれぞれ一品を、クーザン氏が等々力君と一緒に一皿を作成して披露してくださいました。

1品目は、コースが始まる前に食前酒とともに提供される小さい料理で、フランス料理ではアミューズ・ブッシュと呼ばれています。カリフラワーのピュレを丸い型に入れ冷凍し、溶かしたカカオバター(注1)にくぐらせ表面をコーティングします。常温ではコーティングに変化はありませんが、口に入れた時に体温で破れ、中のピュレが弾け出ます。上にはタマリンド(注2)というフルーツのピュレと様々なハーブ。

2品目は前菜の1皿。

エシャロットとわかめをじっくりと炒め、その上にフライパンで表面をさっと焼いた帆立をのせたもの。まわりには角切りにした2色のビーツを飾り、黄色いビーツのスライスとサラダで軽やかに仕上げています。横にはエシャロットをサフランと胡椒に漬け込んで、白ワインで煮詰め、バターで繋いだブールブランソースが添えてあります。

従来フランスのレストランでは料理とデザートの間にチーズを食す文化があります。その際にフレッシュチーズ、または熟成されたチーズのどちらかを選択する事が出来ますが、近年ガストロノミーのレストランでは第三の選択肢として華やかに調理されたチーズを提供する事が増えてきました。

3品目はその「第三の選択肢」として提供されるもので、バルト氏はFromage travaillé (手間暇かけたチーズ)と呼んでいらっしゃいました。
生クリームや卵黄を混ぜたブルーチーズのクリームを皿に注ぎ、ゆっくり火を通してから冷やして置きます。提供時にはクリームをヘーゼルナッツ油でマリネしたレンズ豆で覆い、赤ワインや白バルサミコ酢、はちみつなどを混ぜたマリネ液に浸けたグレープフルーツ、その液体にティム産のこしょうを風味づけに加えたソースを少量注ぎ、ハーブが調和良く盛り付けられています。タイトル通り、多くの仕事が込められた1皿でした。

クーザン氏と共に盛り付ける等々力さん。

講習のアシスタントを務めたのは、左から、フランス料理研究課程の六車大輝さん、研修生の等々力竜輝さん。クーザン氏、バルト氏を挟んで福岡明さん、幸晃弘さん。

注1...カカオから抽出した植物性油脂。常温では固体で30℃の融点を超えると急激に
液体に変化する性質がある。それ自体はほぼ無味無臭のためしばしば、食材を包み口の中で飛びだす効果を求めて用いられる。

注2...アフリカの熱帯が原産のフルーツで、主にインドやタイ料理に用いられる。
   酸味の強いものと甘味の強いものがある。