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辻調グループ フランス校

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調理外来講習 / M. Sébastien CHAMBRU(セバスティアン シャンブリュ氏)/ L'O des vignes(ロ・デ・ヴィーニュ)

フランス校教壇から

2023.05.23

2023年春コース最初の外来講習は、Bourgogne(ブルゴーニュ)地方、Mâcon(マコン)市の南部、有名なAOC取得の白ワインPouilly-Fuissé(プイィ・フュイッセ)の生産地であるFuissé(フュイッセ)村にある、Restaurant L'O des vignes(レストラン ロ・デ・ヴィーニュ)より、Sébastien CHAMBRU(セバスティアン・シャンブリュ)氏にお越し頂きました。

シャンブリュ氏はポール・ボキューズや、ヴィラ・フロレンティーヌホテル内のレストランで修行された後、ロンドンやイングランド、日本などで働き、2007年にフランスでM.O.F.を取得されました。その後、スイスのホテルや、2009年には南仏ムージャンにあるムーラン・ド・ムージャンでシェフを務められたのち、2013年に現在のお店を開店し、2017年にミシュランの1つ星を獲得、現在まで維持をされています。調理のテクニックはもちろんのこと、その調理の理論をわかりやすく言葉にして伝えていただけるシェフです。

今回の講習では、鯛を使った2品の料理を作っていただきました。


Asperge blanche compression à l'ail des ours, copeaux de daurade royale, romarin et tuile de sarrasin

生の鯛の身と、ホワイトアスパラガスを使った料理です。今回使用した鯛はdaurade royal(ドラッド・ロワイヤル)といい、皮目が銀色の鯛です。シェフにとても大きな鯛を持ってきていただきました。

鯛を捌くところから始められ、日本やフランス校で習っている捌き方とはまた違う方法で研究生も興味を持って見ています。

鯛の身は捌いた後、日本の刺身のように薄くそぎ切りにし、ローズマリーで香りをつけます。ホワイトアスパラは表面の皮の硬い部分を剥いて下処理をします。その際にどこまで剥けばよいのかは、シェフは瑞々しい音で聞き分けるそうです。皮を剥いて塩水で茹でた後、ail des oursという行者ニンニク(野生ニンニク)の葉の香りをつけたオイルで漬け込み、香りと薄っすらとした緑色を付けます。同じオイルを使ってマヨネーズを作ります。ローズマリーの葉は低温でゆっくりと揚げます。硬い葉が柔らかくなり、香りも一層たちます。そば粉を使ったチュイルを焼きます。

最後にすべての素材をバランスよく盛り付けられました。旬の素材のホワイトアスパラガスの柔らかな苦みと、鯛の旨味、様々な香りのパーツが絡み合い食欲をそそる前菜です。


Daurade royal cuite façon meunière, crème de brioche, gnocchi parmaesan et morille fraiche

2品目も鯛を使った料理です。鯛の上身をラップで形を整え、80℃のオーブンに入れて中心温度が40℃になれば取り出し、一度冷まします。フレッシュのモリーユ茸を茹でた後、細かく刻みます。皮付きのままジャガイモを茹で、火が通れば皮付きのまま半分に切り網に乗せ、皮を手で押し付けるようにしてつぶします。こうすることで、粘りが出なくなります。つぶしたジャガイモと小麦粉、コーンスターチ、パルメザンチーズをすりおろしたもの、刻んだモリーユを混ぜてニョッキにします。自家製のブリオッシュを生クリームでゆっくりと炊いて香りを移し、ソースにします。最後に鯛を一人前に切り分けて、バターでゆっくりと温めるように焼きます。深皿にソースを流し、ニョッキ、鯛を盛り付けます。

調理の合間にその都度詳しい理論の説明に研究生もくぎ付けになっていました。

現在研修中の研究生から、お店の紹介や今やっている仕事、後輩へのアドバイスなどを話してもらっています。

授業終了後の学生の感想では「仕事がとても繊細で丁寧だったのに早くてすごかった。盛り付けも迷いなく早くしていたのに奇麗だった、自分もああなりたいと思う」「入荷される食材でメニューが変わると聞いて、すぐに作る料理のゴールが見えて来ているのがすごい、実際に食べ歩きにいってみたいと思う」などのコメントがありました。

シェフにこれからの若い調理人に必要なことは何かと聞いたところ

passion 情熱 curiosité 好奇心 motivation モチベーションの3つを挙げられました。

研究生の皆さんもこれらを大事にしてもらいたいと思います。

最後に記念撮影を行いました。